18 / 20
第18話
しおりを挟む
親方って聞いていたから強面の人かと思ってたけどすごく優しそうなおじいさんって感じ
雰囲気がアダロと違っていたのも納得
前もって言ってくれれば体に咲いている花を切ったりもう少しきれいにしていたのにな…
今は咲きっぱなしだから体中花だらけだし、こんな私を見て嫌いになったかな。
「すごく久しぶりにこの町に来たが、前と変わらずいい町だ。」
「ありがとうございます。いい町だなんて言ってもらえて嬉しいです。」
「そういえばティアから聞いていた娘は2人ときいていたんだが、もう1人はどこに行ったんだ?」
「あ、えっと、もう1人は今はここにはいなくて、他の所にいます。」
「そうか、まぁ深くは聞かないよ。それじゃあ君はメリスちゃん、かな?」
「そうです。会ったことないのに名前わかるなんてすごいですね。」
「ティアから手紙でどんな子たちかは前から聞いていたからね。なんとなく君と話していてリアンちゃんではないと感じただけだ。」
そんな手紙の内容だけで私たちの事わかっちゃうんだ。
お母さん私たちの事“娘”って紹介してくれていたんだね。
嬉しい。
それにお母さんの事”ティア”って名前で呼ぶ人に初めて会った。
街のみんなは“店長”って呼んでるし、初めて会った時、つまり私たちを引き取ってくれた時に自己紹介して以来聞いていなかった。
私たちも名前で呼ぶことはなかったしすごく新鮮。
「会話の間に入って悪い。なぁ、メリス。前来た時はそんなに体に花咲いてなったのに何で今はそんなに咲かせているんだ?」
「それは…えっと、いっぱい咲いていた方が可愛いかなって思って。どう?」
「どうって言われても、今までのメリスとは違うからな。」
苦しい言訳だ。
今までは咲いたら綺麗な花はお店で売って、売れそうにないものはお店に飾ったりしていた。
それでもほしいって言ってくれる人には上げたりしていた。
それを知っているアダロだからこそ今の私の状況が不思議でたまらないんだと思う。
「メリスちゃん、君はまだティアがなくなった事は仕方ないとはいえ、さらにリアンちゃんが帰ってこないことが受け入れられていないように見える。」
「ちょ、親方!」
「違うかい?」
図星だった
お母さんが亡くなって1か月以上経ったけどまだまだ受け入れられないと思う。
でもリアンが帰ってこないことは受け入れられていない。
仕事を再開したのは町の人たちの後押しがあったとはいえ、少なくとも働いている間は2人がいないことを忘れられる。
その代わり仕事が終わったら毎日のように泣いているけど。
「合っています。まだお母さんが亡くなったことが受け入れられないです。それにリアンまでいなくなってしまうなんて…私はどうしたらいいかわからなくて。」
「メリスちゃん、そういうのは無理に受け入れなくていいんだよ。家族がいなくなるのなんて誰にも想像できない。」
「でも…今のままでいるのもダメだなと思うんです。」
「そこまで考えられてるだけでいいんじゃないか?仕事もやれているんだろう?問題ないじゃないか。少しずつでいいんだよ。」
「そう…ですね。ありがとうございます。」
今までこんな人に自分の思いとか話したことなかった
こんな受け入れられないなんて最低だとか思ってた
違うんだね
安心した
だからなのかな、涙が止まらない
アダロと親方さんが来なかったらずっともやもやしたままだった。
-つづく-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【あとがき】
読んでいただきありがとうございます!
少しでもいいなと思っていただけたら応援していただけると励みになります。
最後までよろしくお願いします(*‘∀‘)ノ
雰囲気がアダロと違っていたのも納得
前もって言ってくれれば体に咲いている花を切ったりもう少しきれいにしていたのにな…
今は咲きっぱなしだから体中花だらけだし、こんな私を見て嫌いになったかな。
「すごく久しぶりにこの町に来たが、前と変わらずいい町だ。」
「ありがとうございます。いい町だなんて言ってもらえて嬉しいです。」
「そういえばティアから聞いていた娘は2人ときいていたんだが、もう1人はどこに行ったんだ?」
「あ、えっと、もう1人は今はここにはいなくて、他の所にいます。」
「そうか、まぁ深くは聞かないよ。それじゃあ君はメリスちゃん、かな?」
「そうです。会ったことないのに名前わかるなんてすごいですね。」
「ティアから手紙でどんな子たちかは前から聞いていたからね。なんとなく君と話していてリアンちゃんではないと感じただけだ。」
そんな手紙の内容だけで私たちの事わかっちゃうんだ。
お母さん私たちの事“娘”って紹介してくれていたんだね。
嬉しい。
それにお母さんの事”ティア”って名前で呼ぶ人に初めて会った。
街のみんなは“店長”って呼んでるし、初めて会った時、つまり私たちを引き取ってくれた時に自己紹介して以来聞いていなかった。
私たちも名前で呼ぶことはなかったしすごく新鮮。
「会話の間に入って悪い。なぁ、メリス。前来た時はそんなに体に花咲いてなったのに何で今はそんなに咲かせているんだ?」
「それは…えっと、いっぱい咲いていた方が可愛いかなって思って。どう?」
「どうって言われても、今までのメリスとは違うからな。」
苦しい言訳だ。
今までは咲いたら綺麗な花はお店で売って、売れそうにないものはお店に飾ったりしていた。
それでもほしいって言ってくれる人には上げたりしていた。
それを知っているアダロだからこそ今の私の状況が不思議でたまらないんだと思う。
「メリスちゃん、君はまだティアがなくなった事は仕方ないとはいえ、さらにリアンちゃんが帰ってこないことが受け入れられていないように見える。」
「ちょ、親方!」
「違うかい?」
図星だった
お母さんが亡くなって1か月以上経ったけどまだまだ受け入れられないと思う。
でもリアンが帰ってこないことは受け入れられていない。
仕事を再開したのは町の人たちの後押しがあったとはいえ、少なくとも働いている間は2人がいないことを忘れられる。
その代わり仕事が終わったら毎日のように泣いているけど。
「合っています。まだお母さんが亡くなったことが受け入れられないです。それにリアンまでいなくなってしまうなんて…私はどうしたらいいかわからなくて。」
「メリスちゃん、そういうのは無理に受け入れなくていいんだよ。家族がいなくなるのなんて誰にも想像できない。」
「でも…今のままでいるのもダメだなと思うんです。」
「そこまで考えられてるだけでいいんじゃないか?仕事もやれているんだろう?問題ないじゃないか。少しずつでいいんだよ。」
「そう…ですね。ありがとうございます。」
今までこんな人に自分の思いとか話したことなかった
こんな受け入れられないなんて最低だとか思ってた
違うんだね
安心した
だからなのかな、涙が止まらない
アダロと親方さんが来なかったらずっともやもやしたままだった。
-つづく-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【あとがき】
読んでいただきありがとうございます!
少しでもいいなと思っていただけたら応援していただけると励みになります。
最後までよろしくお願いします(*‘∀‘)ノ
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる