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想い忘れ得ぬ者
九
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時間はわずかに前後し、十君の面々が止められぬ笑いに河夕の機嫌が悪化しつつあった頃、王の私室であり今は岬が休む場所となったその部屋では十君薄紅が声を殺して笑いつつ、寝入ってしまった有葉をソファに横たえて毛布を掛けてやっていた。
岬のベッドの脇には未だ治まらぬ憤りに頬を膨らませた雪子が座って、睨むような目付きで岬の青白い顔を見ていた。
「岬ちゃんの馬鹿、影見君の馬鹿!」
ぶつぶつと文句を言うことで、胸の中にもやもやしている悪感情を吐き出そうとしているのだろう。
薄紅はそんな雪子にそっと笑い、彼女の隣に立つ。
「貴女は、岬様の恋人なの?」
「――え?」
「それとも河夕様の?」
「――」
唐突な質問に、しかも内容が内容だけに思考回路がショートし絶句してしまった雪子はろくな返事もしないまま固まってしまい、薄紅に軽い笑いを誘った。
「どちらの恋人にしても、いいなりああいう場面を見てしまったらショックも大きいでしょうね。でも心配することないわ、河夕様は岬様を心配してああいう行動に出ただけのこと。他意はないはずだから」
「――っ、ちが……っ、私っ、岬ちゃんの彼女でも影見君の恋人でもないってば!!」
ようやく我に返って声を張り上げれば、薄紅はわずかに目を見開いて雪子を見返す。
「違うって……、違うの?」
「違う!!」
顔を真っ赤にして、心の動揺をあからさまにして答える雪子に、薄紅は数秒黙った後で小さく吹き出した。
意外も意外。
彼女がどちらの恋人でないのも驚きだが、河夕を叱り、岬に平手打ちを食らわせ、その岬が血の海に倒れ死に掛けている中でも気丈であり続けた松橋雪子がこれくらいの話で顔を真っ赤にしたのが薄紅には驚きだった。
「……貴女、実は普通の女の子だったのね」
「ふ、普通ってどういう意味?」
「言葉どおりよ」
薄紅は小さな笑いを交えながら答え、衣類のポケットから小さな飴玉の包みを取り出す。
「食べない? 地球から持ち帰ったものだから口に合うと思うけど」
「……いただきます」
思い出せば昨夜から何も口にしていないことに気付き、雪子は素直に差し出された飴玉を受け取った。
ここに来て以来、頭の中で整理するにも限界があると叫びたいくらい様々なことがありすぎてゆっくり食事をするゆとりもなかった。
着ているものも西海高校のセーラー服のまま。
所々に付着している赤黒い染みは岬の血が乾いたものだ。
薄紅もそれに気付いてすかさず口を開く。
「私の衣服でよければ着替えを出すけど?」
「でも……」
「サイズは合うと思うわ。それにそのセーラーは学校の制服でしょ? 地球に戻ったら絶対必要になるんだし、任せてくれれば血の跡も綺麗に落とせるから」
言って、薄紅は雪子の言葉は待たず、颯爽とした足取りで部屋を出て行き、しばらくして着替え用の衣服を抱えて戻ってきた。
「趣味はそう悪くないと思うんだけど」
冗談のように言う彼女が差し出した衣服は雪子の好みに通じるものがあった。そういう理由もあって、雪子は薄紅の好意をありがたく受け取ることにし、隣の部屋で着替えさせてもらった。襟元が上品な範囲で広く開いた白の七分袖にこげ茶系統のワンピース。ウエストに巻く同色のリボンが大きくて可愛らしい。
「あぁ。やっぱり似合うわね」
自分の制服を抱え、着替えて戻ってきた雪子に薄紅は笑った。
「私は着ないからどうしようか迷っていたのよ、それ。着てもらえて良かった」
「ありがとう……、でも処分に迷うくらい着ない服をなんで持ってたの?」
「頂いたの、先代に」
「先代って、影見君のお父さん?」
「ええ。息子の婚約者にって」
「へー、婚約者……、っ婚約者?!」
雪子の驚愕の声が期待通りの反応だったのか、薄紅は愉しそうに笑って雪子に隣に座るよう促した。
セーラーを受け取り、綺麗にたたんで岬が眠るベッドの上に重ねて置く。
「婚約者って、じゃあ貴女が影見君の恋人じゃないの!」
それでどうして自分を河夕の恋人だと思うのか、そうまくし立てる雪子に、だが薄紅の方はまったく動じない。
「婚約者って言っても形だけのものだもの。河夕様は認めてらっしゃらないし、乗り気なのは副総帥だけ。一族の血をなるべく純血のまま保つには王族の分家筋に生まれた女が好都合でしょう? 影見の血を引く女は王のための道具に過ぎないのよ」
あっさり答える薄紅に雪子が再び絶句して固まってしまうと、そうさせてしまった薄紅は、初めて困った顔をした。
「……もしかして、闇狩一族には『情』に通じるすべての感情は不要、人と関わることは罰せられるみたいな話を河夕様から聞いたことはないの?」
「え? あ、そういえばそんなこと、緑君から確か」
「深緑から?」
これには心底不思議そうな顔をした薄紅だが、しばらく考えた後で今度こそ解ったと言いたげに手を打った。
「そう、貴女深緑の恋人なのね?」
「っ、違います!!」
「だって深緑が一族のことを貴女に話したのでしょう?」
「それはたまたまっ、そういうことを話す雰囲気になっただけで……」
「あら。深緑は関係のない相手に一族のことを漏らすような馬鹿じゃないもの。それだけ信用されてるってことでしょう?」
「だからってなんでこっ、こっ、恋人だなんて……」
「深緑は貴女みたいな女性に弱いから」
意味深な言葉をあえて無視し、雪子は顔を赤くしつつ薄紅に食って掛かる。
「薄紅さんは! なんでそんなにっ、私を誰かの恋人だと思いたがるのっ?」
「さぁ……、河夕様とは関係ないって確かめたいからかしら」
「――?」
自嘲めいた笑いを含む薄紅の口調。
それが雪子の女の勘というやつを揺り動かす。
あれ……? と思ったときにはその問いが口をついて出ていた。
「薄紅さん、もしかして影見君のこと……」
「好きよ」
「――」
あっさり、きっぱり、拍子抜けするほど簡潔に肯定の返事をされて、聞いた雪子の方が赤くなってしまう。
「え、あ、あれ……?」
何かが変だぞと思っても何も変ではないから雪子の思考回路は迷路の森に迷い込む。
そんな雪子の様子に、薄紅は先刻より愉しげに笑った。
「貴女……、すごくいい子ね」
「えぇ?」
「深緑が慕ったり、河夕様が大事になさるのも解る。貴女がそうなんだもの、岬様もきっと人間らしい人物なのね」
「人間らしいって……」
困惑する雪子に、薄紅は軽く笑ってから話し出した。
「深緑に聞いたなら二度説明する必要はないでしょうけど、闇狩一族は他人との拘りを一切許さないわ。『人間に憑いた闇を狩るには憑かれた人間ごと殺さなければならない。それを躊躇うことなく実行するには『情』などあってはならないからだ』……、副総帥はそんなもっともらしい理由をつけて私達を諭すけれど、河夕様はそれを認めようとなさらなかった。あの方は『情』を大切にする先代の血を継いだ方ですもの。家族がどんなに大切な存在か知ってる河夕様は人を守るために強くなることを望まれた。あんな形で先代を亡くされるまで、ずっとそれだけを願ってらっしゃった」
「あんな形って……聞いても問題ないこと?」
「『情』を持つことが罪とされる一族の中で家族の絆を何より重んじた先代は副総帥側の一族に狂人と呼ばれ、王の座を退くよう要求されていたの。河夕様は絶対にそんなことを認めようとなさらなかったけれど、一族の掟こそを何より重んじる連中に有葉様と生真様の命を楯に捕られて従わざるを得なかった。結果、先代は亡くなり、河夕様が王になられた。副総帥側の言うとおりの王にならなければ母上様のように、先代のように有葉様と生真様を失ってしまうから」
「っ、なにそれ! それってつまり脅されたってこと?! 家族が大事なら言うこときけって、そういうことなの?!」
いきり立つ雪子に、薄紅は静かに頷いた。
「王にはならない、ご自分が王になるということは先代が死ぬこと……、それを知ってらした河夕様はいつもそう仰られてた。だから私達も最初は信じられなかったものよ。河夕様が影主になられたと聞いて蒼月や白鳥はしばらく河夕様の顔を見ることが出来なかったというし、深緑は……、一族を捨てようとまでしたわ」
「緑君が?」
「彼は河夕様を兄弟のように慕っていたから」
「そうなんだ……」
闇狩一族は好きくないけれど、河夕とその弟妹には敬意を払うと告げた光の言葉が思い出される。
影見の中でも河夕達兄弟だけが特別だと、冗談のように言っていた彼。
あれはすべて光の本心だったということか。
「時間が経てば皆が河夕様の取った行動を理解したし、こうして十君となってあの方に従うことを選んだけれど、そう楽な道のりではなかったわね」
「なんか、複雑。一族がどうのこうのっていうのもだけど、影見君や緑君の考え方も」
雪子がポツリと呟くと、薄紅はそっと目を細めた。
岬のベッドの脇には未だ治まらぬ憤りに頬を膨らませた雪子が座って、睨むような目付きで岬の青白い顔を見ていた。
「岬ちゃんの馬鹿、影見君の馬鹿!」
ぶつぶつと文句を言うことで、胸の中にもやもやしている悪感情を吐き出そうとしているのだろう。
薄紅はそんな雪子にそっと笑い、彼女の隣に立つ。
「貴女は、岬様の恋人なの?」
「――え?」
「それとも河夕様の?」
「――」
唐突な質問に、しかも内容が内容だけに思考回路がショートし絶句してしまった雪子はろくな返事もしないまま固まってしまい、薄紅に軽い笑いを誘った。
「どちらの恋人にしても、いいなりああいう場面を見てしまったらショックも大きいでしょうね。でも心配することないわ、河夕様は岬様を心配してああいう行動に出ただけのこと。他意はないはずだから」
「――っ、ちが……っ、私っ、岬ちゃんの彼女でも影見君の恋人でもないってば!!」
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「違うって……、違うの?」
「違う!!」
顔を真っ赤にして、心の動揺をあからさまにして答える雪子に、薄紅は数秒黙った後で小さく吹き出した。
意外も意外。
彼女がどちらの恋人でないのも驚きだが、河夕を叱り、岬に平手打ちを食らわせ、その岬が血の海に倒れ死に掛けている中でも気丈であり続けた松橋雪子がこれくらいの話で顔を真っ赤にしたのが薄紅には驚きだった。
「……貴女、実は普通の女の子だったのね」
「ふ、普通ってどういう意味?」
「言葉どおりよ」
薄紅は小さな笑いを交えながら答え、衣類のポケットから小さな飴玉の包みを取り出す。
「食べない? 地球から持ち帰ったものだから口に合うと思うけど」
「……いただきます」
思い出せば昨夜から何も口にしていないことに気付き、雪子は素直に差し出された飴玉を受け取った。
ここに来て以来、頭の中で整理するにも限界があると叫びたいくらい様々なことがありすぎてゆっくり食事をするゆとりもなかった。
着ているものも西海高校のセーラー服のまま。
所々に付着している赤黒い染みは岬の血が乾いたものだ。
薄紅もそれに気付いてすかさず口を開く。
「私の衣服でよければ着替えを出すけど?」
「でも……」
「サイズは合うと思うわ。それにそのセーラーは学校の制服でしょ? 地球に戻ったら絶対必要になるんだし、任せてくれれば血の跡も綺麗に落とせるから」
言って、薄紅は雪子の言葉は待たず、颯爽とした足取りで部屋を出て行き、しばらくして着替え用の衣服を抱えて戻ってきた。
「趣味はそう悪くないと思うんだけど」
冗談のように言う彼女が差し出した衣服は雪子の好みに通じるものがあった。そういう理由もあって、雪子は薄紅の好意をありがたく受け取ることにし、隣の部屋で着替えさせてもらった。襟元が上品な範囲で広く開いた白の七分袖にこげ茶系統のワンピース。ウエストに巻く同色のリボンが大きくて可愛らしい。
「あぁ。やっぱり似合うわね」
自分の制服を抱え、着替えて戻ってきた雪子に薄紅は笑った。
「私は着ないからどうしようか迷っていたのよ、それ。着てもらえて良かった」
「ありがとう……、でも処分に迷うくらい着ない服をなんで持ってたの?」
「頂いたの、先代に」
「先代って、影見君のお父さん?」
「ええ。息子の婚約者にって」
「へー、婚約者……、っ婚約者?!」
雪子の驚愕の声が期待通りの反応だったのか、薄紅は愉しそうに笑って雪子に隣に座るよう促した。
セーラーを受け取り、綺麗にたたんで岬が眠るベッドの上に重ねて置く。
「婚約者って、じゃあ貴女が影見君の恋人じゃないの!」
それでどうして自分を河夕の恋人だと思うのか、そうまくし立てる雪子に、だが薄紅の方はまったく動じない。
「婚約者って言っても形だけのものだもの。河夕様は認めてらっしゃらないし、乗り気なのは副総帥だけ。一族の血をなるべく純血のまま保つには王族の分家筋に生まれた女が好都合でしょう? 影見の血を引く女は王のための道具に過ぎないのよ」
あっさり答える薄紅に雪子が再び絶句して固まってしまうと、そうさせてしまった薄紅は、初めて困った顔をした。
「……もしかして、闇狩一族には『情』に通じるすべての感情は不要、人と関わることは罰せられるみたいな話を河夕様から聞いたことはないの?」
「え? あ、そういえばそんなこと、緑君から確か」
「深緑から?」
これには心底不思議そうな顔をした薄紅だが、しばらく考えた後で今度こそ解ったと言いたげに手を打った。
「そう、貴女深緑の恋人なのね?」
「っ、違います!!」
「だって深緑が一族のことを貴女に話したのでしょう?」
「それはたまたまっ、そういうことを話す雰囲気になっただけで……」
「あら。深緑は関係のない相手に一族のことを漏らすような馬鹿じゃないもの。それだけ信用されてるってことでしょう?」
「だからってなんでこっ、こっ、恋人だなんて……」
「深緑は貴女みたいな女性に弱いから」
意味深な言葉をあえて無視し、雪子は顔を赤くしつつ薄紅に食って掛かる。
「薄紅さんは! なんでそんなにっ、私を誰かの恋人だと思いたがるのっ?」
「さぁ……、河夕様とは関係ないって確かめたいからかしら」
「――?」
自嘲めいた笑いを含む薄紅の口調。
それが雪子の女の勘というやつを揺り動かす。
あれ……? と思ったときにはその問いが口をついて出ていた。
「薄紅さん、もしかして影見君のこと……」
「好きよ」
「――」
あっさり、きっぱり、拍子抜けするほど簡潔に肯定の返事をされて、聞いた雪子の方が赤くなってしまう。
「え、あ、あれ……?」
何かが変だぞと思っても何も変ではないから雪子の思考回路は迷路の森に迷い込む。
そんな雪子の様子に、薄紅は先刻より愉しげに笑った。
「貴女……、すごくいい子ね」
「えぇ?」
「深緑が慕ったり、河夕様が大事になさるのも解る。貴女がそうなんだもの、岬様もきっと人間らしい人物なのね」
「人間らしいって……」
困惑する雪子に、薄紅は軽く笑ってから話し出した。
「深緑に聞いたなら二度説明する必要はないでしょうけど、闇狩一族は他人との拘りを一切許さないわ。『人間に憑いた闇を狩るには憑かれた人間ごと殺さなければならない。それを躊躇うことなく実行するには『情』などあってはならないからだ』……、副総帥はそんなもっともらしい理由をつけて私達を諭すけれど、河夕様はそれを認めようとなさらなかった。あの方は『情』を大切にする先代の血を継いだ方ですもの。家族がどんなに大切な存在か知ってる河夕様は人を守るために強くなることを望まれた。あんな形で先代を亡くされるまで、ずっとそれだけを願ってらっしゃった」
「あんな形って……聞いても問題ないこと?」
「『情』を持つことが罪とされる一族の中で家族の絆を何より重んじた先代は副総帥側の一族に狂人と呼ばれ、王の座を退くよう要求されていたの。河夕様は絶対にそんなことを認めようとなさらなかったけれど、一族の掟こそを何より重んじる連中に有葉様と生真様の命を楯に捕られて従わざるを得なかった。結果、先代は亡くなり、河夕様が王になられた。副総帥側の言うとおりの王にならなければ母上様のように、先代のように有葉様と生真様を失ってしまうから」
「っ、なにそれ! それってつまり脅されたってこと?! 家族が大事なら言うこときけって、そういうことなの?!」
いきり立つ雪子に、薄紅は静かに頷いた。
「王にはならない、ご自分が王になるということは先代が死ぬこと……、それを知ってらした河夕様はいつもそう仰られてた。だから私達も最初は信じられなかったものよ。河夕様が影主になられたと聞いて蒼月や白鳥はしばらく河夕様の顔を見ることが出来なかったというし、深緑は……、一族を捨てようとまでしたわ」
「緑君が?」
「彼は河夕様を兄弟のように慕っていたから」
「そうなんだ……」
闇狩一族は好きくないけれど、河夕とその弟妹には敬意を払うと告げた光の言葉が思い出される。
影見の中でも河夕達兄弟だけが特別だと、冗談のように言っていた彼。
あれはすべて光の本心だったということか。
「時間が経てば皆が河夕様の取った行動を理解したし、こうして十君となってあの方に従うことを選んだけれど、そう楽な道のりではなかったわね」
「なんか、複雑。一族がどうのこうのっていうのもだけど、影見君や緑君の考え方も」
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