お前は俺が守る～やくざの初恋物語～

第1話

藍(あい)の兄、ゆうがオーナーをしているアパレルショップで店員として働いている藍はゆうに頼まれ銀行に向かっていた。

30分後、銀行に着いた藍は中に入り受付に近づいた。

「いらっしゃいませ」

「お願いします」

そう言って藍が衣類が入った箱を受付の人に渡しお金を払おうとしたその時、マスクを被った男が現れナイフを突きつけながら受付に近づきお金を要求した。

その姿に客達が騒ぎだしマスクを被った男がナイフを突きつけながら「静かにしろ」と叫んだ。

客達は静になり藍は男に築かれないようにズボンのポケットからスマホを取り出し警察に連絡しようとしたその時、男に見つかりスマホを奪い取られた。

「何してんだ、お前」

怒った男はスマホを投げ捨て藍の顔を殴るとナイフを突きつけながら口を開いた。

「今度、変な真似したら傷つけるからな」

「…わかりました…」

「おい、まだか」

男が藍から離れ受付に向かうと眼鏡をかけたスーツ姿の男性がハンカチを差し出した。

「……」

藍が見つめると男性が口を開いた。

「血がついてる、これで拭いて」

「ありがとうございます」

男性からハンカチを受け取ると藍は口元を拭いた。

「仕方ないな」

「……」

藍が見つめると男性は男に近づき声をかけた。

「おい」

「何だよ」

「お金を奪うこと止めてここから出ていけ」

「うるせぇ、あっち行け」

「痛い目に合いたくなかったらここから出ていけ」

「お前こそ痛い目に合いたくなかったらおとなしくしてろ」

ナイフを突きつけながら男が口にすると男性はナイフを掴んでいる男の手首を掴みその後、身体を倒し受付の女性に声をかけた。

「結ぶものを持ってきてください」

「はい」

受付の女性が離れると男性は客の1人に声をかけた。

「警察に連絡してください」

「はい」

客の1人がスマホで警察に連絡すると受付の女性が紐を持って現れた。

「持ってきました」

「ありがとうございます」

受付の女性から紐を受け取ると男性は男からナイフを奪い取りそのナイフを受付の女性に渡すと紐で男の左右の手首と左右の足首を結んだ。

その後、男性は立ち上がり受付の女性に向かって口を開いた。

「あと頼みます」

そう言って男性が銀行から出ていくと藍も自分のスマホと男性のハンカチを持って銀行から出ていき歩いていく男性に「待ってください」と言って駆け寄り近づいた。

「……」

男性が見つめると藍が口を開いた。

「洗ってハンカチを返したいので連絡先を教えてください」

「ハンカチは君にあげる、じゃあね」

そう言って男性が歩き出そうとしたその時、車が止まり運転席から男性が現れた。

「千景(ちかげ)さん、乗ってください」

「あぁ」

「あの？」

「何？」

「また会えますか」

「じゃあな」

藍に向かって優しく微笑むと男性は後部座席に乗り込みドアを閉めると車は藍から離れていった。

「……」

ハンカチを握りしめながら車を見送る藍の背後にその藍を見つめる男が立っていた。

そして男は藍に近づき声をかけた。

「すみません」

「……」

振り向き男に目線を向けると藍はその男に知らない場所に連れていかれた。