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襲撃者
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俺達は夜の街を話しながら歩き、城の橋の前で2人のフルフェイスの兵士にソールを預ける。
「夜分遅くにご苦労様です!!」
兵士の1人が元気よくこちらに敬礼する。もう1人も深々とお辞儀をしている。
「じゃあね一成。また明日。」
ソールが大きく手を振りながら、兵士2人に挟まれている。
城の橋がゆっくりカラカラと音を立てながら降りてくるのが見える。
その様子を見て俺はソールに手を振り、宿に向けて歩き出した。
「ちょっとあんた達。そんなに掴まなくても逃げたりしないわよ。」
ソールの声が聞こえる。なにか揉めているようだ。
「ちょっ、痛いってば!!」
ソールが兵士の腕を振り解こうと暴れると、兵士のフルフェイスの兜の顔の部分が上がった。
「え、あんた……誰?」
「ちっ!!」
兜を上げられた兵士が舌打ちをした。
そこでやっと異変に気付いた俺はソールに駆け寄ろうとする。
「一成!!こいつら城の兵士じゃない!!」
「おい!!お前はあいつを足止めしろ!!」
兵士のうちの1人がもう1人に指示して俺の方へ剣を抜いてくる。
指示をした1人は暴れるソールの首を後ろから手刀で叩き、気絶させて連れ出そうとしていた。
「ソールを離せ。」
「巫女は貰っていく。」
「交渉決裂だな。」
俺は足止めしてくる兵士と一気に距離を詰める。
相手も戦い慣れしているのかそれに合わせて後ろにステップし、構えた剣を振り下ろしてくる。
「あっぶな!!」
思わず俺も距離を取る。
だがもう1人の兵士がソールを抱え、ドンドン距離をあけていく。
ゆっくりしている暇は無いが、俺はタバコに火をつけ大きく息を吸い込む。
「邪魔だなお前。」
「こっちのセリフだ!!」
叫びながら突っ込んでくる兵士に対し俺は全力の正拳を繰り出した。
その威力はまだ下がりきっていない橋を半分吹き飛ばすほどだったが、兵士は攻撃の直前また1歩後ろに距離を取ったあと、剣を地面に突き立てて吹き飛ばされず耐えていた。
「誘われたか。」
そして一気に来る喪失感。身体中の力を使い切ったかのような無力感。
もう一度タバコを吸い込み魔力を補給しようとするが、相手はそれを待ってはくれなかった。
今度は俺が一気に距離を縮められ、切り上げた相手の剣でタバコの火種を切り離されてしまった。
「首を切り落とすつもりだったんだが。」
「首を吹き飛ばすつもりだったんだが。」
短くなったタバコにもう一度火をつけ直し、咥えたまま一進一退の攻防を繰り広げる。
互いに数センチ、数ミリの差異があっただけで致命的な一撃が入る。
時間にして数十秒、体感数十分の戦いの中、先に攻撃を当てたのは俺だった。
パンッと一成が振り上げた拳が相手の兜を吹き飛ばす。
「女か!?」
俺が驚いた隙を相手は見逃さなかった。
振り下ろされた剣が俺の肩に突き立てられる。
幸い鋼鉄製の鎖帷子がこの攻撃を防いでくれはしたが、一撃で俺の肩が外れた。
流石に距離を取り、肩を抑えながら2本目のタバコに火をつけようとした時、俺と兵士の間にズドンという大きな音と共に何かが降ってきた。
「面白そうな事になってるじゃねぇか。俺も混ぜてくれよ。」
「夜分遅くにご苦労様です!!」
兵士の1人が元気よくこちらに敬礼する。もう1人も深々とお辞儀をしている。
「じゃあね一成。また明日。」
ソールが大きく手を振りながら、兵士2人に挟まれている。
城の橋がゆっくりカラカラと音を立てながら降りてくるのが見える。
その様子を見て俺はソールに手を振り、宿に向けて歩き出した。
「ちょっとあんた達。そんなに掴まなくても逃げたりしないわよ。」
ソールの声が聞こえる。なにか揉めているようだ。
「ちょっ、痛いってば!!」
ソールが兵士の腕を振り解こうと暴れると、兵士のフルフェイスの兜の顔の部分が上がった。
「え、あんた……誰?」
「ちっ!!」
兜を上げられた兵士が舌打ちをした。
そこでやっと異変に気付いた俺はソールに駆け寄ろうとする。
「一成!!こいつら城の兵士じゃない!!」
「おい!!お前はあいつを足止めしろ!!」
兵士のうちの1人がもう1人に指示して俺の方へ剣を抜いてくる。
指示をした1人は暴れるソールの首を後ろから手刀で叩き、気絶させて連れ出そうとしていた。
「ソールを離せ。」
「巫女は貰っていく。」
「交渉決裂だな。」
俺は足止めしてくる兵士と一気に距離を詰める。
相手も戦い慣れしているのかそれに合わせて後ろにステップし、構えた剣を振り下ろしてくる。
「あっぶな!!」
思わず俺も距離を取る。
だがもう1人の兵士がソールを抱え、ドンドン距離をあけていく。
ゆっくりしている暇は無いが、俺はタバコに火をつけ大きく息を吸い込む。
「邪魔だなお前。」
「こっちのセリフだ!!」
叫びながら突っ込んでくる兵士に対し俺は全力の正拳を繰り出した。
その威力はまだ下がりきっていない橋を半分吹き飛ばすほどだったが、兵士は攻撃の直前また1歩後ろに距離を取ったあと、剣を地面に突き立てて吹き飛ばされず耐えていた。
「誘われたか。」
そして一気に来る喪失感。身体中の力を使い切ったかのような無力感。
もう一度タバコを吸い込み魔力を補給しようとするが、相手はそれを待ってはくれなかった。
今度は俺が一気に距離を縮められ、切り上げた相手の剣でタバコの火種を切り離されてしまった。
「首を切り落とすつもりだったんだが。」
「首を吹き飛ばすつもりだったんだが。」
短くなったタバコにもう一度火をつけ直し、咥えたまま一進一退の攻防を繰り広げる。
互いに数センチ、数ミリの差異があっただけで致命的な一撃が入る。
時間にして数十秒、体感数十分の戦いの中、先に攻撃を当てたのは俺だった。
パンッと一成が振り上げた拳が相手の兜を吹き飛ばす。
「女か!?」
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振り下ろされた剣が俺の肩に突き立てられる。
幸い鋼鉄製の鎖帷子がこの攻撃を防いでくれはしたが、一撃で俺の肩が外れた。
流石に距離を取り、肩を抑えながら2本目のタバコに火をつけようとした時、俺と兵士の間にズドンという大きな音と共に何かが降ってきた。
「面白そうな事になってるじゃねぇか。俺も混ぜてくれよ。」
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