猫戦士

福猫

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第1話

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中学の時から蒼衣(あおい)のことが好きだった想太(そうた)は20代になっても蒼衣への気持ちは変わっていない。

そして想太は告白をする決意をした。

ー喫茶店ー

奥の席で想太はコーヒーを飲みながら蒼衣を待っていた。

1時間後、蒼衣が来店し想太に近づいた。

「遅くなってゴメン」

蒼衣が向かい合って椅子に座ると店員が現れた。

「いらっしゃいませ」

「バナナジュース有りますか?」

「有りますよ」

「バナナジュースをください」

「はい」

店員が離れると蒼衣が想太に向かって話しかけた。

「話って何だ」

「今日、バイトじゃなかったのか」

「今日は休み」

「そうか」

「お待たせしました」

バナナジュースを蒼衣の前に置き店員が離れると蒼衣はコップを掴み飲んだ。

そして蒼衣はコップを置き想太を見た。

「……」

「蒼衣」

「何?」

「付き合ってほしい」

「良いよ、どこに行くんだ」

「俺の恋人になってほしいと言ってるんだ」

「え、恋人」

驚いた顔で蒼衣が見つめると想太は蒼衣の手に触れながら口を開いた。

「中学の時から蒼衣のことが好きなんだ」

「やっぱり好きな人がいたのね」

想太の近くの席に座っている女性が立ち上がり想太の前に立つと想太は驚いた。

「美緒(みお)!」

「想太の様子がおかしいから後をつけたら彼と会い告白した」

そう言って美緒は目線を想太から蒼衣に向け話しかけた。

「私と想太は恋人同士なの、諦めてください」

「ちょっと待ってください」

そう言って椅子から立ち上がると再び蒼衣は口を開いた。

「俺と想太は友達です、恋人じゃ有りません」

そう言ってお金をテーブルに置くと蒼衣は喫茶店を出ていった。

「美緒、家で話そう」

そう言って想太が席を離れようとしたその時、謎の声が聞こえた。

「お前の願い叶えてやろうか」

「え…」

キョロキョロしながら想太が周辺を見つめると突然、喫茶店にいる客達と店員達と美緒の動きが止まった。

そして足首まで長い黒いコート姿の男性が現れた。

「お前の願い叶えてやる言ってみろ」

「その声さっきの」

「想太、言ってみろ」

「何で俺の名前を」

「想太の願い言ってみろ」

そう言って男性は想太に近づき目を見つめた。

「……」

男性の目から逃れられない想太は願いを口にした。

「蒼衣と両思いになりたい」

「それがお前の願いか」

「そうです」

「その願い叶えてやる」

「……」

「成立、お前の身体いただく」

「え…」

驚いた顔で想太が見つめたその時、男性の姿が煙に変わりその煙に身体を乗っ取られ想太はうつ伏せで倒れた。

10秒後、想太は立ち上がり足首まで長い黒いコートに服装を変え指を鳴らし止まっている客達と店員達と美緒を解放した。

「想太」

「美緒、俺の家に行くぞ」

そう言って想太が喫茶店を出ていくと美緒も喫茶店を出ていき想太の家に向かった。

ー帰宅中ー

「想太に告白されるなんて…想太と彼女…仲直りしたかな」

歩きながら蒼衣が口にしたその時、白い宝石が落ち蒼衣は立ち止まった。

「ビックリした」

白い宝石を掴み見つめながら蒼衣が「綺麗だな」と口にすると上空から天使が舞い降りた。

驚いた顔で蒼衣が見つめると天使が口を開いた。

「闇に身体を乗っ取られた人間があなたを手に入れようと襲いかかる」

「俺が襲われる?冗談ですよね」

「冗談ではない」

「……」

「あなたを手に入れる前に人々を襲うでしょう、人々を守るために戦いなさい」

「戦えってどうやって」

「白い宝石を持った灰色猫を探しなさい」

そう言って天使の姿が消えると蒼衣は白い宝石を持って歩き出し家に向かった。

1時間後、一軒家の家に着いた蒼衣は中に入りそのまま寝室に向かいベッドに座った。

「灰色猫を探せって難しいよな」

そう言って蒼衣は白い宝石を持ったまま身体を倒し眠りについた。

その頃、白い宝石を天使から貰った灰色猫は飼い主の側で眠っていた。

ー翌日ー

飼い主が仕事に出かけると灰色猫は目を覚ましベッドからおり鏡にうつった自分の姿に驚いた。

「人間?」

灰色の髪に灰色の瞳に灰色の尻尾、灰色猫は驚きながら見つめた。

「全裸でウロウロするわけにはいかないな」

そう言って灰色猫はタンスの中から上服とズボンを取り出し着始めた。

「飼い主の側にいられないな」

そう言って灰色猫は白い宝石を持って飼い主との思い出がある家を出ていった。

その頃、蒼衣は灰色猫を探すため白い宝石を持って街中や公園を歩いていた。
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