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第1話
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幸雄(ゆきお)、7歳の時、学校帰り1匹の三毛猫と出会った。
三毛猫は幸雄の後をつけた。
幸雄は立ち止まり三毛猫も立ち止まった。
幸雄は振り返り声をかけた。
「猫ちゃんどうしたの?」
「ニャー」
「お腹空いてるの?」
「ニャー」
「ちょっと待ってね」
幸雄はランドセルをおろし中から給食の残り食パンを取り出し契りながら三毛猫に差し出した。
三毛猫は喜びながら食パンを食べ始めた。
「美味しい?」
「ニャー」
幸雄の言葉に返事をすると三毛猫は再び食べ始めた。
「じゃあね」
三毛猫の身体を撫でると幸雄はランドセルを背負い走っていった。
三毛猫はじっと幸雄を見つめた。
それから13年後、幸雄は20歳になった。
ーコンビニー
コンビニ服で棚に商品を幸雄が並べていると店長が近づいてきた。
「幸雄君」
「はい」
手を止め幸雄が見つめると店長が口を開いた。
「仕事が終わったら店長室に来なさい」
「はい」
返事をすると店長はその場を離れ幸雄は棚に商品を置き始めた。
「すみません」
「はい」
再び手を止め幸雄は女性に目線を向けた。
「幸山幸雄さんですか?」
「そうですが」
「仕事は何時ごろ終わりますか?」
「19時に終わります」
「終わったらここに来てください」
そう言って女性は紙を幸雄に渡しコンビニを出ていった。
紙を受け取った幸雄は紙に目線を向け読んだ。
その後、幸雄は仕事を続けた。
ー19時ー
仕事を終えた幸雄は控え室でコンビニ服から私服に着替え控え室を出るとコンビニを出た。
その後、幸雄は紙に書かれたホテルに向かった。
ー1時間後ー
ホテルに着いた幸雄は中に入り受付に向かった
「すみません、杉山紬(すぎやまつむぎ)さんを呼んでいただけないでしょうか」
「少々お待ちください」
そう言って女性は電話で部屋にいる杉山紬を呼び出した。
「わかりました、そうお伝えします」
そう言って受話器を置くと女性は幸雄に近づき声をかけた。
「杉山様にお伝えしたら部屋まで来るようにと言われました」
「部屋はどこですか?」
「202号室です」
「わかりました」
女性にお辞儀をすると幸雄は202号室に向かった。
その頃、杉山紬は窓際に立ちながら緊張していた。
「幸雄君」
杉山紬が口にしたその時、ドアをノックする音がした。
杉山紬はドアに近づきドアを開いた。
そして杉山紬と幸雄は再会した。
「久しぶりね幸雄」
「紬?」
「紙に杉山紬って書いてあったでしょわからなかった?」
「ゴメン、わからなかった」
「入って」
「……」
幸雄は中に入りドアを閉めた。
「靴のまま良いわよ」
「わかった」
靴のまま幸雄は杉山紬と共にソファーに近づき座った。
「何か飲む?」
「お茶を」
「わかった」
そう言って杉山紬がお茶を取りに行くと幸雄が口を開いた。
「紬、綺麗になったよな」
「本当?」
「あぁ」
「ありがとう」
そう言って紬はソファーに近づきお茶のペットボトルを差し出した。
幸雄はお茶のペットボトルを受け取り飲んだ。
「よく俺がコンビニで働いてるってわかったな」
「私は弁護士よ、調べればすぐわかるわよ」
「夢、叶ったんだな」
「幸雄君は夢、諦めたの?」
「獣医師の夢、諦めた」
「……」
紬はお茶を飲む幸雄の顔を見つめた。
「何?」
「何でもない」
頬を赤らめながら紬が顔をそらすと幸雄が口を開いた。
「俺に話があるから俺を探してたんだろ」
「幸雄君、恋人いるの?」
「いないかな」
「幸雄君」
紬が身体を倒し覆い被さると幸雄の手からペットボトルが落ちお茶がこぼれた。
「紬?」
「私、幸雄君のことが好きなの、私と付き合って」
「紬…ゴメン…」
そう言って幸雄は紬の身体を離れさせソファーから立ち上がった。
そして背を向けながら口を開いた。
「紬…ゴメン…」
「他に好きな女性がいるのね」
「俺、男性が好きなんだ」
そう言って幸雄が部屋を飛び出していくと眼鏡をかけたスーツ姿の男性が現れた。
「見事にふられたな」
「うるさい」
こぼれたお茶のペットボトルを片づけながら紬が口にするとスーツ姿の男性はソファーに座った。
「要(かなめ)、何しに来たのよ」
「お前の恋を応援しに来たんだが」
「その先は言わないで」
「紬、泣くなよ」
「泣かないわよ」
紬が目線を向けると要はソファーから立ち上がり口を開いた。
「次の恋、見つけろよ」
「要に言われないでも次の恋、見つけるわよ」
「じゃあな」
「仕事中に来たの?」
「お前の恋が気になってな」
「ふられてしまったけど、来てくれてありがとう」
「……」
優しい顔で微笑むと要は部屋を出ていった。
1人になった紬はベッドに近づきうつ伏せで倒れ涙を流した。
その頃、幸雄は家に向かって歩いていた。
「あの三毛猫、元気かな」
野良猫を見つめながら歩いていると幸雄の前に三毛猫が現れた。
「ニャー」
「三毛猫」
幸雄は立ち止まり見つめた。
「ニャー」
「どうしたの?」
「ニャー」
三毛猫は尻尾をふりながら見つめた。
「もしかして俺が小学生の時に食パンをあげた三毛猫ちゃん?」
「ニャー」
「元気そうで良かった」
そう言って幸雄は三毛猫を抱っこした。
「ニャー」
「首輪ついてるね、飼い猫になったんだ」
「ニャー」
そこへ飼い主の要が現れた。
「みっちゃん!」
「ニャー」
幸雄から離れ三毛猫は要に近づいた。
要は三毛猫を抱っこし幸雄に目線を向けた。
「君は!」
「どこかで会いましたか?」
「いや…」
「みっちゃん会えて良かった、じゃあね」
三毛猫を撫で幸雄が背を向けたその時、要が口を開いた。
「みっちゃんに会いたかったら俺の店に来ると良いよ」
「店に?」
「俺、ホストクラブを経営してるんだ、みっちゃんに会いたくなったら店においで」
「俺が行っても良いんでしょうか?」
「俺の店のホスト達は優しいから大丈夫だ…はい、俺の名刺」
要が名刺を差し出すと幸雄は名刺を受け取った。
「店の場所がわからなかったらそこに書いてある番号に連絡して」
「本当に行っても良いんですか?」
「みっちゃんも君が来たら喜ぶから」
「わかりました」
「それじゃあ」
「あの」
「……」
「俺の名前、幸山幸雄といいます」
お辞儀をすると幸雄は走ってその場を離れていった。
「みっちゃん帰ろうか」
そう言って要は三毛猫を抱っこしたまま歩きだし家に向かった。
ー翌日ー
三毛猫はいつものように要と一緒にホストクラブ輝きに出勤した。
「オーナー、おはようございます」
「おはよう」
「おはようございます」
次々とホスト達が出勤してきた。
「ニャー」
三毛猫がホスト達に挨拶するとホスト達は嬉しそうに三毛猫の身体を撫でた。
その後、ホスト達は仕事を始め要はオーナー室に向かった。
三毛猫もオーナー室に向かった。
「ニャー」
「どうした?」
「ニャー」
「散歩、行ってきて良いよ」
「ニャー」
要の許可を得ると三毛猫は店から出ていきある人物に会うため別荘に向かった。
そして10時間後、三毛猫は別荘に着き白衣を着た男性に出くわした。
三毛猫は幸雄の後をつけた。
幸雄は立ち止まり三毛猫も立ち止まった。
幸雄は振り返り声をかけた。
「猫ちゃんどうしたの?」
「ニャー」
「お腹空いてるの?」
「ニャー」
「ちょっと待ってね」
幸雄はランドセルをおろし中から給食の残り食パンを取り出し契りながら三毛猫に差し出した。
三毛猫は喜びながら食パンを食べ始めた。
「美味しい?」
「ニャー」
幸雄の言葉に返事をすると三毛猫は再び食べ始めた。
「じゃあね」
三毛猫の身体を撫でると幸雄はランドセルを背負い走っていった。
三毛猫はじっと幸雄を見つめた。
それから13年後、幸雄は20歳になった。
ーコンビニー
コンビニ服で棚に商品を幸雄が並べていると店長が近づいてきた。
「幸雄君」
「はい」
手を止め幸雄が見つめると店長が口を開いた。
「仕事が終わったら店長室に来なさい」
「はい」
返事をすると店長はその場を離れ幸雄は棚に商品を置き始めた。
「すみません」
「はい」
再び手を止め幸雄は女性に目線を向けた。
「幸山幸雄さんですか?」
「そうですが」
「仕事は何時ごろ終わりますか?」
「19時に終わります」
「終わったらここに来てください」
そう言って女性は紙を幸雄に渡しコンビニを出ていった。
紙を受け取った幸雄は紙に目線を向け読んだ。
その後、幸雄は仕事を続けた。
ー19時ー
仕事を終えた幸雄は控え室でコンビニ服から私服に着替え控え室を出るとコンビニを出た。
その後、幸雄は紙に書かれたホテルに向かった。
ー1時間後ー
ホテルに着いた幸雄は中に入り受付に向かった
「すみません、杉山紬(すぎやまつむぎ)さんを呼んでいただけないでしょうか」
「少々お待ちください」
そう言って女性は電話で部屋にいる杉山紬を呼び出した。
「わかりました、そうお伝えします」
そう言って受話器を置くと女性は幸雄に近づき声をかけた。
「杉山様にお伝えしたら部屋まで来るようにと言われました」
「部屋はどこですか?」
「202号室です」
「わかりました」
女性にお辞儀をすると幸雄は202号室に向かった。
その頃、杉山紬は窓際に立ちながら緊張していた。
「幸雄君」
杉山紬が口にしたその時、ドアをノックする音がした。
杉山紬はドアに近づきドアを開いた。
そして杉山紬と幸雄は再会した。
「久しぶりね幸雄」
「紬?」
「紙に杉山紬って書いてあったでしょわからなかった?」
「ゴメン、わからなかった」
「入って」
「……」
幸雄は中に入りドアを閉めた。
「靴のまま良いわよ」
「わかった」
靴のまま幸雄は杉山紬と共にソファーに近づき座った。
「何か飲む?」
「お茶を」
「わかった」
そう言って杉山紬がお茶を取りに行くと幸雄が口を開いた。
「紬、綺麗になったよな」
「本当?」
「あぁ」
「ありがとう」
そう言って紬はソファーに近づきお茶のペットボトルを差し出した。
幸雄はお茶のペットボトルを受け取り飲んだ。
「よく俺がコンビニで働いてるってわかったな」
「私は弁護士よ、調べればすぐわかるわよ」
「夢、叶ったんだな」
「幸雄君は夢、諦めたの?」
「獣医師の夢、諦めた」
「……」
紬はお茶を飲む幸雄の顔を見つめた。
「何?」
「何でもない」
頬を赤らめながら紬が顔をそらすと幸雄が口を開いた。
「俺に話があるから俺を探してたんだろ」
「幸雄君、恋人いるの?」
「いないかな」
「幸雄君」
紬が身体を倒し覆い被さると幸雄の手からペットボトルが落ちお茶がこぼれた。
「紬?」
「私、幸雄君のことが好きなの、私と付き合って」
「紬…ゴメン…」
そう言って幸雄は紬の身体を離れさせソファーから立ち上がった。
そして背を向けながら口を開いた。
「紬…ゴメン…」
「他に好きな女性がいるのね」
「俺、男性が好きなんだ」
そう言って幸雄が部屋を飛び出していくと眼鏡をかけたスーツ姿の男性が現れた。
「見事にふられたな」
「うるさい」
こぼれたお茶のペットボトルを片づけながら紬が口にするとスーツ姿の男性はソファーに座った。
「要(かなめ)、何しに来たのよ」
「お前の恋を応援しに来たんだが」
「その先は言わないで」
「紬、泣くなよ」
「泣かないわよ」
紬が目線を向けると要はソファーから立ち上がり口を開いた。
「次の恋、見つけろよ」
「要に言われないでも次の恋、見つけるわよ」
「じゃあな」
「仕事中に来たの?」
「お前の恋が気になってな」
「ふられてしまったけど、来てくれてありがとう」
「……」
優しい顔で微笑むと要は部屋を出ていった。
1人になった紬はベッドに近づきうつ伏せで倒れ涙を流した。
その頃、幸雄は家に向かって歩いていた。
「あの三毛猫、元気かな」
野良猫を見つめながら歩いていると幸雄の前に三毛猫が現れた。
「ニャー」
「三毛猫」
幸雄は立ち止まり見つめた。
「ニャー」
「どうしたの?」
「ニャー」
三毛猫は尻尾をふりながら見つめた。
「もしかして俺が小学生の時に食パンをあげた三毛猫ちゃん?」
「ニャー」
「元気そうで良かった」
そう言って幸雄は三毛猫を抱っこした。
「ニャー」
「首輪ついてるね、飼い猫になったんだ」
「ニャー」
そこへ飼い主の要が現れた。
「みっちゃん!」
「ニャー」
幸雄から離れ三毛猫は要に近づいた。
要は三毛猫を抱っこし幸雄に目線を向けた。
「君は!」
「どこかで会いましたか?」
「いや…」
「みっちゃん会えて良かった、じゃあね」
三毛猫を撫で幸雄が背を向けたその時、要が口を開いた。
「みっちゃんに会いたかったら俺の店に来ると良いよ」
「店に?」
「俺、ホストクラブを経営してるんだ、みっちゃんに会いたくなったら店においで」
「俺が行っても良いんでしょうか?」
「俺の店のホスト達は優しいから大丈夫だ…はい、俺の名刺」
要が名刺を差し出すと幸雄は名刺を受け取った。
「店の場所がわからなかったらそこに書いてある番号に連絡して」
「本当に行っても良いんですか?」
「みっちゃんも君が来たら喜ぶから」
「わかりました」
「それじゃあ」
「あの」
「……」
「俺の名前、幸山幸雄といいます」
お辞儀をすると幸雄は走ってその場を離れていった。
「みっちゃん帰ろうか」
そう言って要は三毛猫を抱っこしたまま歩きだし家に向かった。
ー翌日ー
三毛猫はいつものように要と一緒にホストクラブ輝きに出勤した。
「オーナー、おはようございます」
「おはよう」
「おはようございます」
次々とホスト達が出勤してきた。
「ニャー」
三毛猫がホスト達に挨拶するとホスト達は嬉しそうに三毛猫の身体を撫でた。
その後、ホスト達は仕事を始め要はオーナー室に向かった。
三毛猫もオーナー室に向かった。
「ニャー」
「どうした?」
「ニャー」
「散歩、行ってきて良いよ」
「ニャー」
要の許可を得ると三毛猫は店から出ていきある人物に会うため別荘に向かった。
そして10時間後、三毛猫は別荘に着き白衣を着た男性に出くわした。
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