秘密の森

福猫

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第3話

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ークロの家ー

寝室で手当てを受けた淳は立ち上がるクロに声をかけた。

「シロさんが言ったことだけど」

「酷い怪我だから足を動かすなよ」

そう言ってクロは淳の顔を見ることなく寝室を出ていった。

その時、スマホが鳴った。

淳はポケットからスマホを取り出し通話ボタンを押すと耳にあて口を開いた。

「もしもし…」

「淳、家にいないな、今、どこにいるんだ」

「ゴメン、言えない」

優希の問いに淳はそう答え通話ボタンを切った。

淳の家の前で会話をしていた優希は突然、淳に通話を切られムカついた。

「勝手に切りやがった、お仕置きしないとな」

そう言って優希はスマホで淳の居場所を調べ秘密の森に向かった。

ークロの家、寝室ー

勝手に通話を切ったあと淳は後悔した。

「優希、怒ってるだろうな」

その頃、優希は秘密の森の前に立っていた。

「ここに淳がいる」

そう言って優希が森の中に入ろうとしたその時、シロが声をかけた。

「森の中に入るな」

「……」

シロに目線を向けた優希は立っている姿に驚いた。

「猫が…」

「お前、淳をいじめた奴か」

「淳を俺がいじめた?、淳が言ったのか」

「淳が言わなくても木が教えてくれる」

「淳のこと知ってるなら教えてくれ淳の居場所を」

「淳をいじめる奴に教えるわけないだろ帰ろ」

そう言ってシロが秘密の森の中に入っていくと優希も中に入っていった。

シロのあとを追ったはずの優希はシロを見失いそのまま森の中を歩き続けた。

そして優希はクロの家の前に着いた。

「森の中に立派な家があるなんてな」

そう言って優希はドアを開き声をかけた。

「誰かいませんか」

「……」

寝室で休んでいた淳はゆっくり立ち上がり玄関に向かうと優希に出くわした。

「優希!」

「淳!」

猫と同じ身長の淳に優希が驚くとクロが戻ってきた。

「何をしている」

「淳、帰るぞ」

そう言って優希が淳の手を掴んだその時、優希も淳と同じ身長になり淳は驚いた。

「優希、離して」

自分の手を掴んでいる優希の手を淳が離れさせるとクロは優希を離れさせ淳の前に立った。

「クロさん!」

「淳さん、寝室に行ってて」

「クロさん」

「早く」

「わかりました」

怒った口調でクロに言われ淳は痛む足を庇いながら寝室に向かった。

「淳、待てよ」

「……」

追いかけようとする優希をクロは前に立ち止めた。

「そこ退けよ」

「君だろ、淳さんの心を悩ませてるのは」

「お前、淳のなんなんだよ」

「俺は…淳さんの…恋人だ」

「恋人?猫のお前と淳が?」

おかしくて優希が笑うとクロは真剣な顔で優希に放った。

「淳さんの心を傷つける奴は俺が許さない、2度と淳さんに近づくな」

「猫の癖にムカつく」

そう言って優希がクロに殴りかかろうとしたその時、優希の姿が消えた。

「……」

驚いた顔でクロが見つめるその頃、光輝く大きな木の光が更に増していた。
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