<奇病物語>

銀じゃけ

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第9話

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結局最後までダメダメだった…
顔見知りのお客さんにも笑われちゃうし。


 「メリス、私は周りを見なって言ったよね?まぁいい。今日の反省点があるなら聞こうじゃないか。」
 
 「反省点しかないよ。」
 
 「じゃあそれを踏まえて明日も頑張りな。」
 
 「うん。店長はどうやってあのお客様の数を回していたの?」
 
 「私かい?そんな特別なことはしていないさ。周りを見てお客様のタイミングを計りながら接客していくんだよ。相手も人間さタイミングはあるからね。続けていればいつかできるようになるさ。」


お客様のタイミングか、いつも私のタイミングでしか話しかけてなかったから忙しく感じたんだ。
そうだよね、人それぞれのタイミングがあるもんね



それから私は少しずつだけど一人でお店を見れるようになってきた。
でも最近はお店を締めた後に紫の小ぶりな花が咲くようになった。
これはたぶんカタクリの花…
私の気持ちそのままを表している様な花だもんね。

 
 「ねぇ店長、またカタクリの花が咲いたの。」
 
 「またかい、この間まで全然咲かなかったのに、急に咲き出したね。」


なぜか他の花は咲かずにカタクリだけが咲き続ける。
私の気持ちと何か関係があるのかな?
Drも花が咲く原因とかは分からないって言ってたし、またほかの花も咲くよね。


 「そうだ、メリスよく聞いて。見てわかるように、私の病気の進行が少しずつ進んできているんだ。もう手がほとんど動かせない。いつ寝たきりになるか分からないんだからその花たちとうまく付き合っていきながら仕事できるようにならないとだよ。」
 

見てわかる
きれいな虹色の鉱石が店長の手を覆っている。
病気が進行している証だ。


 「なんで、なんでそんな悲しい事言うの。」
 
 「事実だからだよ。カタクリの花は寂しさを表す花じゃないか。それが咲くってことは少なからずメリスがそういうことを考えているってことだろ?」
 
 「…でも!…考えたくない、いやだよ!」


そう発したとたん私はお店を飛び出していた。
店長が何か言っていたけど聞こえなかった。
店長がいなくなるなんて考えたくない
考えたくなくても、もうすぐいなくなってしまうかもしれないって思ってしまう自分が嫌だ。
店長が、お母さんが一番それを実感しているはずなのに、言わないし顔にも出さないからいざ面と向かって言われると胸が苦しくなる。


気が付くと自分の家の前に立っていた。



-つづく-
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