ホワイトストーン

福猫

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最終話

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龍生は小屋の外で空を見つめた。

そこへ龍二が足首まで長い黒のマントを身につけて小屋から出てきた。

「龍生」

「……」

無言で龍生は振り返り龍生と龍二は見つめ合った。

「具合はどう?」

「良い」

「良かった」

「龍生」

「誠が龍二の帰りを待ってるこのホワイトストーンの欠片が誠のところに運んでくれる」

そう言って龍生はホワイトストーンの欠片を龍二に渡し小屋の中に入った。

龍二はホワイトストーンの欠片を使って白い森林を離れ誠がいる家の前に姿を現した。

その時、ドアが開き人間と同じ大きさの三毛猫、誠が現れた。

「龍二!」

「誠…ただいま」

「おかえり…中に入って」

「……」

「どうした?」

「誠…ゴメン…」

そう言って龍二の目に涙が流れた。

誠は驚いた顔で声をかけた。

「龍二?」

「好きな人ができたんだ」

「好きな人?」

「ゴメン…誠…」

「その好きな人ってもしかして龍生って人?」

「……」

無言で龍二が頷くと誠が背を向けながら口を開いた。

「龍二がその人といて幸せになるのなら俺は反対しない」

「誠」

「今まで俺の側にいてくれてありがとう、幸せにな」

「誠、ありがとう」

そう言って龍二がその場から姿を消すと誠は涙を流した。

ーマタタビ畑ー

誠との別れをホワイトストーンの欠片を握りしめながら涙を流していると恭一と人間と同じ大きさの黄色のキジトラ猫、渉と人間と同じ大きさの灰色のキジトラ猫、瑠璃と精森と黒猫、也英と聖葉とヴァンパイア、ジュノが現れた。

「龍二」

恭一が声をかけると龍二は涙を拭い振り向き見つめた。

「俺達、お前と誠の話を聞いてた」

「……」

無言で龍二が背を向けるとジュノが口を開いた。

「俺は龍二のことが好きだ、好きな龍二が龍生を好きだと言うなら俺は応援する」

「ジュノの言う通り皆、龍二と龍生の恋を応援する、だから悲しむな」

「……」

ジュノと恭一の言葉に龍二は嬉し涙を流しながら振り向きお辞儀をしその後、顔をあげ口を開いた。

「皆、ありがとう」

「ジュンは俺が何とかするから安心しろ」

「……」

ジュノが口にした後、龍二は皆に向かってお辞儀をするとホワイトストーンの欠片を使ってマタタビ畑から姿を消した。

その頃、龍生は白い森林の中を散歩していた。

「誠と幸せになって欲しいな」

そう言って龍生が立ち止まり目を閉じそのまま倒れかけると龍二が抱き止めた。

龍生は目を開き龍二の姿に驚き離れた。

「誠のところに戻ったんじゃなかったのか」

「俺…お前に恋をした…だからお前の元に戻ってきた」

「誠は知ってるのか?」

「誠、恭一、渉、瑠璃、精森、也英、聖葉、ジュノ、皆、龍生との恋を応援してくれるって」

「そうですか」

「龍生」

「はい」

「迷惑ならいなくなるけど」

「迷惑だなんて」

「お前の側にいて」

「いいです、永遠に俺の側にいてください」

そう言って龍生は龍二を抱きしめた。

「お前と同じ服、俺にもお願い」

龍二が口にすると龍生は龍二から離れ足首まで長い白い服を出現させ差し出した。

「ありがとう」

そう言って龍二が足首まで長い白い服を受け取り着替えようとしたその時、龍生が口を開いた。

「小屋で着替えたら」

「そうだね」

そう言って龍二と龍生は小屋の中に入り見つめ合った。

「龍二」

「龍生」

龍生と龍二の唇は重なりその後、全裸になり身体を重ねた。

それから暫くして龍二は龍生の腕の中で眠りについた。

ーそれから5年後ー

足首まで長い白い髪に足首まで長い白い服姿の龍二が白い森林の近くの砂浜で海を見つめていると龍生が男の子の手を繋ぎながら現れた。

「龍二」

「……」

龍二は振り向き微笑んだ。

「ママ」

男の子は龍生から離れ龍二に駆け寄り抱きついた。

龍二は男の子を抱きしめた。

「龍二」

龍生が近づくと男の子は右手で龍二と手を繋ぎ左手で龍生と手を繋いだ。

「ママ、パパ、歩こう」

「あぁ」

「行こう」

「……」

男の子は嬉しそうな顔で龍二と龍生と一緒に砂浜を歩いた。

        完結
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