伝説の虹色クリスタル

第2話

「俊彦さんはどこですか？」

「俊彦は俺の部屋で眠ってる」

そう言って翡翠は檻の扉を開き中に入った。

そして翡翠は紗香を壁に追い込み顎を掴み口を開いた。

「お前は俺の為に働いてもらう」

「……」

翡翠に唇を奪われ紗香は目を見開き翡翠が離れると紗香はうつ伏せで倒れた。

その後、翡翠が声をかけた。

「紗香、起きろ」

「……」

無言で紗香が立ち上がると翡翠が口を開いた。

「虹色クリスタルを探して俺の元に持ってこい」

「わかりました」

「もし敵が現れたらこれを使って敵を倒せ」

「わかりました」

差し出された黒翡翠でできた指輪を受け取ると紗香はその指輪を左手の薬指にはめた。

「虹色クリスタルを手に入れるまで戻ってくるな」

「わかりました」

翡翠に向かってお辞儀をすると紗香は檻の中から姿を消した。

その頃、恵一は走りながら翡翠がいる洞窟に近づいていた。

「城に戻るか」

そう言って洞窟から出た翡翠は恵一に出くわした。

「誰だお前」

「洞窟から出てきましたよね、紗香という男性を見ませんでしたか？」

「紗香？」

「見ませんでしたか？」

「お前、紗香の何だ」

「兄です」

「兄弟か、お前も俺の為に働いてもらう」

そう言って翡翠が歩み寄ろうとしたその時、グリーンアベンチュリンが拒否しビリビリと攻撃した。

「その指輪グリーンアベンチュリン、お前、アベンチュリンの仲間か」

「あんた、翡翠か？」

「俺を倒すために弱い人間を送り込むとは」

「俺は…」

「消えろ」

そう言って翡翠が魔法で攻撃すると恵一はその場から姿を消し攻撃を逃れると森林の中にある家の前に姿を現した。

「もしかしてお前が俺を守ってくれたのか？」

指輪を見つめながら恵一が口にすると家の中から緑色のチャイナドレス姿の女性が現れた。

「あなた恵一？」

「何で俺の名前を」

「話は中で入って」

「……」

女性に招かれ恵一は家の中に入り口を開いた。

「初めて会ったのに何で俺の名前を知ってたんですか？」

「アベンチュリンに頼まれたの、力になってやってくれって」

「それで俺を助けてくれたんですね」

「何のこと」

「何のことって、翡翠という人から攻撃された俺を助けてくれたじゃないですか」

「知らない」

「俺を助けてくれたのはお前」

そう言って恵一が指輪を見つめると緑の剣を差し出しながら女性が口を開いた。

「これを持っていきなさい」

「緑の剣？」

「グリーンアベンチュリンで作った剣よ、私が作ったの」

「ありがとうございます」

緑の剣を恵一が受け取ると女性が口を開いた。

「アメトリンという町にリンという男性がいるからその人に虹色クリスタルのこと聞いたら何かわかるんじゃないかな」

「わかりました…ここからどれくらいかかりますか？」

「2日ぐらいかな」

「2日か！」

「気をつけていくのよ」

「はい」

女性に向かってお辞儀をすると恵一は緑の剣を持ってアメトリンという町に向かって歩き出した。

この時、恵一はアメトリンの町で紗香と悲しい再会をするとは思ってもいなかった。