猫達の日常

福猫

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ミケの枕

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家の寝室でミケは普通の枕を見つめていた。

「自分の枕が欲しいな……そうだ、明花なら作ってくれるかも」

ミケは急いで明花の家に向かった。

その頃、明花は家のダイニングで朝ごはんを食べていた。

30分後、インターホンが鳴った。

明花は食事を止め席を立ち玄関に向かいドアを開いた。

「ミケ、どうしたの?」

「明花に作ってもらいたい物があるんだ」

「作ってもらいたい物って何?」

「俺が枕になった枕」

「……」

突然のミケの言葉に明花は驚いた。

「作るの無理かな」

「私は魔法使いよ、時間がかかるけど良い?」

「枕ができたら知らせて」

「わかった」

「……」

「……」

嬉しそうな顔で出ていくミケを見送ると明花は玄関のドアを閉めリビングに向かった。

「食事の途中だけどミケの枕を作るか」

魔法の杖で普通の枕を出現させると明花は魔法の杖で普通の枕に魔法をかけた。

すると普通の枕の姿がミケの姿に変わった。

「できた」

魔法の杖を消すと明花はミケの枕を掴んだ。

「これならミケ、喜ぶわよね」

明花はミケの枕を持ってミケの家に向かった。

その頃、ミケは家に居らず温泉に浸かっていた。

「俺が枕になった枕、楽しみだな」

「家に居ないから探したわよ」

枕を後ろに隠しながら明花は温泉に近づいた。

ミケは温泉から出てタオルで身体を拭き口を開いた。

「どうしたの?」

「左右の手を出しながら目を閉じて」

「何で?」

「良いから」

「わかった」

左右の手を出しながらミケが目を閉じると明花は枕を触れさせながら口を開いた。

「目を閉じたまま掴んで」

「……」

目を閉じたままミケは枕を掴んだ。

「目を開けていいわよ」

「……」

目を開けたミケは自分の枕に驚いた。

「俺が枕になってる」

「どう?」

「明花、ありがとう」

ミケは嬉しそうな顔で枕をギュっと抱きしめた。

その夜、ミケは自分の枕で眠りについた。
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