あなたが必要

福猫

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第7話

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「茉…莉…」

完全なる猫の化物になってしまったタケルの言葉に茉莉は優しく微笑みながら口を開いた。

「タケル、俺を抱いてくれ」

「…茉…莉…」

「タケル」

茉莉はタケルの唇に唇を重ね誘った。

その誘いにタケルは興奮し茉莉の衣服を全て脱がせ全裸にするとタケルも全裸になった。

その後、タケルは茉莉の唇を奪い身体も奪った。

「タケル…」

茉莉が見つめるとタケルは茉莉から離れ立ち上がり背を向けると完全なる化物の身体や顔が元の身体と顔に戻っていった。 

その姿を見て茉莉は立ち上がり驚いた顔で口を開いた。

「身体が元に戻ってる」

「……」

タケルは振り向き口を開いた。

「身体の中にあった化物の気が浄化された」

「それって」

「化物になることはなくなった」

「タケル」

嬉しさで茉莉が抱きつくとタケルは茉莉を抱きしめ口を開いた。

「ありがとう茉莉」

「俺は何も」

「お前は完全に化物になった俺を茉莉は見捨てなかった…触れなくてもお前の愛を感じてた…茉莉」

「元に戻って良かったな」

「茉莉」

「タケル、城に帰ろう」

「……」

「ルタと百合に化物から解放されたことを知らせないと」

「そうだな」

会話後、タケルと茉莉は見つめ合いその後、顔を近づけ唇を重ねた。

その時、ラベンダーが消え茉莉とタケルは水晶とアキラと女性のラベンダーに見られた。

「あなた達、全裸姿で何をやってるのよ」

「……」

「……」

互いの唇が離れ茉莉は水晶とアキラと女性のラベンダーに驚き服を慌てて拾い部屋に向かった。

タケルは慌てず驚かずその場で服を拾い着始めた。

「化物の気は浄化されたみたいね」

女性のラベンダーが声かけるとタケルが口を開いた。 

「ラベンダーと茉莉のお陰で俺は化物から解放された」

「タケル、私と話をしましょうか」

「……」

「水晶、アキラ、茉莉が来たら伝えておいて、タケル行きましょうか」

そう言って女性のラベンダーが船から降りていくとタケルも船から降り砂浜を歩きだした。

その頃、茉莉は部屋のベッドでドキドキを落ち着かせていた。

「全裸やキスを皆に見られるなんて」

落ち着いたドキドキが再び高まり茉莉は服を握りしめながらベッドに倒れた。

 茉莉の全裸姿を見た水晶とアキラは立ち尽くしていた。

「なぁ、どう思った」

「美しかった」

水晶の言葉にアキラがそう答えると水晶が口を開いた。

「タケルがラベンダーと話してることを伝えないと」

「おい」

部屋に向かう水晶についていきアキラも部屋に向かった。

その頃、部屋の中の茉莉はなぜか全裸姿で眠っていた。

部屋の前に着いた水晶とアキラはノックをしながら声をかけた。

「服、着たか、入って良いか」

「……」

水晶の言葉に反応せず茉莉は服を握りしめながら眠っていた。

「返事がないな」

「中で倒れてるんじゃ」

「入るぞ」

ドアを開き中に入った水晶とアキラは全裸姿で服を握りしめながら眠っている茉莉の姿に驚いた。

「眠っている」

「服を着ないで」

「アキラ、俺、ドキドキしてる」

「俺もドキドキしながら興奮もしてる」

そう言ってアキラはベッドに近づき眠る茉莉を見つめた。

「茉莉はタケルのものだ手を出したら怒られる部屋を出るぞ」

水晶の言葉にアキラが驚きの言葉を発した。

「俺はタケルから茉莉を奪う」

「何、言ってんだお前」

「茉莉は俺のものだ」

「お前、まさか」

この時、水晶は感じたアキラは化物の気に心を奪われたと。

アキラは全裸姿で眠っている茉莉をお姫様抱っこし水晶に向かって口を開いた。

「タケルに伝えてくれ、茉莉は俺のものだと」

そう言って背中に羽が生えるとアキラは茉莉をお姫様抱っこしたまま船を壊し上空を飛び離れていった。

その光景を砂浜でタケルと話をしていた女性のラベンダーが目撃した。

「アキラって空飛べるの?」

「鳥じゃあるまいし飛べるわけないだろ」

「飛んでたわよ」

「え…」

振り向き女性のラベンダーと同じ方向に目線を向けたその時、走りながら水晶が現れた。

「アキラが茉莉を連れてどこかに飛んでいった」

「アキラが!」

「やっぱりあれはアキラだったのね」

「タケル、アキラは化物の気に心を奪われている」

「浄化したはずなのに何でアキラに」

「アキラは全裸姿の茉莉を見て興奮したって言ってた、その言葉を聞いて化物の気はアキラの心と身体を奪った」

「茉莉」

タケルが砂浜を走っていくと女性のラベンダーと水晶は見つめた。

「俺はタケルの元に行くよ」

「私は花のラベンダー達の力を借りて茉莉の居場所を探すわ」

「見つかったら知らせてくれ」

「わかった」

「……」

「水晶」

「何だ」

水晶が目線を向けると女性のラベンダーは水晶の唇に唇を重ねた。

その後、女性のラベンダーが唇を離し「気をつけて」と口にすると水晶は「わかってる」と返事をしその後、砂浜を走りだしタケルの元に向かった。

その頃、アキラは茉莉をお姫様抱っこしながら上空を飛んでいた。

「う~ん」

眠っていた茉莉が目を覚ますとアキラが口を開いた。 

「目が覚めたか」

「……」

今の状況が理解できず茉莉は言葉を失った。

「茉莉、どうした」

「何でアキラが空を飛んでいるのか教えて欲しい」

「俺の家に着いたら教えてやる」

そう言ってアキラは飛び続け漢方の街に向かった。

それから暫くしてアキラの家に着いたアキラは家の前に降り立ち背中の羽が消えた。

その後、アキラは茉莉をお姫様抱っこしたまま家の中に入り寝室に向かいベッドに茉莉をおろすとアキラはベッドに座った。

「美しい」

そう言ってアキラが全裸の身体に触れると茉莉はその手を払い掛け布団で身体を隠した。

「アキラ、どうしたんだ」

「茉莉」

名を口にした後、アキラの顔と身体が猫の化物に変身し茉莉は驚いた。

「浄化したはずなのに何で」

「この男はお前の身体に惚れた」

「この男ってアキラ…アキラ…」

「無駄だ、この男の心と身体は俺、化物が乗っ取った」

そう言ってアキラは掛け布団を奪い取り茉莉の身体を押し倒し覆い被さった。

「……」

「茉莉、お前は俺のものだ」

見つめる茉莉にそう口にするとアキラは茉莉の身体に触れながらキスをした。

「やめろ…」

顔をそらしながら茉莉が口にすると突然、アキラが苦しみだし茉莉から離れた。

「完全に乗っ取ったはずなのに」

「……」

茉莉は身体を起こし苦しむアキラを見つめた。

「完全に乗っ取ったはずなのになぜお前がいるんだ」

アキラに向かって化物のアキラが口にするとアキラが目の前に現れた。

「アキラ!」

茉莉が叫ぶとアキラはナイフを向けながら化物のアキラに向かっていきそのまま腹にナイフを突き刺した。

化物のアキラはナイフが突き刺さったまま仰向けで倒れアキラは消えた。
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