永遠の愛~9日間の思い出~

福猫

文字の大きさ
上 下
3 / 9

3日目

しおりを挟む
無言の食事を終えた紗和と香はステーキ屋から出た。

「俺の分まで払ってくれてありがとう」

紗和が口にすると香が口を開いた。

「紗和」

「何?」

「俺の家で話をしないか」

「話ってもしかして俺が言った」

「新菜にムリヤリ身体を奪われた…」

「香は気になるの?俺が新菜に身体を奪われたこと」

「紗和が話したくないなら話さなくても良いけど」

「香の家に行こう」

「わかった」

そう言って香は紗和を連れてステーキ屋を離れると香の家に向かった。

1時間後、香の家の前に着いた香と紗和は家の中に入りその後、香の部屋に向かい中に入った。

「蘭(らん)ちゃんは元気?」

ベッドに座りながら紗和が問いかけると香もベッドに座りながら口を開いた。

「蘭は父さんと母さんと福岡で元気に暮らしてる」

「福岡で」

「父さんの仕事の都合で福岡に行ったんだ、俺はこの家から離れたくなかったから俺、1人でこの家に住んでる」

「そうなんだ」

「紗和」

「久しぶりに新ちゃんと再会した俺は新ちゃんの家でワインを飲み酔った俺はベッドで新ちゃんにムリヤリ…」

思い出し言葉が止まると紗和はうつ向き黙り込んだ。

その姿を見て香は紗和の身体を優しく抱きしめながら口を開いた。

「嫌なことを言わせてすまなかった」

「……」

「紗和にとって嫌な思い出は忘れた方が良い」

「新ちゃんの頬を叩いちゃったし、顔、見たくないって言っちゃった」

「紗和」

名を口にした後、香は紗和の顔を見つめその後、口を開いた。

「俺が忘れさせてやる」

「え?…」

香の顔がゆっくり近づくと紗和の唇と香の唇は優しく重なった。

「……」

「……」

互いの唇が離れると紗和と香は無言で見つめ合った。

「俺は新菜とは違う」

「……」

「紗和、俺はお前のことが好きだ」

「香も俺と交わりたいの?」

「……」

「新ちゃんはムリヤリ身体を奪って告白をした」

「俺はムリヤリ身体を奪ったりしない」

「俺の身体が欲しいならムリヤリ奪えば」

そう言って紗和が全てを脱ぎ全裸になると香は怒り口を開いた。

「紗和、服を着て帰ってくれ」

そう言って香が部屋を出ていくと紗和は服を着てその後、部屋を出てそのまま家を出ると自宅に向かった。

リビングのソファーに座りながら紗和の帰りを無視していた香はズボンのポケットからスマホを取り出し見つめたその時、着信音が鳴った。

「……」

通話ボタンを押し耳にあてると香は口を開いた。

「もしもし」

「もしもし香、俺だけど」

「新菜」

「電話番号が変わってなくて良かったよ」

「紗和のことで話があるんだ、明日、俺の家に来てくれないか」

「わかった、明日7時頃、行くよ」

「……」

通話を終えると香と新菜は同時に切り香はスマホを側に置き天井を見つめた。

ー翌日ー

7時頃、新菜が香が住む家にやって来た。

「久しぶりだな香」

「そうだな」

「紗和のことで話があるって何だ」

「あがれよ」

そう言って香が玄関を離れリビングに向かうと新菜も玄関を離れリビングに向かった。

新菜に背を向けながら香が口を開いた。

「何で紗和の身体をムリヤリ奪った」

「紗和から聞いたのか」

「答えろ、何でムリヤリ奪った」

「美しい紗和に興奮したから」

そう言って新菜は香に近づき背後から囁いた。

「俺と交わっていた紗和は美しかった」

「……」

新菜の言葉に怒りが込み上げてきた香は握りこぶしをつくりそのまま振り向き新菜の顔を殴り口を開いた。

「お前のせいで紗和は苦しんでる謝れ」

「香、お前、紗和に惚れてるだろ」

「あぁ、惚れてる、だからお前がしたこと許せないんだ」

「……」

「……」

険しい顔で香と新菜は見つめ合った。

その後、新菜は会話をせず香の家を出ていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

想い出に変わるまで

豆ちよこ
BL
中川和真には忘れられない人がいる。かつて一緒に暮らしていた恋人だった男、沢田雄大。 そして雄大もまた、和真を忘れた事はなかった。 恋人との別れ。その後の再出発。新たな出逢い。そして現在。 それぞれ短編一話完結物としてpixivに投稿したものを加筆修正しました。 話の流れ上、和真視点は描き下ろしを入れました。pixivにも投稿済です。 暇潰しにお付き合い頂けると幸いです。

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

君のために、僕は変わることができたんだ

多田光希
BL
小学3年生の時に転校してきた国見璃緒は、コミニュケーションがあまりうまく取れないという発達障害を抱えていた。席が前後になった木崎叶は、何かと気にかけ、仲良くなって行く。2人が高校3年生になり、進路を決める時期に差し掛かった頃、木崎とこの先も一緒にいたいという理由だけで、国見が進路を決めようとしていることに、つい腹が立ち、周囲からも「国見の保護者」とからかわれ、イライラしていたことも重なって、木﨑は思わず国見に暴言を吐いてしまう。その後、親の仕事の都合で国見は突然転校してしまい、あっけない別れを迎えてしまった2人だったが、木崎は、ずっと後悔だけが残る日々を送っていた。2人は、また再会することが出来るのか…。悲しくも、前向きになれる切ない物語

目標、それは

mahiro
BL
画面には、大好きな彼が今日も輝いている。それだけで幸せな気分になれるものだ。 今日も今日とて彼が歌っている曲を聴きながら大学に向かえば、友人から彼のライブがあるから一緒に行かないかと誘われ……?

愛おしいほど狂う愛

ゆうな
BL
ある二人が愛し合うお話。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした

たっこ
BL
【加筆修正済】  7話完結の短編です。  中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。  二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。 「優、迎えに来たぞ」  でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。  

処理中です...