宇宙警察猫ビッグ

福猫

文字の大きさ
上 下
3 / 11

第3話

しおりを挟む
平あかりが乗った宇宙パトカーが上空に現れると屋上からビッグが手を振った。

宇宙パトカーは上空から屋上に着陸しパトカーから平あかりが現れた。

「何かあったの?」

「あかり、彼を頼む」

「勝利の命を奪いに行くんですか」

「他の人間に危険が及ぶ、だから命を奪う」

「勝利の命を奪ったら俺はあなたを許さない」

「あかり、頼む」

平あかりに任せるとビッグはその場から姿を消した。

「勝利…」

朔太郎は涙を流した。

「家に送ります、車に乗ってください」

平あかりが助手席のドアを開いたその時、朔太郎が屋上から逃げ出した。

「ちょっと」

平あかりは運転席に乗り込み宇宙パトカーを宙に浮かせると上空から朔太郎を追いかけた。

朔太郎のお陰でビッグから逃げることができたバケモノの勝利は人気のない森の中を歩いた。

「朔太郎…朔太郎…」

何度も朔太郎の名を口にしながら歩き続けたバケモノの勝利は疲れうつ伏せで倒れた。

そこへスーツ姿で眼鏡をかけた男性が現れた。

「完全なバケモノになっても人間の心は残っている」

「誰だ」

身体を起こしバケモノの勝利は男に目線を向けた。

「俺の名前は吉田楓、バケモノを生み出した者だ」

「俺を人間に戻してくれ」

「なぜ人間に戻りたいんだ」

「俺は人間だ、バケモノじゃない」

立ち上がりバケモノの勝利は真剣な顔で楓を見つめた。

楓はバケモノの勝利に近づき口を開いた。

「浅川朔太郎に惚れてる」

「……」

突然の楓の言葉にバケモノの勝利は驚いた。

楓は小さな錠剤を差し出した。

「これは?」

「お前の願いを叶える薬だ」

「俺の願いを叶える薬?」

小さな錠剤を受けとりバケモノの勝利は見つめた。

「それを飲めばお前の欲しいものが手に入る…飲むか飲まないかはお前しだいだ」

口にした後、楓は姿を消した。

「……」

錠剤をじっと見つめバケモノの勝利は錠剤を飲んだ。

その後、バケモノの勝利は倒れ眠りにつくとバケモノの勝利の姿が全裸姿の人間に戻った。

「……」

目を覚まし全裸姿の勝利は立ち上がった。

「見つけたぞ」

「……」

勝利は振り向きビッグに目線を向けた。

「人間に戻ってもバケモノの気を感じる」

「俺の命を奪うのか?」

「朔太郎には悪いがお前の命を奪う」

「……」

笑みを浮かべると勝利はその場から姿を消した。

「逃げたか」

「命を奪えず残念だったなビッグ」

「誰だ」

ビッグは周辺を見つめ立ち尽くした。

朔太郎の家の前に宇宙パトカーを着陸させると平あかりが口を開いた。

「暫く外に出ないでください」

「ありがとうございました」

助手席からおり朔太郎は家の中に入り平あかりは宇宙パトカーを動かし上空に飛び離れていった。

玄関のドアに鍵をかけ靴を脱ぎ寝室に向かった朔太郎は寝室のドアを開き中に入り背を向けて立っている全裸姿の男に驚いた。

「誰ですか?」

「……」

男が振り向くと朔太郎は「勝利!」と言って驚いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

売られた男

Sachiko
BL
魔法使いの千景(ちかげ)にタコにされた魔法使いの琴海(ことみ)、琴海の弟、魔法使いの海音(かいね)、琴海をタコにした魔法使いの千景 不思議な力を持った人間の男、莉杏(りあん)をめぐって千景、琴海、海音が恋バトル タコにされた琴海は無事に元の人間に戻れるのか そして、莉杏と両思いになれるのは誰なのか…

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜

ドラマチカ
BL
恋愛に疲れ果てた自称社畜でイケメンの犬飼柊一郎が、ある時ふと見つけた「すずらん通り商店街」の一角にある犬山古書店。そこに住む綺麗で賢い黒猫と、その家族である一見すると儚げ美形店主、犬山悠介。 恋に臆病な犬山悠介と、初めて恋をした犬飼柊一郎の物語。 ※猫と話せる店主等、特殊設定あり

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

処理中です...