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第8章 金級ダンジョン攻略

閑話:ダンジョン近くの町で(2) side:バルドル*

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 コテージの代わりに借りた貴族の別荘に戻り、食堂に設置してあるテントに入ると、広いリビングダイニングには食卓の一つを陣取って大きな紙面を広げているレイナルドがいた。

「おう、お帰り」
「戻りましたー!」

 ウーガが陽気に応じ、レイナルドが陣取っているテーブルとは別のやつに買って来た料理を乗せる。

「リーダーも食べてよね。山ほど買って来たから」
「おう。助かる。それとレンが必要なら食えって白飯だけ炊いてってくれたぞ」
「おおお! さすがレン!」

 レンの飯を食うようになってからすっかり白飯にはまっているウーガが目を輝かせた。かくいう俺もあの串焼きには白飯が合うだろうなと考えてしまうんだから胃袋は完全に掴まれている。
 町に繰り出した6人で一つの食卓を囲み、レイナルドがたまに会話に参加する形で夕飯を取った後は、最初にヒユナが自分の部屋に移動し、レイナルドも後は部屋で作業すると言って自室へ。

「エニスは夜街に繰り出すの?」
「あー……今日はもういいわ」
「じゃあ俺が酔い潰れるまで付き合って! ドーガも!」
「はっ?」
「潰れる前提かよ」
「だぁってまだ抱き心地の良いまくらが見つかってないだもん……!」

 今まではレンの魔豹ゲパールがウーガの抱き枕役を担当してくれていたが、カンヨン国王都を制圧した日から見ていない。
「いつかはまた一緒に冒険したい」と言って魔石を大事に持っているのは知っているが、同時に、その時まではまだ当分時間が掛かりなのも理解している。

「トラントゥトロワの抱き心地が良さそうな魔物って何がいたっけ?」
魔豹ゲパールみたいな魔物ってことだろ。30階層以降の極寒地帯にいる白き氷の凶熊ウースポレーア氷雪の狡狐ルナァルカ……鳥型なら忌爪の白梟シュエテール暴食の白鳥シグベルももふっとしていそうだったな」

 クルトの疑問に、事前に頭に叩き込んだ情報を引っ張り出した。
 実際に見たことは無いからあくまで予想だ。

「30階層以降ってことはまだ当分先だね……」
「俺のまくらぁ~」

 ウーガが一人で眠れないのはレンを含めた俺たちパーティメンバーの他にレイナルドと、あと何人かは把握している。何故かって、たまにテントの共有部分――このリビングダイニングのソファで寝ているからだ。此処なら外で見張りをしているメンバーの気配があるから孤独を感じずに済むという理由で。
 レンもウーガのためならって魔豹ゲパールを顕現しようとしたが、出来なかった。手が震えて、あれほど緻密だった魔力操作があと少しというところで瓦解した。魔法使いのメンバー曰く「たぶん心の奥底では顕現させることを望んでいないから」と。
 つまり心の傷はまだ癒えていないってことなんだろう。
 なのに泣きそうな顔で謝るレンにウーガは「大丈夫!」と言い切った。
 これも一人寝に慣れるためのチャンスだ、と。
 まぁ実際はエニスとドーガが数日に一回くらいの頻度で抱き枕にされているわけだが。ダンジョン内じゃ酒が飲めないし。

「……俺たちも飲むの付き合おうか?」
「は?」

 隣のクルトがそんなことを言い出し、慌てる。
 けど俺が何か言う前にウーガが「ダメダメ」とニヤついた顔で拒否した。

「これ以上お預け食らわせたら後が怖いよ?」
「え」

 ウーガにしては珍しく良いことを言った。

「行こう」
「えっ」
「まったねー」
「おやすみ」
「ほどほどにな」

 俺はクルトの手を握ると、多少強引に引っ張って移動し自分の個室に転移した。
  



 個室に足が着いたと同時、背後の壁にクルトの背を押し付けて口づけた。

「んっ」

 一度離すと、クルトの口が僅かに開いた。
 その隙間から舌を潜り込ませるように再び口づけた。こうした触れ合いを重ねる中でゆっくりと行為に慣れていった彼の、鼻から抜ける熱を帯びた吐息に煽られる。
 キスしたまま散策用に佩いていた予備の剣を剣帯ごと外して足元に置き、次いでクルトの装備に手を掛ける。二人とも出かける前に軽装に変えていたから脱ぐのも脱がすのも簡単だ。

「ふ……待っ……んん」

 何か言い掛けた口を三度塞いでクルトの肌を隠すものを一つ一つ落としていった。
 下着一枚にしたら、今度は自分だ。
 クルトは何度か制止の声を上げようとしていたがその度に口を塞いでやった。
 で、俺も下着一枚になったところで顔を離し、抱き上げた。

「! バルっ」
「夜は俺だけって言った」

 個室は、そこまで広くない。
 そう答えるだけの間にクルトをベッドまで運んで押し倒せる。

「お預けは終わりだ」
「っ……!」

 噛みつくようにキスしながら下着越しの一物を擦り合わせたら、早々に萌し始めている俺のにつられてクルトの可愛いそれも熱を帯びる。
 もう何度も俺のコレを受け入れてくれたんだ。
 この後どうなるかなんてとっくに学習済みの体は、まだ鮮明な意識とは裏腹に素直過ぎるくらい反応する。

「っん…ん……」

 口付けたままクルトの両足を持ち上げて最後の一枚を剥いだら、其処に隠れていた秘所に指を這わす。
 クルトの体が小さく震えると同時、くちゅ……と指先が濡れた。
 儀式を受けて雌体になってからまだ半年も経っていないが、この先でどんなに気持ち良くなれるのかはもう二人とも解っている。
 最初は指1本。
 馴染んだら2本。

「は……んっ……ぁ……」

 性急だと自分でも思うがダンジョン内ではやはり翌日の予定が気になってなるべく控えていた。今日には外に出る予定だったから前回は5日前だ。早く二人きりになりたかったのに、結局夜まで耐えたのに。
 更にお預けする気だったのかと思ったら――。
 3本。
 もう限界だ。
 クルトの両足を開かせて、腰を抱える。

「ぁっ、待っ……――あああっ」
「俺以外の匂いなんか……っ」

 中から全部消してやる。
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