猫王子に拉致された男

福猫

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第1話

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ー優芽の家ー

夜の食事を終え寝室に優芽(ゆめ)とやって来た光琉(ひかる)はベッドに座り口を開いた。

「いよいよこの時が来たね」

「そうだね」

「2人きりの結婚式か」

「光琉も私も両親が亡くなってるから仕方ないよ」

「両親に見せたかったね俺達の結婚式」

「良い結婚式にしようね」

「あぁ」

返事をすると光琉と優芽は見つめ合いその後、唇を重ねた。

「……」

「……」

互いの唇が離れ頬を赤らめながら優芽が見つめると光琉が口を開いた。

「キスだけで終わりにしないよね」

「……」

優芽はベッドから立ち上がり私服を全て脱ぎ全裸になった。

その姿を見て光琉もベッドから立ち上がり私服を全て脱ぎ全裸になった。

「優芽、愛してる」

「私も愛してる」

互いの気持ちを口にした後、光琉と優芽はベッドで身体を重ねた。

ー結婚式当日ー

光琉と優芽は教会に来ていた。

そこへ女性スタッフが近づいてきた。

「宮野様を担当させていただく佐藤と申します、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「今から着替えをしてもらいます、部屋に行きましょうか」

「はい」

返事をすると光琉と優芽は佐藤の案内で部屋に向かった。

30秒後、部屋の前に着くと佐藤が光琉に向かって口を開いた。

「彼氏様は目の前の部屋で着替えてそのままお待ちください」

「わかりました」

「光琉、あとでね」

「あぁ」

返事をし光琉が部屋の中に入りドアを閉めると優芽は佐藤と共に歩きだし別の部屋に向かった。

50秒後、部屋の前に着くと佐藤はドアを開き口を開いた。

「どうぞ」

「……」

優芽が先に中に入ると佐藤も中に入りドアを閉めた。

「ウェディングドレスを持ってきますので鏡の前でお待ちください」

「わかりました」

返事をし優芽が鏡に向かうと佐藤はクローゼットに近づき中からウェディングドレスを取り出し優芽に近づいた。

そして優芽は佐藤の手伝いでウェディングドレスに着替えた。

「呼びに来ますのでここでお待ちください」

「わかりました」

「……」

佐藤は部屋を出てドアを閉め光琉が待つ部屋に向かった。

ー光琉がいる部屋ー

白いタキシード姿で椅子に座りながら光琉が待っているとドアをノックする音がした。

「どうぞ」

返事をし椅子から光琉が立ち上がるとドアが開き佐藤が入ってきた。

「お待たせしました、聖堂に行きましょうか」

「はい」

佐藤と共に部屋を出ると光琉は聖堂に向かった。

「正面に飾られた十字架の前でお待ちください」

「わかりました」

佐藤の言葉に返事をすると光琉は十字架の前に行き佐藤は優芽の元に向かった。

「……」

十字架の前で光琉はポケットから小さな箱を取り出し2個の指輪を見つめた。

「お待たせしました」

そう言って佐藤はウェディングドレス姿の優芽を連れて光琉に近づいた。

「光琉」

「綺麗だよ」

「それでは結婚式を始めます」

「……」

「……」

光琉と優芽は十字架の方に向き佐藤の言葉を聞いた。

そして最後に佐藤が誓いの言葉を口にした。

「宮野光琉さん、野口優芽さんを永遠に愛することを誓いますか?」

「誓います」

「野口優芽さん、宮野光琉さんを永遠に愛することを誓いますか?」

「誓います」

「それでは指輪の交換と誓いのキスを」

佐藤の言葉後、光琉と優芽は向かい合い指輪の交換をした。

そして光琉と優芽が誓いの口づけをしようとしたその時、聖堂のドアが開いた。

光琉と優芽と佐藤が見つめると猫耳と猫尻尾のタキシード姿の男が口を開いた。

「光琉、迎えに来た」

「え?」

驚いた顔で光琉が見つめると男は指を鳴らし光琉を自分の方に引き寄せ抱き止めた。

「光琉!」

優芽が叫ぶと男が光琉に向かって口を開いた。

「やっと会えた、光琉」

「何で俺の名前を」

「行こうか」

そう言って光琉の唇を奪い眠らせると男は光琉と共に聖堂から姿を消した。

男に光琉を奪われた優芽は「光琉」と叫びながら涙を流した。

男に拉致された光琉は猫城の部屋の中のベッドで仰向けで眠っていた。
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