龍神の花嫁

福猫

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第4話

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━2時間後━

目を覚ました金龍は側で寝ている亮太に驚いた。

そこへ龍の青龍が現れ降り立った。

「金龍、亮太という人間のこと知らないか?」

「名前は知らないが人間はここに居る」

「……」

龍から人間の青龍に変身すると金龍に近づき眠っている亮太の姿に驚いた。

「不思議な光景だな」

「何だよ」

「昔、お爺さんが龍達の花嫁こうほうと言って人間を連れてきたことがあったろその時、お前、連れてきた女と付き合おうとしなかったろ」

「そんなことあったな」

「俺が戻るまでどこにも行くなよ」

「わかった」

金龍が返事をすると人間の青龍から龍の青龍に変身し飛んでいった。

それから暫くして亮太が目を覚ました。

「……」

「目が覚めたか」

「俺が寝てたから動けなかったんだねゴメン」

そう言って亮太が立ち上がると金龍は龍から人間の金龍に変身した。

「奥にもっと綺麗な花があるんだ見に行かないか?」

「……」

差し出された金龍の手を掴むと亮太は金龍と共に奥に歩きそして1面バラ畑に驚いた。

「こんな所でバラを見るなんて思わなかったよ」

「バラ好きなのか?」

「一番、好きな花だ」

「……」

無言でバラに近づくと金龍はバラを一輪掴みその後、金龍は亮太に近づきバラを差し出した。

「俺に?」

「あぁ」

「ありがとう」

そう言って亮太がバラを受け取り微笑む姿を上空から見ていた龍の赤龍は無言で花畑に降り立ち龍から人間の赤龍に変身した。

「……」

バラを見つめる亮太を見つめていた金龍は気配を感じ睨み付けている赤龍に目を向けた。

「赤龍」

「……」

赤龍の姿を見て亮太はバラを握りしめながら金龍の後ろに隠れた。

「どうした」

「あいつ俺を眠らせてムリヤリ身体を奪った許せない」

「そんなことしたのか」

赤龍に向かって金龍が話しかけると赤龍が口を開いた。

「金龍、そいつは俺の花嫁だ手を出すな」

「花嫁って彼は花嫁になるって言ったのか」

「言ってない!」

「言ってないと言ってるぞ」

亮太の言葉を金龍が代わりに言うと赤龍は人間から龍の赤龍に変身した。

「金龍、俺と戦え」

「何で戦うんだよ」

「俺に言わせるな」

赤龍が口から炎を放つと金龍は亮太をお姫様抱っこし避けた。

その後、金龍は亮太を降ろし立たせると口を開いた。

「危ないから離れてろ」

そう言って目線を亮太から赤龍に向けると金龍は人間から龍の金龍に変身した。

その後、金龍と赤龍は上空に飛び戦いを始めた。

その姿を上空を飛びながら龍の青龍と黒龍が見つめた。

「あれ、金龍と赤龍だよな」

「何で戦ってんだ?」

「黒龍、あそこに亮太が居る」

黒龍の背中に乗っている藤乃が口にすると黒龍と青龍は亮太の目の前で降り立った。

「亮太!」

黒龍の背中から降りると藤乃は亮太に近づいた。

「亮太、大丈夫?」

「……」

無言で藤乃に目を向けると亮太は握りしめながら持っていた一輪のバラを落とし歩き出した。

「亮太」

亮太を追いかけ前に立つと藤乃は話しかけた。

「亮太、どうしたんだ変だぞ」

「自宅に帰るんだ、1人にしてくれ」

そう言って亮太が歩いていくと謎の男が現れた。

亮太は無視しながら男の側を通ると男に手首を掴まれた。

「……」

亮太が無言で見つめると男が金龍と赤龍に向かって話しかけた。

「金龍、赤龍、お前達の花嫁、俺が頂いていく」

「……」

「……」

戦いを止め男に目を向けると金龍と赤龍は口から炎を放った。

男は亮太をお姫様抱っこしたまま炎を避けた。

「亮太!」

藤乃が叫ぶと黒龍と青龍も口から炎を放った。

その攻撃も亮太をお姫様抱っこしたまま避けると男は亮太と共に姿を消した。

「亮太…」

小さな声で藤乃が口にすると金龍と赤龍が上空から降り立った。

その瞬間、藤乃は金龍と赤龍に近づき怒った口調で口を開いた。

「あんた達が喧嘩とかしてるから亮太は謎の男に連れ去られたんだ」

「……」

「……」

藤乃に怒られ金龍と赤龍が落ち込むと龍の銀龍が上空から降り立ってきた。
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