<奇病物語>

銀じゃけ

文字の大きさ

大中小

15 / 20

第15話

しおりを挟む

　そこには全身が鉱石になった状態でベッドに横たわっているお母さんがいた。

　「嘘、だよね…？お母さん？ねぇ、起きてよ！まだ眠っているだけでしょ！？さっきドクターは目覚めるって言ってた！寝ているなら早く目を覚ましてよ！！なんで…なんで誰もいないときに…なんで…嫌だよ…。」

息をしているか、心臓が動いているのか確認したくても鉱石が邪魔をしてどれも確認できない。
体中がそうなっているってことは…
でもまだそう決めたわけじゃない。
嫌だ…嫌だ…なんで今なの。

もし、私がもう少し早く帰って生きていたら話せたかもしれない？
もし、私が店を飛び出したりしなければもしかしたらお母さんと話せていたかもしれなかった？
もし…もしって考えたらきりがないけど、まだ信じられない。

　「ただいま～！メリスかえって来た？ドクターもしばらくうちにいてくれるって。」
　
「こんばんは。僕もしばらくお世話になります。」

　「おかえりなさい…あのね、」

その後すぐにドクターが診察をしてくれて正式に活動停止と診断された。
目が覚めるって言ったことを信じていたのに。
さっき今で生きていたのにお別れも言えなかった。

　「なんで！？ドクターは目覚めるって言ったじゃん！」
　
　「ちょっと、メリス辞めなって」

ドクターにあたっても仕方ないことは分かっているけど、この怒りをどこにぶつけたらいいか分からなかった。
2人でどうしたらいいか分からずただただ泣くしかなかった。
その日は3人で過ごした方がいいと言ってドクターは帰った

3日後、葬儀はドクターが仕切ってくれた。
日にちが立つごとに信じられない気持ちが増していった
起きたら目を開けて話しかけてくれるんじゃないかって…
気持ちが落ち着かないまま葬儀は進んでいった。

亡くなっているといえ、人を土の中に埋めるのはすごく複雑な気分になる。
この前咲いたカーネーション、お母さんに見てもらいたかった。
お墓の中に一緒に入れたら見てもらえるよね。

　母への愛をこめて

ドクターから診断の詳細を聞かされた
お母さんは思っていたよりも体の中の進行が進んでいたんじゃないかって言っていた。
外から見て進行が軽そうに見えても体の中が進んでいたなら人間は生きるのが難しくなっていしまうらしい。
そうだとしても、やっぱり目が覚めるって言われた後だったから余計に辛い。
また部屋からひょっこり出てくるんじゃないかとか考えてしまう。
リアンは葬儀が終わってから帰ってきてない。
お母さんもいなくなっちゃったのに今度はリアンって、ひどいよ。

そうだ、この前いった白い建物の所に行ったら何かわかるかな？
3日も帰ってきてない
何かあってからじゃ遅いし、急いだ方が良いよね。

リアンのこと良く知っているって言っていた人がまたいるといいな。
それともあそこにいる人たちみんな知っているのかな？

やっと見えた。
この前は気づかなかったけど、1時間ぐらいかかるところにあるし、町のはずれにあるからか町からは建物が見えない。
そりゃ見たことないよね。
ここで何か知っている人がいればいいんだけど。

　「すみません。リアンっていう女の子を探しているのですが知りませんか？」
　
　「リアン？あぁ…、その子に何か用かな？」
　
　「3日も家に帰っていないので心配になって探しに来たんです。どこにいますか？」
　
　「探しに来てくれたんだ。優しいね。彼女ならこの中にいるよ。」
　
　「そうなんですね！ありがとうございます！」
　
　「あー、来てもらたのに申し訳ないんだけど、ここは関係者以外入ることが出来ないんだ。ごめんね。」
　
　「え？関係者以外ってどういうことですか？家族は関係者じゃないんですか？」

警備の人から話を聞くと、どうやらここは刑務所らしい。
リアンは捕まってしまったわけではなく、ここでバイトをしているらしい。
3日かえっていないのはここ最近仕事が忙しく、帰ることが出来ないだけとの事。
一目合わせてほしいって言ってみたけど、どうしてもここの中に入れることは出来ないって言われてしまった。
諦めて帰るしかないか…

　『緊急事態発生！！緊急事態発生！！』

緊急事態？何が起きたんだろう。
こんな警報が鳴っちゃったらリアンはもっと忙しくなっちゃうのかな。

‐つづく‐

【あとがき】

読んでいただきありがとうございます！
少しでもいいなと思っていただけたら応援していただけると励みになります。

最後までよろしくお願いします(*‘∀‘)ノ

しおりを挟む