ホワイトストーン

第7話

「心配しなくてもお前の仲間は元に戻る」

そう言ってジュノが背を向けると精森が口を開いた。

「俺が情けないと言ったとき聖葉がそんな言い方はやめろと言ったときどう思った？」

「どう思ったってどういう意味だ」

「好きか嫌いか」

「驚いたが、好きにはならない、俺が好きなのは龍二だけだ」

「龍二は誠のものだ」

「ジュンの命を奪ったら龍二を手に入れる」

そう言ってジュノは精森に背を向けたまま歩き出した。

その時、足首まで長いマントを身につけた龍二が現れた。

「……」

ジュノは立ち止まり精森は「龍二！」と言ってジュノに近づいた。

「生きてたんだ」

「俺がここにいるとよくわかったな」

「ジュンが教えてくれた」

「ジュンは知ってるのか、俺が死んだら龍二も死ぬと」

「今の俺はジュンのものだ」

そう言って龍二はジュノと精森に新たな傷口を見せた。

ジュノと精森は驚いた。

「俺の命を奪っても龍二は死なない」

「龍二は俺に任せてあんたは聖葉を連れてきてくれ」

「何で俺が」

「良いから早く行け」

「やられるなよ」

そう言ってジュノがその場を離れていくと精森は龍二を見つめた。

「……」

「精森、俺と戦えるのか」

「俺は俺で龍二を元に戻す」

そう言って精森は龍二に近づき抱きしめた。

「もしかして精森、俺に惚れてる？」

「あぁ、惚れてる」

「……」

「……」

驚いた顔で見つめる龍二の顔を見つめながら精森はゆっくり顔を近づけ唇を重ねた。

その後、精森はゆっくり唇を離し見つめた。

龍二は頬を赤らめながら精森に無言で背を向けた。

「……」

「龍二」

名を口にすると精森は龍二を抱きしめた。

その瞬間、龍二の胸はドキドキ高鳴った。

「……」

「龍二、戻ってこい」

「離せ」

「嫌だ」

そう言って精森は龍二を自分の方に振り向かせ唇を重ねた。

龍二は精森を突き離しその場から姿を消した。

「龍二…」

「……」

精森が龍二にしたことをジュノと聖葉と恭一と瑠璃と也英が見つめていた。

「……」

精森は振り返り驚いた顔で見つめた。

「龍二は？」

恭一が問いかけると精森が口を開いた。

「消えた」

「精森に話があるから恭一とジュノと瑠璃と也英は誠を頼む」

「わかった」

恭一と瑠璃と也英がその場を離れていくと少し遅れてジュノも離れていった。

「龍二に言った言葉、本気なのか？」

「見てたのか」

「答えろ」

「皆も復活したんじゃないのか」

「何、言ってんだ」

「聖葉も復活したんじゃないのか」

「龍二は誠が好きなんだ」

「今の龍二は違うだろ」

「精森、お前」

「誠には悪いけど今の龍二を手に入れようと思ってる」

そう言って精森はその場を離れていき聖葉は見つめた。

その頃、龍二は宇宙船の地下の部屋でジュンに問い詰められていた。

「ジュノに言い寄られて命を奪うのはやめて戻ってきたのか」

「邪魔が入ったから戻ってきたんだ」

「邪魔が入ったから戻ってきた」

「もう1回、行って今度こそ命を奪ってくる」

そう言って龍二が背を向けるとジュンは龍二を背後から抱きしめ囁いた。

「邪魔をしたやつに何か言われた？」

「何も言われてない」

「例えば龍二が俺に惚れたと問いかけ邪魔をしたやつが惚れたと答えた」

「……」

驚いた顔で龍二が見つめるとジュンが口を開いた。

「図星か」

「……」

「俺以外のやつに心が奪われないようにしないとな」

そう言ってジュンは龍二の唇と身体を奪い始めた。

ー中村家ー

誠が目を覚まし恭一と渉と瑠璃と也英とジュノと精森と聖葉は誠に集まった。

「お前、何でここにいるんだ」

ジュノの姿に誠が怒った口調で口にすると聖葉が説明した。

そして最後に聖葉はジュノが命を救ったことを伝えた。

誠はジュノに目線を向け口を開いた。

「命を救ってくれてありがとう」

「…あぁ……」

照れる誠とジュノの姿を見て恭一が口を開いた。

「猫とヴァンパイアが照れてる、笑えるな」

「そうだな」

恭一の言葉に渉が口にすると皆、笑顔になった。

その後、誠と恭一と渉と瑠璃と也英と精森と聖葉とジュノは龍二を助ける作戦を練り始めた。

ー宇宙船、地下の部屋ー

ジュンに愛された龍二は宇宙船を離れ足首まで長いマントを身につけ砂浜を歩いた。

そして龍二は立ち止まり海を見つめた。

そこへ白の短い髪に足首まで長い白い服にホワイトストーンを身につけた男性が現れ龍二に近づき声をかけた。

「龍二さん」

「……」

声をかけられ龍二は横に目線を向け男性を見つめた。

「誰？」

「龍生(りゅうせい)といいます」

「俺に何かようですか？」

「皆、あなたに恋してる」

「皆って誰だよ」

「皆は皆です…そして俺も」

そう言って龍生は龍二に顔を近づけ唇を重ねた。

その瞬間、龍二は龍生を突き離しそのまま仰向けで倒れた。

その後、龍生は龍二をお姫様抱っこし砂浜を歩き始めた。

「龍二さん、暫く俺の側にいてください

そう言って龍生は龍二をお姫様抱っこしながら砂浜を歩きそのまま姿を消した。

その時、宇宙船のジュンは龍二が消えたことを感じ取り険しい顔になると中村家に向かった。

その頃、中村家には誰もおらずジュンは中村家の前に姿を現した。

「誰か出てこい…出てこないと家を壊すぞ」

ジュンが口にした5分後、龍生が姿を現した。

ジュンと龍生は見つめ合った。

「龍二の気を感じる、お前か龍二を連れ去ったのは」

「あなたの相手をしている暇はない」

そう言って龍生は身につけているホワイトストーンを使ってジュンを突き飛ばし消した。

「俺の家の前で何をしている」

恭一が声をかけると龍生は振り返り龍生と恭一は見つめ合った。