猫戦士

福猫

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第5話

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想太に拉致された蒼衣は倉庫の壁に立たされ左右の手首を魔法で壁に固定された。

「うう~ん」

ゆっくり目を開き正面を見た蒼衣は想太に驚いた。

「想太…」

「うちのバケモノがすまなかったね」

「……」

キョロキョロとまわりを見つめ左右の手を動かすと想太が口を開いた。

「俺の魔法で固定してるから外れないよ」

「想太」

「ここならあいつに知られることもない」

「……」

キスをしようと迫ってくる想太を蒼衣は片足で蹴り想太を離れさせた。

「手がダメなら足で抵抗すれば良い」

「そんなに俺とキスをするのは嫌か」

「俺は男だ、男同士でキスなんてしたくない」

「男同士でキスなんてしたくないって言うわりに奴のキスは受け入れるんだな」

「え…」

「お前を壁に固定するとき唇に触れた、その時に奴の気を感じた」

そう言って想太は蒼衣の顎を掴み口を開いた。

「奴も男だ、受け入れたということは奴に惚れたか」

「何、言ってんだ」

「……」

笑みを浮かべ蒼衣の顎から手を離すと想太は蒼衣の唇を奪った。

その後、想太は唇を離し口を開いた。

「蒼衣、人々とあいつの命を奪ったらお前をここで抱いてやるそれまでおとなしくここで待ってろ」

「恋人がいるのに何で俺に恋するんだ」

「美緒はいない」

「え…」

「美緒は俺を殺そうとしただから美緒の命を奪った」

そう言って想太が背を向けると灰色の髪に灰色の瞳に灰色の尻尾、そして白いタキシードに白いマントを羽織ったリョウタが現れた。

「お前は!」

「リョウタさん!」

蒼衣が口にした後、想太が口を開いた。

「どうしてお前がここにいる」

「本体は人々を守るためにバケモノと戦ってる、俺は本体の代わりに蒼衣を助けるために白い宝石が生み出した者だ」

「白い宝石…そういえば左手の中指に指輪が」

そう言って想太が蒼衣に近づき左手の中指にはめている指輪を外そうとしたその時、蒼衣が「やめろ」と叫んだ。

すると白い宝石は抵抗し想太の手を傷つけた。

「邪魔者は人間だけじゃないな、白い宝石も邪魔物…始末しないと」

「…想太…」

怖い顔をしながらリョウタを見つめる想太の姿に蒼衣は驚いた。

「お前を始末した後、本体のリョウタは蒼衣」

そう言って振り返り蒼衣の顔を見つめながら「お前の前で始末してやる」と言って再びリョウタの方に顔を向けた。

「戦う前に聞いて良いか」

「何だよ」

「お前は本体より強いか」

「本体より強いかも」

「戦うのが楽しみだ」

会話後、想太とリョウタは真剣な顔で見つめ合いその後、想太のリョウタの剣と剣の戦いが始まった。

「想太を止めないと…想太…」

戦う想太を見つめながら蒼衣の目から涙が流れると固定されていた左右の手が自由になり蒼衣は驚いた。

「白い宝石、想太を元の想太に戻したい俺に力を貸して」

指輪を見つめながら蒼衣が口にした後、白い宝石は答え左手の中指から離れた。

その後、白い宝石は蒼衣の左目に入り込み白い瞳に変えた。

その瞬間、姿も変わった。

その姿は白い髪に白いタキシードに白いマントを羽織った姿に白い尻尾が生えた猫人間。

蒼衣は自分の姿を見つめながら驚いた。

「俺が猫人間になっちゃった」

「何だと」

「……」

剣と剣で戦っていた想太とリョウタは蒼衣の姿に驚き戦いを止めた。

「蒼衣、俺と戦う気か」

想太が蒼衣に目線を向けるとリョウタは蒼衣に近づき剣を構えた。

「俺は良いぜ、2人でかかってこい」

「ダメだ」

そう言って蒼衣はリョウタの前に立ち口を開いた。

「剣を下ろしてください」

「剣を下ろしたら想太に剣でやられる」

「想太も剣を下ろさせます、先にリョウタさんが剣を下ろしてください」

「剣を下ろすなんてできない」

「お願いします」

「蒼衣のお願いでも」

そう口にしたその時、想太が蒼衣に近づき背後から蒼衣の身体に剣を突き刺した。

「蒼衣!」

リョウタが驚いた顔で見つめると想太が口を開いた。

「蒼衣、俺が剣を下ろすことはない」

そう言って想太が剣を抜き側を離れると蒼衣はうつ伏せで倒れた。

「蒼衣…あああー」

悲しみで叫びながらリョウタの姿が消えるとバケモノと戦っているリョウタの攻撃が止まった。

「どうした、俺の強さにビビったか」

「蒼衣が…蒼衣が…」

「俺を倒さないとパートナーの元には行けないぜ」

そう言ってバケモノが攻撃しようと近づくと立ち尽くしたままリョウタは何もせずバケモノを消し去った。

そしてリョウタはその場から姿を消した。
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