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特別編

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藍の兄、ゆうとやくざの千景と一の1話完結の物語。

藍と千歳の交際を認めて1年後、今日もゆうは2人の店員と大型服専門店を切り盛りしていた。

「藍がいなくなって1人で大変だったけど千景さんと一さんが手伝ってくれるから助かってるよ」

「俺、やくざを辞めてゆうさんの店で働こうかな」

「俺も考えてた」

「ゆうさん、手伝いじゃなくて俺達を雇ってくれないかな」

「俺は喜んで千景さんと一さんを雇います」

「良かった」

千景と一が喜んでいるとゆうが口を開いた。

「俺の願いを聞いてくれたら雇います」

「願いって何ですか?」

千景と一が同時に目線を向けるとゆうが口を開いた。

「やくざは辞めないでください」

「やくざは嫌いだったんじゃ」

「千景さんと一さんは他のやくざとは違います、だからやくざは辞めないでください」

「やくざを辞めなかったら雇ってくれますか?」

「はい」

「やくざを辞めません」

「俺もやくざを辞めません」

口にした後、千景と一は顔を合わせ睨み合った。

その姿を見てゆうは無視し接客を始めた。

「千景、聞いても良いか?」

「何だよ」

一の問いに千景が返事をすると一が口を開いた。

「ゆうさんに恋を…」

「お前も!」

「……」

接客を終え千景と一に目線を向けたゆうは「まだ喋ってる」と言って千景と一に近づいた。

「千景さん、一さん、喋ってないで仕事をしてください」

少し怒った口調でゆうが口にすると「すみません」と言って千景と一は離れ接客を始めた。

それから時間が過ぎ午後8時、大型服専門店は閉店になった。

「千景さん、一さん、お疲れさま」

「お疲れさま」

そう言って千景と一が店を出ていくとゆうは店の戸締まりを始めた。

「一、帰らないのか?」

「千景こそ帰らないのか?」

「俺はゆうさんに話があって待ってんだ」

「俺もゆうさんに話があって待ってんだ」

店の前で千景と一が会話をしているとゆうが現れた。

「2人とも何してんですか」

驚いた口調でゆうが口にすると千景と一はゆうに目線を向け真剣な顔で口を開いた。

「ゆうさん、俺と付き合ってください」

「ゆうさん、俺と付き合ってください」

「え…」

突然の2人の告白にゆうは驚き言葉を失った。

「ゆうさんが一を選んだら俺は諦めます」

「俺も千景を選んだら諦めます」

「突然の出来事に俺は驚いてます」

ゆうが口にすると千景が口を開いた。

「返事はいつでも構いません」

そう言って千景はゆうに顔を近づけ唇を重ねた。

その後、千景が唇を離すと一が怒った口調で口を開いた。

「許可を得ないでキスをするなんてずるいぞ」

「早い者勝ちだ」

「俺も」

「え…」

店の前でゆうは千景と一に唇を奪われた。

こうしてゆうはやくざの千景と一に言い寄られゆうの恋が始まった。

        完結
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