日記帳

福猫

文字の大きさ
上 下
7 / 9

第7話

しおりを挟む
「洸介が惚れてる男の人ってあの人なの?」

沙織が問いかけると慎一が口を開いた。

「楓は俺のものだ誰にも渡さない、沙織」

「何」

「今でも洸介のこと好きだよな」

「好きだけど恋じゃないわよ」

「沙織、海辺に洸介を呼んでくれ」

「今から?」

沙織が問いかけると慎一が口を開いた。

「あぁ、頼んだぞ」

そう言って慎一が海辺に向かって歩き出すと沙織はスマホで洸介のスマホに電話をかけた。

「もしもし」

「もしもし洸介、私だけど」

「沙織、どうした?」

「今から海辺に行って」

「俺が別荘にいるって良くわかったな」

「良いから海辺に行って」

通話を切ると沙織は隠れながら別荘を見つめた。

それから暫くして別荘から洸介が現れると海辺に向かって歩いていった。

沙織は姿を現し別荘を見つめた。

その頃、楓はベッドで仰向けで眠っていた。

沙織は別荘の中に入り声をかけた。

「すみません、誰かいませんか」

「……」

眠っていた楓は女性の声に築き目を覚ました。

「すみません」

「女性の声…」

楓はベッドからおり部屋を出ると階段をおり沙織に近づいた。

「あの?」

「洸介のことで話をしませんか」

「……」

楓が沙織と顔を合わせる頃、洸介は海辺で慎一と話をしていた。

「俺がここにいるって何でわかった」

「洸介、俺、楓を誰にも渡したくないんだ」

「彼の心と身体を傷つけてよくそんなこと言えるな」

「洸介、沙織とやり直せ」

「沙織とは終わってる」

そう言って洸介が背を向けると慎一が口を開いた。

「俺は楓を手に入れる、絶対に」

「……」

洸介は無言で歩きだし別荘に向かった。

その頃、楓は部屋のベッドに座りながら沙織と話をしていた。

「偶然、あなたが洸介に送ったメールの日記帳を読んだの」

「え…」

「慎一に酷いことされたのね、辛かったわね」

「辛かったわね…」

「……」

「あなたに俺の辛さなんてわかるわけない、慎一は知らない男達の目の前で俺の身体をむりやり奪った…あなたに俺の辛さなんて…わかるわけない…」

ベッドから立ち上がり楓が沙織に向かって口にし涙を流すと洸介が現れた。

「沙織!」

「……」

ベッドから立ち上がり沙織が見つめると洸介は泣いている楓に目線を向けその後、沙織に目線を向け口を開いた。

「沙織、何でここにいるんだ」

「慎一に連れてこられたの」

「沙織、楓さんに何か言ったのか?」

「何も言ってないわよ」

そう言って沙織が部屋から出ていくと洸介は楓に近づき優しく抱きしめた。

「大丈夫ですか?」

「抱きしめてください」

「……」

涙が止まらない楓を洸介は無言で優しく抱きしめ続けた。

その頃、勉は日記帳を持って楓と出会った神社に来ていた。

「……」

無言で勉が立ち尽くしていると神社の人が現れ声をかけてきた。

「こんにちは」

「……」

勉は振り向き口を開いた。

「頼みがあるんですが」

「何でしょうか?」

「小池楓という人がここに現れたらこの日記帳を渡してください」

そう言って勉が日記帳を渡すと神社の人が口を開いた。

「いつ、来られるんですか?」

「お願いします」

お辞儀をすると勉は走って神社から離れていった。

勉から日記帳を預かった神社の人は日記帳を大事に預かりながら楓が来るのを待ち続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

俺と両想いにならないと出られない部屋

小熊井つん
BL
ごく普通の会社員である山吹修介は、同僚の桜庭琥太郎に密かに恋心を寄せていた。 同性という障壁から自分の気持ちを打ち明けることも出来ず悶々とした日々を送っていたが、ある日を境に不思議な夢を見始める。 それは『〇〇しないと出られない部屋』という形で脱出条件が提示される部屋に桜庭と2人きりで閉じ込められるというものだった。 「この夢は自分の願望が反映されたものに違いない」そう考えた山吹は夢の謎を解き明かすため奮闘する。 陽気お人よし攻め×堅物平凡受けのSF(すこし・ふしぎ)なBL。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

処理中です...