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第11話
しおりを挟む「今日もお疲れ様メリス。ずいぶん私が助けなくてもできるようになったじゃないか。」
「ほんと?店長にそう言ってもらえると嬉しい。」
「まだまだだけどね。」
「上げて落とすなんてひどい…。」
「いいじゃないか、たまには褒めようと思っただけだよ。ほら、お疲れ様。もう帰る時間だろう?」
「たまにはって、嬉しかったけどね。そうだった、お疲れ様。」
よし、仕事も終わったし、早くリアンと合流してお母さんのところに行こう。
そういえばお母さんいつも一人でご飯作っているのかな?
腕あまり動かなくなってきてるのに。
今日からはご飯はみんなで作れるかな。
「メリスお仕事お疲れ様!!早くお母さんの所行こう!早くー!」
「ありがとう。そうだね、早く行こう!」
コンコン
「はーい、ってあんたたち何しに来たんだい?夜遅いんだから余り出歩いていい時間じゃないだろう。」
「店長冷たいー。あとうちらの事いくつだと思ってるのさ。せっかく遊びに来たのに。」
「あんたたちはいくつになってもあたしにとっちや子供だよ。それに、事前に言わずに突然来るなんて、まったくあんたたちは。」
「ごめん店長、どうしても店長の家に行きたいっていなって来ちゃったの。」
「分かったよ。どうせその荷物の量からすると、泊まっていくつもりだろう?何泊するつもりか知らないが。」
お母さんはやれやれと言いながらも私たちを泊めてくれることになった。
何泊するかは伝えてないけど、追い出されるまではいていいのかな?
ずっと一緒に居たいな。
リアンもしばらくは帰るつもりはないって言いながら荷造りしていたけど、それにしてもリュック2個と大きめの手提げがパンパンになるぐらいの荷物ってほんと何を持ってきたのやら。
それから私たちは店長の家に居座り続けて1週間。
初めのころは昔話に盛り上がって時間を忘れることがあったけど、1週間経つと慣れてきたし現実的な話が増えてきた気がする。
結婚はするのかとか、仕事は今後続けるのかとか、お店はどうするかとか…
私はお母さんの跡を継ぐつもりでいるけど、お母さん渋い顔してたな。
まだ先の事なんて考えたくないのに、お母さんがそんな話を最近するようになったから、気持ちが重い…
楽しくいる為に泊まりに来たのにこれじゃあ、意味がない気がする。
「ねぇ、メリス、リアン。あんた達が何でいきなり家に泊まりに来たんだい?まぁ、察しは付くけどさ。」
「いきなりどうしたの?」
「いきなりじゃあないさ。最近将来のことを話すようになったからその延長さ。」
うちらの考えなんてお見通しっていう複雑そうな笑みでお母さんは話し始めた。
「私のこの体を見たら病気の進行具合なんてすぐわかる。でもね、まだあんた達が心配するようなことにはまだまだならないから安心しな。私の体さ、持たなくなりそうなときは自分で分かる。だから心配しないで自分たちの家に戻ったらどうだ?」
「何かと思ったら、たしかに心配はしてるけど、うちらはただ店長と一緒にいたかっただけだよ。」
「店長がそんなすぐにどうにかなっちゃうとは思っていないし、前みたいに一緒にいるのもいいかなって思って。」
「まぁいいさ、好きにしな。追い出したりはしないから。」
「「ありがとう。」」
お母さんは呆れた顔で泊まり続けるのを許してくれた。
本当に私たちはお母さんと一緒に居たいだけ…
もちろん心配もしてるけど。
一緒にいる時間が普通の親子よりも短いから今の時間を無駄にしたくない。
それからも私たちは今まで以上にお母さんとの時間を大切にしながら過ごしていった。
-つづく-
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