龍神の花嫁

福猫

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第8話

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リヨの身体を抱き起こし亮輔は声をかけた。

「リヨ、しっかり」

「……」

「リヨ!…リヨ!…リヨ!」

返事をしないリヨの名を何度も亮輔が呼び続けると龍の金銀が口を開いた。

「亮輔、リヨを俺の背中に乗せろ」

「…リヨ…」

「亮輔、泣いてないで早くリヨを乗せろ」

「……」

金銀龍に怒鳴られ亮輔はリヨを金銀龍の背中に乗せた。

「亮輔、お前は龍達とここにいろ」

「リヨ、助かるよな」

「俺を信じてここにいろ」

そう言って龍の金銀龍はリヨを背中に乗せて上空に飛んでいった。

「リヨ…」

心配そうに亮輔が上空を見つめると空間が現れ龍の黒龍が吸い込まれ空間は閉じた。

「亮輔、黒龍が空間に吸い込まれた」

「黒龍が!」

「亮輔、なぜ黒龍だけ吸い込まれたんだ」

「……」

杖で黒龍の行き先を探ると藤乃の家で藤乃と人間の黒龍が会っている姿を目撃し口を開いた。

「黒龍は大丈夫だ、藤乃の家で藤乃と会ってる…心配は亮太」

「亮太には金龍がついてんだ、心配はいらないだろ」

「赤龍の言う通りだ」

赤龍と白龍の言葉に亮輔は驚きの言葉を発した。

「心が乱れて亮太の身体から闇のオーラが現れた、もし闇のオーラが高まり亮太の身体を包んだら亮太は闇の龍になっていた」

「金銀龍は俺達が待ってるから亮輔は亮太の元に行ってこい」

「赤龍…」

「心配なんだろ、行ってこい」

「ありがとう、赤龍と白龍と青龍」

そう言って亮輔は杖を使って金の月が見える花畑に向かった。

━金の月が見える花畑ー

龍の金龍は自分の側に眠っている亮太を寝かせ優しい顔で見つめた。

そこへ亮輔が現れた。

「金龍、亮太はどう?」

「眠ってる」

「金龍に話があるんだ、2人だけで話せないかな」

「わかった」

そう言って龍の金龍は亮太を起こさないように人間の金龍に変身し亮太から離れると亮輔に近づいた。

その後、亮輔と金龍はゆっくり花畑の中を歩き出した。

「話って何だ、亮太のことか?」

「……」

金龍の問いに頷くと亮輔は真剣な顔で人間の金龍を見つめた。

「金龍のお陰で亮太は闇の龍にならなくてすんだ」

「亮太の心が乱れたのはここに来たからかもしれないな、ここに来なかったら友達の藤乃と楽しく暮らしてたのに」

「金龍、俺の質問に答えてくれ」

「何だ」

「亮太を花嫁にしてくれるか」

「俺は亮太を愛してる、亮太が俺を愛してくれるなら俺は亮太を花嫁にする」

「金龍が側に居れば亮太は大丈夫だな」

「亮輔」

「亮太のこと頼むな」

そう言って亮輔が杖を使って金龍の目の前から姿を消すと亮太が目を覚ましリヨも龍の金銀龍の目の前で目を覚ました。
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