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第7章 呪われた血筋
199.森人族との邂逅
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お待たせしました、不定期になりますが更新再開します。今日まで停止していて申し訳ありません。お待ちくださっていた皆さまには心から感謝申し上げます。
※ここまでのお話を5行でおさらい※
1.木ノ下蓮は神様その1(ユーイチ)&その2(リーデン)の計らいで異世界ロテュスに転移
2.寿命の関係で12歳まで若返った蓮は冒険者として活動開始
3.神様たちと関係が海より深い蓮は異世界の天敵獄鬼にめっぽう強い!
4.いろんなアイテム作って獄鬼対策、敵の本拠地(マーヘ大陸)に乗り込んだ
5.かなりヤバくて妙な雰囲気のマーヘ大陸で森人族から助けて欲しいと訴えが……
***
城の中と中、中と外でメッセンジャーが何度も行き来する。
最初以外はレイナルドさんと騎士班のリーダーさんが会話していたから内容まで知りようがないけれど、後半に入ってから、
「無茶させることになるが長距離移動になっても大丈夫か?」
と確認されたってことは森人族と会うことにしたんだろう。
ただ、その行程は本当に無茶なもので、俺とレイナルドさん、アッシュさんの3人だけで移動してキクノ大陸の連合軍との合流を目指す騎士班を追いかけて、問題が片付いたら、スィンコ城の後始末を終えて北上ギァリッグ大陸の連合軍と合流するこっちの部隊に復帰する。
うん、なかなかの強行軍だ。
「本当に大丈夫か?」
城門前で待ち合わせたレイナルドさんは、渋面で最終確認して来る。
「そう聞かれると判りませんとしか言えないですよ」
「ああ……まぁそうだな」
「でも、そうまでしても森人族の人たちと会わないとダメだって、レイナルドさんは判断したんですよね?」
詳しくは判らない。
だけどシューさんのことをリーデン様から聞いたりしないって決めたあの日から心に燻るものがあった。
ほんのちょっとの切っ掛けで良い。
あの日よりもこの世界のことを知っていたら、もしかしたら、レイナルドさんに頼ってもらえるかもしれないって。
これは俺の打算。
「その判断を信じます」
「……ありがとな」
くしゃりと頭を撫でられた。
静かに見守るだけだったアッシュさんの表情が柔らかくなって、俺も嬉しくなってしまった。
クルトさんやバルドルさん達に見送られて、たった三人、進路を西に変えて進む。
どの部隊も他の大陸の連合軍と合流予定があるから止まって待っているわけにもいかず、こちらが騎士班より速度を上げていかないといつまでも追い付けない。
というわけで三度お世話になります、魔豹のユキ、ツキ、ハナ。
一番大きなユキに俺とアッシュさんが二人で乗せてもらい、レイナルドさんはツキに。ハナは先頭で道の状態確認と周辺の警戒だ。
荒れ果てた土地を我が物顔で蠢く獄鬼と、やせ細って骨が浮いて見える魔物を相手にしながら前進を最優先に移動し続けること2日。
「班長!」
遠く、こちらに気付いた騎士団の人たちの声が聞こえて来た。
神様たちの内情はともかく、リーデン様が創造神として奉られている此処、ロテュスには5つの種族が仲良く共生している。
一番多いのは獣人族。他の世界で奴隷扱いだった獣人族のために創られたのがこの世界なんだから当然といえば当然だ。
次に多いのは……多いと言っても10人中7人が獣人族なら1人いるかな?ってくらいの比率だけど、それが前の世界にいた時から獣人族も人と変わらないって考えていて、一緒に此方に移動してきたほんの少しの人族と、そもそも土の中で生きる少ない動物を祖先に持つ地人族。
ただ、現代の人族は他の種族と血が交わっているけど見た目が人族って人がほとんどだから、異世界から転移してきたがために他の種族の血が一切入っていない俺は超レアなので、バレると危険だから気を付けろって、事情を知っているレイナルドさんたちからは口を酸っぱくして言われている。
で、100人いればまぁ2人くらいはいるかな? っていうのは海の動物を祖先に持つ水人族。人魚みたいに半身が魚っぽくて、尾は乾くと足になるから地上でも生活できる。この間までお邪魔していたオセアン大陸が水人族の国で、そこの王様の祖先はイルカだった。
そして、100人に1人いたらラッキーくらい希少な種族が森人族だ。
森と共に生きる彼らは男女問わずとにかく綺麗な見た目で、しかも寿命が他の種族に比べると半分にも満たないという特徴がある。
そのせいで良くないことを考える連中は酷い手段で森人族を攫って本人の意思に関係なく奴隷契約したり家に監禁したりする。
俺が住んでいるプラーントゥ大陸は奴隷制度が絶対禁止で、未開の土地がとても多いから自然も多い。
日本によく似た文化をもつキクノ大陸は万物に神が宿るってほどではないけど見えない何かは存在するって考え方が根強くて、自然を大切にしている。
たぶんそういう理由があって、森人族はこの二つの大陸以外ではほとんど見られないんだ。
じゃあよりによって獄鬼に支配された此処、マーヘ大陸にどうして森人族がいるのかって言ったらろくな理由じゃないのは明らかで。
実際、合流した騎士団に保護されていた二人はボロボロの布切れ一枚を体に巻いただけの心許ない装いで、骨と皮しかないような瘦せ過ぎの体だった。
肌は土気色。
髪だって元の色が判らないくらい汚れていて、まだ10代だろう男の子に背負われた女性の方は、もうほとんど意識がなかった。
「レン!」
「はいっ」
間に合え……っ、心の中で強くそう念じながら、俺は全力の回復魔法を発動した。
※ここまでのお話を5行でおさらい※
1.木ノ下蓮は神様その1(ユーイチ)&その2(リーデン)の計らいで異世界ロテュスに転移
2.寿命の関係で12歳まで若返った蓮は冒険者として活動開始
3.神様たちと関係が海より深い蓮は異世界の天敵獄鬼にめっぽう強い!
4.いろんなアイテム作って獄鬼対策、敵の本拠地(マーヘ大陸)に乗り込んだ
5.かなりヤバくて妙な雰囲気のマーヘ大陸で森人族から助けて欲しいと訴えが……
***
城の中と中、中と外でメッセンジャーが何度も行き来する。
最初以外はレイナルドさんと騎士班のリーダーさんが会話していたから内容まで知りようがないけれど、後半に入ってから、
「無茶させることになるが長距離移動になっても大丈夫か?」
と確認されたってことは森人族と会うことにしたんだろう。
ただ、その行程は本当に無茶なもので、俺とレイナルドさん、アッシュさんの3人だけで移動してキクノ大陸の連合軍との合流を目指す騎士班を追いかけて、問題が片付いたら、スィンコ城の後始末を終えて北上ギァリッグ大陸の連合軍と合流するこっちの部隊に復帰する。
うん、なかなかの強行軍だ。
「本当に大丈夫か?」
城門前で待ち合わせたレイナルドさんは、渋面で最終確認して来る。
「そう聞かれると判りませんとしか言えないですよ」
「ああ……まぁそうだな」
「でも、そうまでしても森人族の人たちと会わないとダメだって、レイナルドさんは判断したんですよね?」
詳しくは判らない。
だけどシューさんのことをリーデン様から聞いたりしないって決めたあの日から心に燻るものがあった。
ほんのちょっとの切っ掛けで良い。
あの日よりもこの世界のことを知っていたら、もしかしたら、レイナルドさんに頼ってもらえるかもしれないって。
これは俺の打算。
「その判断を信じます」
「……ありがとな」
くしゃりと頭を撫でられた。
静かに見守るだけだったアッシュさんの表情が柔らかくなって、俺も嬉しくなってしまった。
クルトさんやバルドルさん達に見送られて、たった三人、進路を西に変えて進む。
どの部隊も他の大陸の連合軍と合流予定があるから止まって待っているわけにもいかず、こちらが騎士班より速度を上げていかないといつまでも追い付けない。
というわけで三度お世話になります、魔豹のユキ、ツキ、ハナ。
一番大きなユキに俺とアッシュさんが二人で乗せてもらい、レイナルドさんはツキに。ハナは先頭で道の状態確認と周辺の警戒だ。
荒れ果てた土地を我が物顔で蠢く獄鬼と、やせ細って骨が浮いて見える魔物を相手にしながら前進を最優先に移動し続けること2日。
「班長!」
遠く、こちらに気付いた騎士団の人たちの声が聞こえて来た。
神様たちの内情はともかく、リーデン様が創造神として奉られている此処、ロテュスには5つの種族が仲良く共生している。
一番多いのは獣人族。他の世界で奴隷扱いだった獣人族のために創られたのがこの世界なんだから当然といえば当然だ。
次に多いのは……多いと言っても10人中7人が獣人族なら1人いるかな?ってくらいの比率だけど、それが前の世界にいた時から獣人族も人と変わらないって考えていて、一緒に此方に移動してきたほんの少しの人族と、そもそも土の中で生きる少ない動物を祖先に持つ地人族。
ただ、現代の人族は他の種族と血が交わっているけど見た目が人族って人がほとんどだから、異世界から転移してきたがために他の種族の血が一切入っていない俺は超レアなので、バレると危険だから気を付けろって、事情を知っているレイナルドさんたちからは口を酸っぱくして言われている。
で、100人いればまぁ2人くらいはいるかな? っていうのは海の動物を祖先に持つ水人族。人魚みたいに半身が魚っぽくて、尾は乾くと足になるから地上でも生活できる。この間までお邪魔していたオセアン大陸が水人族の国で、そこの王様の祖先はイルカだった。
そして、100人に1人いたらラッキーくらい希少な種族が森人族だ。
森と共に生きる彼らは男女問わずとにかく綺麗な見た目で、しかも寿命が他の種族に比べると半分にも満たないという特徴がある。
そのせいで良くないことを考える連中は酷い手段で森人族を攫って本人の意思に関係なく奴隷契約したり家に監禁したりする。
俺が住んでいるプラーントゥ大陸は奴隷制度が絶対禁止で、未開の土地がとても多いから自然も多い。
日本によく似た文化をもつキクノ大陸は万物に神が宿るってほどではないけど見えない何かは存在するって考え方が根強くて、自然を大切にしている。
たぶんそういう理由があって、森人族はこの二つの大陸以外ではほとんど見られないんだ。
じゃあよりによって獄鬼に支配された此処、マーヘ大陸にどうして森人族がいるのかって言ったらろくな理由じゃないのは明らかで。
実際、合流した騎士団に保護されていた二人はボロボロの布切れ一枚を体に巻いただけの心許ない装いで、骨と皮しかないような瘦せ過ぎの体だった。
肌は土気色。
髪だって元の色が判らないくらい汚れていて、まだ10代だろう男の子に背負われた女性の方は、もうほとんど意識がなかった。
「レン!」
「はいっ」
間に合え……っ、心の中で強くそう念じながら、俺は全力の回復魔法を発動した。
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