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最終話
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柚葉の記憶がよみがえって1年後、柚葉は息子と花梨が暮らしている別荘に向かった。
「花梨さん、いますか?」
「……」
全裸姿だった息子が花梨が選んだ服装で現れた。
「お母さん!」
「花梨さんはいる?」
「仕事で出てる、すぐ戻ると思うから待ってたら」
「そうさせてもらおうかな」
「靴のままでいいよ」
「わかった」
靴のまま柚葉は息子と共にソファーに近づき隣同士で座った。
それから1時間後、花梨が仕事から帰ってきた。
「ただいま……柚葉!」
「花梨さん」
ソファーから立ち上がり柚葉はお辞儀をした。
「私のこと花梨って記憶がよみがえったのね」
「はい、それで花梨さんにお願いがあってきました」
「お願いって何?」
「魔法陣を出現させてほしいんです」
「私より柚希(ゆずき)に頼めばいいのに」
「魔法陣は花梨さんに頼みたいんです」
「わかった」
柚葉の真剣な顔に負け花梨は床に魔法陣を出現させた。
柚葉は柚希に目を向け口を開いた。
「柚希、俺に赤い花柄のドレス着物を着せてほしい」
「わかった」
返事後、柚希は柚葉の衣服から赤い花柄のドレス着物を着せた。
「綺麗だよ、お母さん」
「本当、綺麗」
「……」
柚葉は魔法陣の中に入り見つめた。
「お母さん、幸せにね」
「柚葉、幸せにね」
「ありがとう柚希、花梨さん」
お辞儀をしながら柚葉は姿を消した。
ー鬼の国ー
ボスのマルコムとギルが亡くなって鬼はブライト、1人で暮らしている。
ブライトは砂浜で立ち尽くしながら海を見つめていた。
「柚葉は元気で暮らしているだろうか」
「……」
ブライトを見つけた柚葉は一歩一歩とブライトに近づき立ち止まった。
「花嫁はもう決まった?」
「その声は」
慌てて振り返ったブライトは赤い花柄のドレス着物姿の柚葉に驚いた。
「その格好」
「答えて、花嫁はもう決まった?」
「柚葉以外の花嫁はいらない」
「良かった」
柚葉はブライトに近づき見つめ合った。
「ブライトさん、俺を花嫁にしてください」
「記憶がよみがえったのか」
「……」
柚葉は頷いた。
「記憶がよみがえらなかったら良かったのにな」
「嫌な出来事の記憶はブライトさんが忘れさせてくれるだろ」
「俺が忘れさせてやる」
ブライトは柚葉を抱きしめた。
「ブライトさん、好きです」
「俺も柚葉が好きだ」
ブライトと柚葉は見つめ合いその後、互いの顔を近づけ唇を重ねた。
こうして柚葉は新しい鬼の国のボス、ブライトの花嫁になり幸せに暮らした。
完結
「花梨さん、いますか?」
「……」
全裸姿だった息子が花梨が選んだ服装で現れた。
「お母さん!」
「花梨さんはいる?」
「仕事で出てる、すぐ戻ると思うから待ってたら」
「そうさせてもらおうかな」
「靴のままでいいよ」
「わかった」
靴のまま柚葉は息子と共にソファーに近づき隣同士で座った。
それから1時間後、花梨が仕事から帰ってきた。
「ただいま……柚葉!」
「花梨さん」
ソファーから立ち上がり柚葉はお辞儀をした。
「私のこと花梨って記憶がよみがえったのね」
「はい、それで花梨さんにお願いがあってきました」
「お願いって何?」
「魔法陣を出現させてほしいんです」
「私より柚希(ゆずき)に頼めばいいのに」
「魔法陣は花梨さんに頼みたいんです」
「わかった」
柚葉の真剣な顔に負け花梨は床に魔法陣を出現させた。
柚葉は柚希に目を向け口を開いた。
「柚希、俺に赤い花柄のドレス着物を着せてほしい」
「わかった」
返事後、柚希は柚葉の衣服から赤い花柄のドレス着物を着せた。
「綺麗だよ、お母さん」
「本当、綺麗」
「……」
柚葉は魔法陣の中に入り見つめた。
「お母さん、幸せにね」
「柚葉、幸せにね」
「ありがとう柚希、花梨さん」
お辞儀をしながら柚葉は姿を消した。
ー鬼の国ー
ボスのマルコムとギルが亡くなって鬼はブライト、1人で暮らしている。
ブライトは砂浜で立ち尽くしながら海を見つめていた。
「柚葉は元気で暮らしているだろうか」
「……」
ブライトを見つけた柚葉は一歩一歩とブライトに近づき立ち止まった。
「花嫁はもう決まった?」
「その声は」
慌てて振り返ったブライトは赤い花柄のドレス着物姿の柚葉に驚いた。
「その格好」
「答えて、花嫁はもう決まった?」
「柚葉以外の花嫁はいらない」
「良かった」
柚葉はブライトに近づき見つめ合った。
「ブライトさん、俺を花嫁にしてください」
「記憶がよみがえったのか」
「……」
柚葉は頷いた。
「記憶がよみがえらなかったら良かったのにな」
「嫌な出来事の記憶はブライトさんが忘れさせてくれるだろ」
「俺が忘れさせてやる」
ブライトは柚葉を抱きしめた。
「ブライトさん、好きです」
「俺も柚葉が好きだ」
ブライトと柚葉は見つめ合いその後、互いの顔を近づけ唇を重ねた。
こうして柚葉は新しい鬼の国のボス、ブライトの花嫁になり幸せに暮らした。
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