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第8章 金級ダンジョン攻略
233.最寄りの町へ(2)
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ダンジョンから町まで徒歩で約1時間。
レイナルドさんは町で落ち着いてからいろいろ相談して決めると言っていたのに、少なくとも今日から連休になることは確定しているから番持ちの面々を筆頭に誰もが浮足立っていて、移動中から話が盛り上がった。
「16人で同じ宿に泊まる必要はないが、トゥルヌソルの家に帰るメンバーはレンと一緒が無難か」
「グランツェ、モーガン、ミッシェル、アッシュ、ウォーカー、それから俺……だがこの人数が同じところに泊まって、数日間一度も部屋から出て来ないってのは悪目立ちしないか? レンだって出て来ないんだろ?」
「えっ」
ゲンジャルさんに指摘されて狼狽える。
そ、そうなるのかな……?
動揺したのが皆にはバレバレで、レイナルドさんは苦笑して話を戻す。
「いっそコテージを借りるか? いまなら空いているだろ。他にダンジョンに挑んでいるパーティがないって言うし」
「それアリかも」
「悪い。俺たちは二人で宿を借りるでも良いか?」
手を上げて主張したのはオクティバさん。
「ああ、それはもちろん。せっかくの休みなんだからこっちに合わせる必要はない」
「そうなると……4部屋あるコテージを借りたら足りるのか? 部屋が必要なのはレイナルド、ヒユナ……バルドルパーティが部屋2つで分かれられるんだったらだが」
「あー……俺とクルトも別行動したい」
と、バルドルさん。
えっ。
バルドルさん?
クルトさんが隣で赤くなってますけど事前に相談済みですか⁈
「ほう」
「そりゃ構わんさ。じゃあバルドル、クルト、オクティバ、ディゼルは各自で宿を取る。俺たちはコテージをレンタルするで良いか?」
「いいよ」
「若干割高だけど許容範囲ね」
「何連休にするかにもよるわ……!」
身を乗り出す勢いで迫ったのはミッシェルさん。
判ります。
そこが重要なんですよね。
「そう、だな……本命の金級ダンジョンが控えているとはいえ期限のあるものでもなし、急ぐ必要はないからな……2度目の入場で20日間潜ることを考えたら」
「考えたら……?」
心なしかアッシュさんやウォーカーさんの目が期待でキラキラしている。
レイナルドさんはやっぱり苦笑して、軽い吐息を一つ。
「4日、休むか」
「おっしゃ!」
「レイありがとう!」
「大好き!」
「はいはい。言っとくがトゥルヌソルで外に出るのは禁止だぞ。くれぐれもレンの特異なあれこれを外部に漏らすような真似はするな」
「もちろん!」
「任せとけ!」
レイナルドパーティの皆が歓喜に沸く中、グランツェさんとモーガンさんも嬉しそうな笑顔を見せ合っている。
あ、さっきから話に出ているコテージだけど。
これは元の世界にあったコテージとほぼ同じで主に短期滞在の宿泊先として丸ごとレンタル出来る一軒家だ。そのデザインや内装は土地それぞれだけど金級以上のダンジョンの傍にある町には大体複数用意されているんだって。
「4泊して、5日後の朝6時に出発。ダンジョンで必要な物資はテントに保管してあるから追加は不要だと思うが個人で何かあれば前日までに準備しておけ」
「判りました」
「おう!」
「あと、ヒユナはなるべく町で一人にならないように。金級ダンジョンに挑む冒険者はいなくても、悪いのがいないとは限らないからな」
「気を付けます」
ヒユナさんが緊張した面持ちで頷いた直後。
「外に出るときは俺が付き合うよ」
すかさず声を上げたドーガさんに、年長者たちが目を瞬かせた。
ニヤリとしていたのはウーガさんで、そんなお兄ちゃんの隣でエニスさんが「止めとけ」ってウーガさんを小突いていた。
レイナルドさんは町で落ち着いてからいろいろ相談して決めると言っていたのに、少なくとも今日から連休になることは確定しているから番持ちの面々を筆頭に誰もが浮足立っていて、移動中から話が盛り上がった。
「16人で同じ宿に泊まる必要はないが、トゥルヌソルの家に帰るメンバーはレンと一緒が無難か」
「グランツェ、モーガン、ミッシェル、アッシュ、ウォーカー、それから俺……だがこの人数が同じところに泊まって、数日間一度も部屋から出て来ないってのは悪目立ちしないか? レンだって出て来ないんだろ?」
「えっ」
ゲンジャルさんに指摘されて狼狽える。
そ、そうなるのかな……?
動揺したのが皆にはバレバレで、レイナルドさんは苦笑して話を戻す。
「いっそコテージを借りるか? いまなら空いているだろ。他にダンジョンに挑んでいるパーティがないって言うし」
「それアリかも」
「悪い。俺たちは二人で宿を借りるでも良いか?」
手を上げて主張したのはオクティバさん。
「ああ、それはもちろん。せっかくの休みなんだからこっちに合わせる必要はない」
「そうなると……4部屋あるコテージを借りたら足りるのか? 部屋が必要なのはレイナルド、ヒユナ……バルドルパーティが部屋2つで分かれられるんだったらだが」
「あー……俺とクルトも別行動したい」
と、バルドルさん。
えっ。
バルドルさん?
クルトさんが隣で赤くなってますけど事前に相談済みですか⁈
「ほう」
「そりゃ構わんさ。じゃあバルドル、クルト、オクティバ、ディゼルは各自で宿を取る。俺たちはコテージをレンタルするで良いか?」
「いいよ」
「若干割高だけど許容範囲ね」
「何連休にするかにもよるわ……!」
身を乗り出す勢いで迫ったのはミッシェルさん。
判ります。
そこが重要なんですよね。
「そう、だな……本命の金級ダンジョンが控えているとはいえ期限のあるものでもなし、急ぐ必要はないからな……2度目の入場で20日間潜ることを考えたら」
「考えたら……?」
心なしかアッシュさんやウォーカーさんの目が期待でキラキラしている。
レイナルドさんはやっぱり苦笑して、軽い吐息を一つ。
「4日、休むか」
「おっしゃ!」
「レイありがとう!」
「大好き!」
「はいはい。言っとくがトゥルヌソルで外に出るのは禁止だぞ。くれぐれもレンの特異なあれこれを外部に漏らすような真似はするな」
「もちろん!」
「任せとけ!」
レイナルドパーティの皆が歓喜に沸く中、グランツェさんとモーガンさんも嬉しそうな笑顔を見せ合っている。
あ、さっきから話に出ているコテージだけど。
これは元の世界にあったコテージとほぼ同じで主に短期滞在の宿泊先として丸ごとレンタル出来る一軒家だ。そのデザインや内装は土地それぞれだけど金級以上のダンジョンの傍にある町には大体複数用意されているんだって。
「4泊して、5日後の朝6時に出発。ダンジョンで必要な物資はテントに保管してあるから追加は不要だと思うが個人で何かあれば前日までに準備しておけ」
「判りました」
「おう!」
「あと、ヒユナはなるべく町で一人にならないように。金級ダンジョンに挑む冒険者はいなくても、悪いのがいないとは限らないからな」
「気を付けます」
ヒユナさんが緊張した面持ちで頷いた直後。
「外に出るときは俺が付き合うよ」
すかさず声を上げたドーガさんに、年長者たちが目を瞬かせた。
ニヤリとしていたのはウーガさんで、そんなお兄ちゃんの隣でエニスさんが「止めとけ」ってウーガさんを小突いていた。
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