ジュエリープリンス

福猫

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第1話

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━ルビー宝石の国━

「ルビー、ちょっと来なさい」

「はい」

母親に話しかけられついていったルビーは父親が居る部屋の中に入り椅子に座っている父親に近づいた。

「父さん、何?」

「父さんじゃないでしょお父様でしょ」

母親がルビーを叱ると椅子に座りながら父親が口を開いた。

「ルビー、何歳になった」

「20歳だけど」

「20歳か…そろそろ良いかもな」

「そろそろ良いかもなって何が?」

ルビーが問いかけると父親は椅子から立ち上がりルビーに近づきハート型のルビー宝石のネックレスをルビーの首につけた。

「……」

驚いた顔でルビーが見つめると父親が口を開いた。

「立派な王子になるために人間の国で学んで来なさい」

「今から行くんですか?」

「そうだ」

「……」

「ルビー」

母親はルビーを抱きしめながら口を開いた。

「立派になって帰ってくるのよ」

「俺、頑張るよ」

行く決意をした短い髪と瞳と長い服とマントが赤1色のルビーは父親と母親に見送られながらその場から消え人間の国に向かった。

━人間の国━

森林の中に姿を現したルビーはキョロキョロしながら歩き出した。

「無事に人間の国に着いたのかな」

1時間後、森林を出たルビーは道路を歩いた。

10時間後、人々が行き交う街に着いたルビーは力尽きうつ伏せで倒れた。

それから暫くしてルビーは男性に話しかけられた。

「大丈夫ですか?」

「……」

「俺の声、聞こえますか?」

「お腹、空いて動けない」

「わかりました、俺の家に運びますね」

男性はスマホでタクシーを呼びルビーの身体を支えながら乗り込むと男性の自宅に向かった。

30分後、タクシーが自宅の前に着くと男性はお金を支払いルビーの身体を支えながらタクシーを降りるとルビーを部屋に運びベッドに仰向けで寝かせた。

その後、男性は部屋を出てキッチンに向かった。

50秒後、ルビーが目を覚ました。

「ここは…どこだ…」

仰向けで寝たまま口にするとルビーはゆっくり身体を起こした。

その後、ルビーはベッドから降り部屋を出て良い匂い感じた。

「何だ、この匂い」

匂いを辿りながらルビーはキッチンに向かい料理に目を向け近づいた。

「美味しそうだな」

「もうすぐ出来ますから椅子に座って待っててください」

「はい」

ルビーがキッチンを離れダイニングに置いてあるテーブルに近づき椅子に座ると男性が皿に盛った料理を運んできた。

「美味しいかわからないけど食べてください」

皿をテーブルに置くとルビーは箸を掴み「頂きます」と言って料理を食べ始めた。

「豚肉ともやしとニラの炒飯どうですか?」

男性が問いかけると「美味しいです」と言ってルビーは全部食べきった。

その後、ルビーは満足げな顔で「ごちそうさま」と口にし食事を終えた。

「あんた料理上手なんだな」

「愛内炎悟(あいうちえんご)です」

「……」

「俺の名前、あなたの名前は?」

「ルビー」

「ルビーさん、食器を片づけたら家まで送りますね」

「家は無い」

「家が無いって」

「愛内さんが迷惑じゃなかったら俺をここに住まわせてくれないかな」

「独り暮らしだし良いですよ」

食器を持って炎悟がキッチンに向かうとルビーもキッチンに向かった。

「手伝います」

近づこうとルビーが動いたその時、ネックレスが外れ床に落ちた。

「父さんに貰ったネックレスが」

外れたネックレスを悲しげな顔でルビーが見つめると炎悟は近づきネックレスを掴み見つめた。

「壊れてないから大丈夫ですよ」

「本当ですか?」

「大切なネックレスなんですね」

「父さんに貰ったネックレスなんだ」

「壊れてないで良かったですね」

「……」

ルビー宝石のネックレスを炎悟から受け取ったルビーは優しく微笑む炎悟にドキドキした。

「……」

「ルビーさん?」

「はい」

「大丈夫ですか?」

「はい」

「今から仕事に行かないといけないんです、1人で大丈夫ですか?」

「大丈夫です」

「遅くなるから先に寝ててください」

炎悟が仕事に出かけるとルビーはルビー宝石のネックレスを持って部屋に向かいベッドに座った。

その後、ルビーはルビー宝石を見つめながら口を開いた。

「炎悟さんの微笑む顔を見たらドキドキした何でだろ」

口にした後、ルビー宝石が光った。

ルビーが驚いた顔で見つめるとルビー宝石の光は消えた。

「光が消えた」

訳がわからないままルビーはルビー宝石のネックレスを首につけた。

その頃、炎悟はホストクラブのオーナー室で席に座りながら仕事をしていた。

「……」

無言でパソコンを弄っていると女性が現れた。

「炎悟」

「何度言えばわかるんだ、ノックをしろと言っただろ」

「ゴメン」

座っている炎悟に近づくと女性は抱きついた。

「仕事が出来ないだろ、離れ」

「嫌だ」

「茜(あかね)」

「キスしてくれたら離れてあげる」

茜が口を近づけると炎悟は受け入れ唇を重ねた。

その後、茜はソファーで炎悟の仕事が終わるまで待った。

午後11時、ホストクラブ閉店。

「ねぇ、家に行って良い?」

茜が問いかけると炎悟が口を開いた。

「客が居ても良いなら俺は家に来ても良いよ」

「客ってまさか女性じゃないよね」

「男性だよ」

「邪魔者が居ても炎悟の家に行く」

「わかった」

炎悟と茜はホストクラブを離れ炎悟の自宅に向かった。

━炎悟の家━

ベッドで寝ていたルビーは目を覚まし身体を起こした。

「まだ帰ってきてないみたいだな」

ベッドから降り部屋を出たルビーは玄関に向かい炎悟の帰りを待った。

それから暫くしてドアが開き炎悟と茜が現れた。

「ルビーさん!」

「炎悟さん、お帰り」

「……」

炎悟を見つめるルビーの顔が気にくわない茜はルビーに向かって口を開いた。

「私と炎悟は恋人なの、あんたに渡さないから」

「ルビーさんにあんたって失礼だろ」

炎悟が叱ると茜は怒り口を開いた。

「帰る」

外に出て茜がドアを閉めると炎悟は追いかけた。

「茜」

「……」

「待てって」

無言で歩いていく茜を炎悟は追いかけ手首を掴むと動きを止めた。

「何であんなこと言ったんだ」

「炎悟のこと狙ってるから言ったのよ」

「狙ってるってルビーさんは男性だぞ」

「恋に男も女も関係ないのよ」

「……」

「明日から1ヶ月、仕事でアメリカに行くの不倫しないでね」

炎悟の手を離れさせ茜が歩いていくと炎悟は自宅に戻り中に入った。

「茜がすみません」

「……」

「……」

靴を脱ぎ玄関から炎悟が離れようとしたその時、ルビーが手首を掴んだ。

炎悟は振り向き「どうしたんですか?」と問いかけるとルビーは炎悟を壁に押しつけ唇を重ねた。

その後、ルビーは唇を離し口を開いた。

「俺、炎悟さんの微笑みからおかしいんだ…ドキドキするんだ」

「……」

「俺…興奮してる」

「キスで?」

「あぁ」

「ルビーさん、俺もなぜか興奮してる」

「炎悟さん、あなたと交わりたい」

「俺も交わりたい」

炎悟とルビーは部屋に向かいルビーは炎悟をベッドに倒しその後、唇を重ねた。

そして炎悟はルビーに身体を捧げた。

それから暫くしてルビーは身体を起こし側で眠っている炎悟を見つめた。

「普通の人間と身体を重ねてしまった」

「……」

「後悔はしてない」

眠る炎悟の唇にキスをするとルビーはその場から消えていった。

午前7時、目を覚ました炎悟は身体を起こし隣に目を向けた。

「居ない…」

ベッドから降りると炎悟はいつものように仕事場のホストクラブに向かい仕事を始めた。

5時間後、アメリカに行ったはずの茜が現れた。

「炎悟」

「茜!…アメリカに行ったんじゃないのか」

「気になって戻ってきたの」

「良いのか勝手な行動して」

「炎悟」

「何だよ」

真剣な顔で見つめる茜を炎悟が見つめると茜が口を開いた。

「不倫したわね」

「……」

「私達、別れましょう」

「茜」

「男と不倫するなんて最低」

茜がオーナー室を出ていくと炎悟は悲しい顔になった。

「…茜…」

頭を抱えるとルビーがオーナー室に現れた。

「炎悟さん」

「……」

椅子から立ち上がりルビーに近づくと炎悟は文句を口にした。

「ルビーさんのせいで俺と茜は別れた、どうしてくれるんだよ」

「炎悟」

ルビーは炎悟を優しく抱きしめた。

「ルビーさん…」

抱きしめられながら炎悟が口にするとルビーは気持ちを口にした。

「炎悟、好きだ、俺と一緒に生きてくれ」

「…ルビーさん…」

「……」

炎悟から離れるとルビーは炎悟に向かってひざまつき気持ちを口にした。

「俺の国で一緒に暮らそう、YESならルビー宝石の指輪を受け取ってくれ」

ルビー宝石の指輪を差し出しながらルビーが口にすると炎悟が口を開いた。

「ルビーさんと唇を重ねたとき嫌じゃなかった…これってルビーさんのこと好きってことだよね」

「炎悟」

「ルビーさんの国で一緒に暮らします」

ルビー宝石の指輪を炎悟が受け取るとルビーは立ち上がり抱きしめた。

「炎悟、愛してる」

「俺も愛してる」

互いの気持ちを口にした後、ルビーと炎悟は見つめ合いそのまま唇を重ねた。

その後、ルビーは炎悟が持っているルビー宝石の指輪を受け取り炎悟の左手の薬指にはめると口を開いた。

「幸せにするから」

「俺もルビーさんを幸せにする」

微笑み合うとルビーと炎悟は再び唇を重ねた。

翌日、炎悟はNo.1のホストにホストクラブを任せ家も任せた。

その後、炎悟はルビーと共にルビー宝石の国に向かいルビーの両親に会った。

「お父様とお母様に紹介したい人が出来たので帰ってきました」

「紹介したい人って彼か」

父親と母親が炎悟に目を向けるとルビーが口を開いた。

「愛内炎悟さん、俺の愛する人です」

「愛内炎悟です、よろしくお願いします」

炎悟がお辞儀をすると母親が口を開いた。

「ルビーの母親のルルです」

「ルビーの父親のビビです」

「愛内炎悟です」

「顔を上げなさい」

「はい」

炎悟が顔を上げると父親が口を開いた。

「ルビーはルビー宝石の国の王になる男だ」

「はい」

「立派な王になれるように支えてやってくれ」

「はい」

「よろしく」

「よろしくお願いします」

再び両親にお辞儀をすると炎悟はルビーと共にその場を離れルビーの部屋に向かうと中に入った。

「認めてもらって良かった」

「気に入られなかったらどうしようかと思ったよ」

安堵したルビーと炎悟はベッドに座り唇を重ねた。

その夜、ルビーと炎悟は何度も身体を重ねその後、寄り添いながら眠りにつくと炎悟の新しい生活が始まった。

        完結
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