オタクの我とあいつ

鴨乃マキヤ

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#7 フラグ建築士が探偵になるには雀棋士への弟子入りが絶対かもしれません(1)

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 5時間目の現代社会が終わっても6時間目の物理が終わってもあの謎は解けないままでいた。
 ノートには思い当たる理由と自分への問いかけが書き殴られてぐちゃぐちゃだった。
 息を吐いても吐いても吐ききれない。
 散らばったペンや定規を片付けながら我は考えを整理し始めた。
 現時点で思い浮かんでいる理由は5つ。
 1つ目が一人ぼっちにされて悲しかった説だ。会話相手がいない上、近くには気絶している親友が居たらもしかしたら混乱して泣くこともあるかもしれない。
(そんなことするやつじゃないと思うんだけどね…)
 零の性格上ありえないだろう。だから確率は低いと考えている。
 2つ目がただ単に花粉症で目が痛すぎた説だ。花粉による人への攻撃によって苦しめられる人は多いはずだ。
(いや、待てよ…)
 我は入学式の日のことを思い出す。あの日は花粉の飛散量が多く、ニュースで大きく話題に上がるほどだった。鼻をジュルジュルならし、目が真っ赤にさせながら帰り道をいつものメンバーで歩く。
「優、卒業式でもないのに泣いちゃって~w」
とリンが茶化してきた。
「そういうお前こそ、ずっとくしゃみして話を妨害してたじゃないかw」
と言い返す。そうやってお互いに非難し合っていると
「はいはい喧嘩は終了ね。どっちも辛いってことでしょう?以上終わり!」
と零が仲裁に入る。過去最高レベルの辛さから
「「花粉症持ちじゃないお前にこの辛さがわかるかよ!!!」」
と2人で言い返した。零の綺麗に整った顔は花粉による攻撃でボロボロにされるどころか、桜の花びらによって美しく飾られていた。苦しんでいるところに天女がいれば、羨んで妬んでしまうのも仕方がない。
(なんだかんだ言って、あいつはやっぱり美人だよな…)
そんな物思いにふけっているのもつかの間、我は気づく。
(ってことはこれが理由じゃないじゃん…)
 頭を抱えて、<考える人 現代ver.>のポーズをとる。あーでもないこーでもないと考えを深めていくと廊下にいる生徒たちが教室に戻っていく足音が聞こえてきた。時計を見ると、7時間目が始まる5分前になっていることに気づく。我は授業の用意をし、目薬をさした。次の授業は古文だ。ノートを開くと我は絶望する。
(あれ…予習やってない……?)
 席に着くよう注意する声を耳に入れず、ノートとシャーペンを握りしめ、リンの席へと駆け出した。

 
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