オタクの我とあいつ

鴨乃マキヤ

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#3 望まぬ出会い

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「お前ら、高校入学して2週間しか経ってないんだぞ!?」 
 我ら3人を校門で待ち構えていたのは生活指導主事の田中だった。
 我は零と目を合わせ、唾をゴクっと飲んだ。
(もう、謝るしかない)
 その時だった。
「田中先生、やめてくださいよ」
 見知らぬ生徒が田中を宥める。
 色白で顔立ちが綺麗な人だった。
「その人、道に迷ってたおばあさんの手助けしてましたよ。登校途中に見たんです。おばあさん、喜んでたなぁ」
 目を輝かせてそいつは語る。
「ね、そうでしたよね?」
 ウィンクがとてもよく似合う。憎たらしい。
(でも、そんなことは気にしてられない)
 あいつに生徒指導室に拘束されるのは地獄と噂になっている。 
 それよりはどんなにマシかと自分に言い聞かせ
「…そうなんですよ笑。あんまそういうこというべきじゃないかなぁって。なぁ?」
 リンと零に同意を求める。
(…ダメそうか?)
 2人は普段真面目だからこんな事態には陥らないはずだ。
 放心状態になってたとしたら、完全に終わる。
「お前ら、そうなのか?」
 田中が我らに問いかける。
 最初に口を開いたのは意外なやつだった。
「そうだったんですよ。でも、遅れた事実は変わりませんし(苦笑) すみません。」
 零が冷静かつ自然に言葉を紡ぐ。
 その間に我はリンの肩を叩いた。
「そうでしたね。ホントにすみません」
 リンは重めに頭を下げた。
 田中は我らを完全に信じきってしまったようで
「まぁ、人助けはいい事だがな。学校のことも頭に入れとけよ」
と言葉を残して職員玄関へと向かって行った。
 完全に姿が見えなくなったの確認して3人でフーっと息を吐いた。
 すると色白の奴はふふっと笑い、
「ほんとに仲がいいんだね、零とこの2人」
と言いながら近づいてきた。 
「ホントに助かったよ、司」
 零はそういうと司とかいうやつの肩の上に手をポンと置いた。
「零、そいつ誰?知り合い?」
とリンが尋ねる。
 零は笑顔でその質問に答えた。
 柔らかい言葉だったが傷に塩を塗り込まれたようなカンジがした。
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