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第6章 変遷する世界
186.大陸奪還戦(2)※最後に画像(地図)有
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※手書きの地図を最後に添付してますが、国名は忘れて大丈夫です。担当地域を色分け、本文の国名()内の数字はそちらの地図に記載した番号と紐づきます。
***
マーヘ大陸は代表を名乗るカンヨン国を中心に、北からスィンコ(5)、カンヨン(8)、ディエス(10)、トレセ(13)という内陸4か国を、いまギァリック大陸が上陸戦を展開中のウノ国から時計回りにウノ(1)、トレス(3)、セイス(6)、オンセ(11)、キンセ(15)、カトルセ(14)、ヌエヴェ(9)、スィエテ(7)、クワトロ(4)、ドス(2)という11カ国が囲んでいる。
今回の作戦で言い直すと、北側、すでに獄鬼に支配されて真っ黒なウノ(1)、ドス(2)、トレス(3)をギァリック大陸が。
北半分がほぼ真っ黒なセイス(6)と、全部真っ黒なスィンコ(5)がプラーントゥ大陸。
数ヵ月前の時点で北側は危なかったもののまだ持ち直すだろうと予想されていたオンセ(11)、ディエス(10)をグロット大陸。
ほぼ真っ白なキンセ(15)、カトルセ(14)、トレセ(13)をオセアン大陸。
そして微妙なヌエヴェ(9)、ほぼ黒いスィエテ(7)、真っ黒なクワトロ(4)をキクノ大陸が担当する。
で、大臣さんがさっきも言ったように今回の上陸は、マーヘ大陸を侵略している獄鬼の対応がそちらだけでは難しそうなので他の6大陸(インセクツ大陸は名前だけだけど!)がお手伝いするよーという体なので、冒険者だけでなく国の騎士団も乗り込んで来れたってわけだ。
「レン、実際に上陸してみて獄鬼の気配はどうだ?」
「明らかに内陸部の方がひどいです。この方向……地図だとカンヨン国のある方角だと思いますが、呼吸するだけで肺が真っ黒になるんじゃないかってくらい濁ってる」
「そうか……」
「こっからカンヨンの様子が判るのか?」
「何となくです。気持ちが悪くなるというか……」
「それでもすげぇな」
「また感知能力が上がってるんじゃない?」
俺の話を聞いて考え込むレイナルドさんの横からゲンジャルさんとミッシェルさんがそんな声を掛けて来る。他はともかく獄鬼に関しての対応能力は確かに上がっていると思う。ただ、その理由がリーデン様と過ごす時間に比例している気がするので正直に肯定するのは憚られて、曖昧に笑っておくことにした。
自分で言うのも何だけど、自分の中にある魔力と神力の比率……絶対量とでも言えばいいのか、おかしなことになっているからね。
いまなら以前は無理だった銀級ダンジョンの巨大なカバ、イポポタムの魔石でも顕現出来そうな気がする。
「レン、ここより南側はどうだ?」
「……問題なくはないですが、グロット大陸とオセアン大陸の皆さんにも獄鬼除けは渡してあるんですよね?」
「当然。それに上陸後も補充できるようにってメッセンジャーの足に括れる籠まで作ったんだぞ」
更に言えば籠を持たせても運べる鳥型魔物の魔石を得るためにキクノ大陸の白金冒険者が、白金ダンジョンで鷲や鷹の魔物と戦って来たそうだけど、怪我人は出るし、そうまでして取って来た魔石を顕現出来る人がいなくて作戦を立てた人が頭を抱えたという経緯がある。
ただ、王家に近い魔力量の多い人には可能だったらしく、うちで言えばレイナルドさんと大臣さん、それから、神力を少しだけ混ぜるというズルをしたら俺にも出来た。
しかも神力を混ぜると持久力もつくらしく。
そもそも獄鬼除けを補充できるのはプラーントゥ大陸だけだし、今回に限っては国の騎士も参戦できるのだから身分の高い人が同行しても護衛可能ってことで、現地での獄鬼除け補充も作戦に組み込まれたのだ。
「だったら担当する皆さんを信じます」
「……そうだな」
レイナルドさんは薄く笑い、騎士団長と、冒険者各パーティの代表者を集め始めた。
それから僅か10分後には騎士団の第9班・10班と有志で参加してくれた銀級冒険者のパーティ2つが10本の獄鬼除けと共に南への移動を開始した。彼らには南隣の国との国境線沿いにそれを設置しながら北上してもらうことになる。
というのも、オセアン大陸に比べて半分以下しかないマーヘ大陸。
国境線に沿って置かれた獄鬼除けを外周と定めて15カ国、15回に分けて浄化を行えば、何日も意識を飛ばさなくて済みそうなのだ。
今までは力の及ぶ範囲全部って気持ちで浄化を実行し、寝込んでいた。
今回もそれをしたら、今の神力量だとマーヘ大陸の半分を浄化出来たとして神具『住居兼用移動車両』Ex.でも一カ月寝込むと予想された。対して、一カ国ずつ浄化したら半月で大陸全土を浄化出来ると言われたら選択を迷う理由なんてない。
獄鬼除けで連中の接近を遮断し、浄化する。
だから獄鬼除けの補充方法も作戦に組み込んで準備した。
迅速に、的確に、人同士の争いを可能な限り少なく抑えるため――それが今回の、俺の役目。
「騎士団第1班から第4班、金級冒険者6パーティは海岸沿いに北上、セイス国北部の獄鬼を殲滅、それが終わり次第トレス国に上陸するギァリッグ大陸と協力し当該地区の獄鬼殲滅を」
「了解」
「騎士団第5班から第8班、そして俺達2パーティ16名はスィンコ国を目指す」
ほぼ真っ黒な、カンヨン国の北隣でもある危険な国。
ちなみに騎士団の第5班から8班の48名はこの半年間を一緒に船で過ごし、俺の事情もある程度は察しつつ黙ってくれている人たちだ。
「俺たちで早々にスィンコ国を落とせば、ギァリッグの応援、もしくはキクノの応援に回れる。レンの能力を、危険な地域で優先的に活用するため皆には無理をさせるが、頼むぞ」
「ああ」
「お任せください」
「――行こう」
港を出る。
こちらを警戒し、怯えながら遠巻きに見ているマーヘ大陸の人たちをぐるりと見渡しながら最後に下りて来たばかりの船を見遣る。
甲板に並び見送ってくれている船内スタッフのみんな。
「行ってきます!」
大きく手を振ったら、船の彼らも「行ってらっしゃい!」「お気を付けて!」と大きな声で応えてくれた。
***
汚くて申し訳ないですorz
半分くらいの大きさで表示出来るなら冒頭に載せたのですが……実寸より勝手に拡大されるのは何故なのか。
***
マーヘ大陸は代表を名乗るカンヨン国を中心に、北からスィンコ(5)、カンヨン(8)、ディエス(10)、トレセ(13)という内陸4か国を、いまギァリック大陸が上陸戦を展開中のウノ国から時計回りにウノ(1)、トレス(3)、セイス(6)、オンセ(11)、キンセ(15)、カトルセ(14)、ヌエヴェ(9)、スィエテ(7)、クワトロ(4)、ドス(2)という11カ国が囲んでいる。
今回の作戦で言い直すと、北側、すでに獄鬼に支配されて真っ黒なウノ(1)、ドス(2)、トレス(3)をギァリック大陸が。
北半分がほぼ真っ黒なセイス(6)と、全部真っ黒なスィンコ(5)がプラーントゥ大陸。
数ヵ月前の時点で北側は危なかったもののまだ持ち直すだろうと予想されていたオンセ(11)、ディエス(10)をグロット大陸。
ほぼ真っ白なキンセ(15)、カトルセ(14)、トレセ(13)をオセアン大陸。
そして微妙なヌエヴェ(9)、ほぼ黒いスィエテ(7)、真っ黒なクワトロ(4)をキクノ大陸が担当する。
で、大臣さんがさっきも言ったように今回の上陸は、マーヘ大陸を侵略している獄鬼の対応がそちらだけでは難しそうなので他の6大陸(インセクツ大陸は名前だけだけど!)がお手伝いするよーという体なので、冒険者だけでなく国の騎士団も乗り込んで来れたってわけだ。
「レン、実際に上陸してみて獄鬼の気配はどうだ?」
「明らかに内陸部の方がひどいです。この方向……地図だとカンヨン国のある方角だと思いますが、呼吸するだけで肺が真っ黒になるんじゃないかってくらい濁ってる」
「そうか……」
「こっからカンヨンの様子が判るのか?」
「何となくです。気持ちが悪くなるというか……」
「それでもすげぇな」
「また感知能力が上がってるんじゃない?」
俺の話を聞いて考え込むレイナルドさんの横からゲンジャルさんとミッシェルさんがそんな声を掛けて来る。他はともかく獄鬼に関しての対応能力は確かに上がっていると思う。ただ、その理由がリーデン様と過ごす時間に比例している気がするので正直に肯定するのは憚られて、曖昧に笑っておくことにした。
自分で言うのも何だけど、自分の中にある魔力と神力の比率……絶対量とでも言えばいいのか、おかしなことになっているからね。
いまなら以前は無理だった銀級ダンジョンの巨大なカバ、イポポタムの魔石でも顕現出来そうな気がする。
「レン、ここより南側はどうだ?」
「……問題なくはないですが、グロット大陸とオセアン大陸の皆さんにも獄鬼除けは渡してあるんですよね?」
「当然。それに上陸後も補充できるようにってメッセンジャーの足に括れる籠まで作ったんだぞ」
更に言えば籠を持たせても運べる鳥型魔物の魔石を得るためにキクノ大陸の白金冒険者が、白金ダンジョンで鷲や鷹の魔物と戦って来たそうだけど、怪我人は出るし、そうまでして取って来た魔石を顕現出来る人がいなくて作戦を立てた人が頭を抱えたという経緯がある。
ただ、王家に近い魔力量の多い人には可能だったらしく、うちで言えばレイナルドさんと大臣さん、それから、神力を少しだけ混ぜるというズルをしたら俺にも出来た。
しかも神力を混ぜると持久力もつくらしく。
そもそも獄鬼除けを補充できるのはプラーントゥ大陸だけだし、今回に限っては国の騎士も参戦できるのだから身分の高い人が同行しても護衛可能ってことで、現地での獄鬼除け補充も作戦に組み込まれたのだ。
「だったら担当する皆さんを信じます」
「……そうだな」
レイナルドさんは薄く笑い、騎士団長と、冒険者各パーティの代表者を集め始めた。
それから僅か10分後には騎士団の第9班・10班と有志で参加してくれた銀級冒険者のパーティ2つが10本の獄鬼除けと共に南への移動を開始した。彼らには南隣の国との国境線沿いにそれを設置しながら北上してもらうことになる。
というのも、オセアン大陸に比べて半分以下しかないマーヘ大陸。
国境線に沿って置かれた獄鬼除けを外周と定めて15カ国、15回に分けて浄化を行えば、何日も意識を飛ばさなくて済みそうなのだ。
今までは力の及ぶ範囲全部って気持ちで浄化を実行し、寝込んでいた。
今回もそれをしたら、今の神力量だとマーヘ大陸の半分を浄化出来たとして神具『住居兼用移動車両』Ex.でも一カ月寝込むと予想された。対して、一カ国ずつ浄化したら半月で大陸全土を浄化出来ると言われたら選択を迷う理由なんてない。
獄鬼除けで連中の接近を遮断し、浄化する。
だから獄鬼除けの補充方法も作戦に組み込んで準備した。
迅速に、的確に、人同士の争いを可能な限り少なく抑えるため――それが今回の、俺の役目。
「騎士団第1班から第4班、金級冒険者6パーティは海岸沿いに北上、セイス国北部の獄鬼を殲滅、それが終わり次第トレス国に上陸するギァリッグ大陸と協力し当該地区の獄鬼殲滅を」
「了解」
「騎士団第5班から第8班、そして俺達2パーティ16名はスィンコ国を目指す」
ほぼ真っ黒な、カンヨン国の北隣でもある危険な国。
ちなみに騎士団の第5班から8班の48名はこの半年間を一緒に船で過ごし、俺の事情もある程度は察しつつ黙ってくれている人たちだ。
「俺たちで早々にスィンコ国を落とせば、ギァリッグの応援、もしくはキクノの応援に回れる。レンの能力を、危険な地域で優先的に活用するため皆には無理をさせるが、頼むぞ」
「ああ」
「お任せください」
「――行こう」
港を出る。
こちらを警戒し、怯えながら遠巻きに見ているマーヘ大陸の人たちをぐるりと見渡しながら最後に下りて来たばかりの船を見遣る。
甲板に並び見送ってくれている船内スタッフのみんな。
「行ってきます!」
大きく手を振ったら、船の彼らも「行ってらっしゃい!」「お気を付けて!」と大きな声で応えてくれた。
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