121 / 335
第4章 ダンジョン攻略
113.帝都ラック
しおりを挟む
オセアン大陸には7つの国がある。
それぞれ名を「ホエ」「ピティ」「トル」「マハ」「パエ」「オノ」「メール」といい、それぞれに王がいた。しかし11年前に「メール」の王が大陸全土を掌握。その手段は軍事的であったり、平和的であったりと様々だったが国から帝国へと名を変え、40代の若さで大陸の頂点に座したのである。
その人物こそイルカ科の皇帝マルシャル・ヌダム・ラファエリ・メール。妻との間に授かった一男一女を愛してやまず、子煩悩だとも言われているらしい。
そんな皇帝陛下の父親としての一面はともかく、大陸の東に帝都ラックを置き、外国との交易の中心地として定めた彼は、世界人口から見ればほんの僅かな水人族が己の種族を誇れるようにと、その地を大改革した。
(その結果がこれなんだ……)
目の前の光景に、周囲の歓声さえ聞こえなくなるほど圧倒され、ただ感嘆の息が零れる。
水の都って聞くと、俺のイメージはヴェネツィアだった。道路の代わりに水路があり、車の代わりにゴンドラが川を渡る。三桁におよぶ運河と、その倍以上の橋……俺のイメージはあくまでも地上で生活する水の都だった。
だけど、ここは。
水人族が暮らす水の都は。
「何度見ても圧巻だな」
「まるで海底を歩いている気分になります」
グランツェが言い、ヒユナが続く。
俺も同意見だった。
プラーントゥ大陸からの使節団に歓声を送っている多くの人々は確かに視界に入っているのに、目を奪われるのは奥の街並み。
この都は山を拓いたのか港から離れるほどに標高が上がっていて、もちろん住居が建っている場所は整地して平になっているのだと思うが、建物の合間に見えているのが岩肌や木々ではなく滝なのだ。幅こそ色々だが、とにかく滝だらけ。
海の対面に当たる都の外周を囲う幅数キロメートルの滝は、まるで舞台を隠す幕のようにも見える。
足元に敷かれた石の道もうっすらと青みを帯びているし、街灯などのオブジェは貝殻を模しているし、更には一番低い土地だと半分が水の中という建物も多く、なのに水没していると思わせないのは、……たぶんそれが水中から生えているように見えるからだ。
珊瑚、みたいな。
いや一軒家並みの大きさがあるそれは珊瑚にしては巨大過ぎるし形はイソギンチャクに近いんだけど、基本的に白いんだろう表面のところどころが多彩な色のグラデーションになっているからすごく綺麗で、海底にいる気分にさせられる特殊な景観の影響が強くて珊瑚っぽく見えると言うか。
「あの、あっちこっちに見える……不思議な色合いの建物って何で出来ているんですか? 石じゃないですよね?」
「あれは魔魚の寝床って言って、オセアン大陸の金級ダンジョンで採れる素材だ」
グランツェが教えてくれる。
「水人族の中には海水から長く離れられない人も多い。そういう人たちの住居素材としてとても有用なんだ、何せ海水に浸かっていても半永久的に傷まないからな」
「へぇ! え、ってことは家の中に海水が……?」
「そうだよ。水人族は地上にいる間は俺たちと同じように足で歩くけど、海の中の、下半身が魚に似た形で泳ぐ方がずっと楽らしい」
「つまり人魚……っ」
「ニンギョ?」
「あ、えっと、俺の故郷ではそういうふうに呼ばれていたので」
「ああ」
異界の話かと気付いたグランツェ達は納得の表情で頷いた。
「オセアン大陸はプラーントゥ大陸と同じくらい平和な土地だけど、文化的な違いはとても大きいから楽しいよ」
「こうして見ているだけでも興味深いです」
小声で喋っている間にも、大臣さんとオセアン大陸の迎えの人たちの話は進んでいて、しばらくすると大臣さんから「こちらへ」と招かれた。
グランツェ、ヒユナと三人で移動する途中にアドバイスを貰い、相手の挨拶を受けてから笑顔で自分も名乗った。
「歓迎していただき感謝致します」
「恐れ多いことでございます。よもや我々の時代に主神様が番をお迎えになられるとは夢にも思わず、己が身の幸運に感極まる思いです。心よりお慶び申し上げます」
「ありがとうございます」
帝城からの迎えの皆さんに一斉にお祝いされてものすごく動揺したが、貼り付けた笑顔でなんとか乗り切った。
それから全員で城へ移動する。
途中、何度も獄鬼の気配に不快な思いをしたが天啓の範囲内に入ってくることはなく、警告が表示されることもなかった。
そうして到着した城は白亜の壁が美しく、地球でいうところの世界芸術の総本山とも言われる美術館っぽい外観をしているが、いたるところに噴水や水路、滝が見られるのはやはりオセアン大陸ならではなのだろうと思った。
城に着くと、全員がまずは泊まることになる部屋に案内された。
あちらこちらから流水音が聞こえる効果かひんやりとした空気が肌寒さを感じさせ、廊下にも水路、階段にも水路が当たり前にあるから部屋はどんなことになっているのだろうと複雑な気持ちで扉を開けたが、中は意外にも普通の部屋だった。
きっと水人族以外の人が使うことを前提にしているんだろう。
広くて貴重な魔導具が惜しみなく配置され、ベッドも天蓋付きのキングサイズという豪勢な部屋を割り振られる俺と、護衛騎士と同じ扱いですぐ近くの部屋を割り振られるグランツェパーティ、バルドルパーティ。
部屋の内装にこそ差はつくみたいだけど、彼らが近くにいてくれるのは安心する。
部屋では専属の侍女が四人も紹介されて「滞在中は交代でお世話させて頂きます」と挨拶された。
それから、この後の予定を確認。
11時に大臣さんと、俺だけが、皇帝陛下主催の昼食会に招待されていて、護衛にグランツェとディゼルが。
夜は6時よりプラーントゥ大陸からの使節団を歓迎するパーティが開催され、オセアン大陸の各国から重鎮が集まると聞かされてちょっと眩暈がした。
大事になってるなぁなんて他人事みたいに感じてしまった後で、国と国、大陸と大陸の交流だと考えれば当然の予定なんだろうなと反省する。
「今日の予定は把握しましたが、明日以降は?」
「今日次第ってところだが、獄鬼による被害を確認してその対応にあたろう。少し派手にやり、その褒賞でダンジョンの入場許可を得るために此処に来たんだし」
「はい……」
はぁ、と息を吐く。
モーガンが気遣うように「大丈夫かい?」と声を掛けてくれる。
「……こんな、なんというか、不相応な扱いを受けるくらいなら、成人まで待って普通の冒険者としてダンジョン攻略に来た方が良かったんじゃ……と」
言うと、皆がなんとも言えない表情になった。
それぞれ名を「ホエ」「ピティ」「トル」「マハ」「パエ」「オノ」「メール」といい、それぞれに王がいた。しかし11年前に「メール」の王が大陸全土を掌握。その手段は軍事的であったり、平和的であったりと様々だったが国から帝国へと名を変え、40代の若さで大陸の頂点に座したのである。
その人物こそイルカ科の皇帝マルシャル・ヌダム・ラファエリ・メール。妻との間に授かった一男一女を愛してやまず、子煩悩だとも言われているらしい。
そんな皇帝陛下の父親としての一面はともかく、大陸の東に帝都ラックを置き、外国との交易の中心地として定めた彼は、世界人口から見ればほんの僅かな水人族が己の種族を誇れるようにと、その地を大改革した。
(その結果がこれなんだ……)
目の前の光景に、周囲の歓声さえ聞こえなくなるほど圧倒され、ただ感嘆の息が零れる。
水の都って聞くと、俺のイメージはヴェネツィアだった。道路の代わりに水路があり、車の代わりにゴンドラが川を渡る。三桁におよぶ運河と、その倍以上の橋……俺のイメージはあくまでも地上で生活する水の都だった。
だけど、ここは。
水人族が暮らす水の都は。
「何度見ても圧巻だな」
「まるで海底を歩いている気分になります」
グランツェが言い、ヒユナが続く。
俺も同意見だった。
プラーントゥ大陸からの使節団に歓声を送っている多くの人々は確かに視界に入っているのに、目を奪われるのは奥の街並み。
この都は山を拓いたのか港から離れるほどに標高が上がっていて、もちろん住居が建っている場所は整地して平になっているのだと思うが、建物の合間に見えているのが岩肌や木々ではなく滝なのだ。幅こそ色々だが、とにかく滝だらけ。
海の対面に当たる都の外周を囲う幅数キロメートルの滝は、まるで舞台を隠す幕のようにも見える。
足元に敷かれた石の道もうっすらと青みを帯びているし、街灯などのオブジェは貝殻を模しているし、更には一番低い土地だと半分が水の中という建物も多く、なのに水没していると思わせないのは、……たぶんそれが水中から生えているように見えるからだ。
珊瑚、みたいな。
いや一軒家並みの大きさがあるそれは珊瑚にしては巨大過ぎるし形はイソギンチャクに近いんだけど、基本的に白いんだろう表面のところどころが多彩な色のグラデーションになっているからすごく綺麗で、海底にいる気分にさせられる特殊な景観の影響が強くて珊瑚っぽく見えると言うか。
「あの、あっちこっちに見える……不思議な色合いの建物って何で出来ているんですか? 石じゃないですよね?」
「あれは魔魚の寝床って言って、オセアン大陸の金級ダンジョンで採れる素材だ」
グランツェが教えてくれる。
「水人族の中には海水から長く離れられない人も多い。そういう人たちの住居素材としてとても有用なんだ、何せ海水に浸かっていても半永久的に傷まないからな」
「へぇ! え、ってことは家の中に海水が……?」
「そうだよ。水人族は地上にいる間は俺たちと同じように足で歩くけど、海の中の、下半身が魚に似た形で泳ぐ方がずっと楽らしい」
「つまり人魚……っ」
「ニンギョ?」
「あ、えっと、俺の故郷ではそういうふうに呼ばれていたので」
「ああ」
異界の話かと気付いたグランツェ達は納得の表情で頷いた。
「オセアン大陸はプラーントゥ大陸と同じくらい平和な土地だけど、文化的な違いはとても大きいから楽しいよ」
「こうして見ているだけでも興味深いです」
小声で喋っている間にも、大臣さんとオセアン大陸の迎えの人たちの話は進んでいて、しばらくすると大臣さんから「こちらへ」と招かれた。
グランツェ、ヒユナと三人で移動する途中にアドバイスを貰い、相手の挨拶を受けてから笑顔で自分も名乗った。
「歓迎していただき感謝致します」
「恐れ多いことでございます。よもや我々の時代に主神様が番をお迎えになられるとは夢にも思わず、己が身の幸運に感極まる思いです。心よりお慶び申し上げます」
「ありがとうございます」
帝城からの迎えの皆さんに一斉にお祝いされてものすごく動揺したが、貼り付けた笑顔でなんとか乗り切った。
それから全員で城へ移動する。
途中、何度も獄鬼の気配に不快な思いをしたが天啓の範囲内に入ってくることはなく、警告が表示されることもなかった。
そうして到着した城は白亜の壁が美しく、地球でいうところの世界芸術の総本山とも言われる美術館っぽい外観をしているが、いたるところに噴水や水路、滝が見られるのはやはりオセアン大陸ならではなのだろうと思った。
城に着くと、全員がまずは泊まることになる部屋に案内された。
あちらこちらから流水音が聞こえる効果かひんやりとした空気が肌寒さを感じさせ、廊下にも水路、階段にも水路が当たり前にあるから部屋はどんなことになっているのだろうと複雑な気持ちで扉を開けたが、中は意外にも普通の部屋だった。
きっと水人族以外の人が使うことを前提にしているんだろう。
広くて貴重な魔導具が惜しみなく配置され、ベッドも天蓋付きのキングサイズという豪勢な部屋を割り振られる俺と、護衛騎士と同じ扱いですぐ近くの部屋を割り振られるグランツェパーティ、バルドルパーティ。
部屋の内装にこそ差はつくみたいだけど、彼らが近くにいてくれるのは安心する。
部屋では専属の侍女が四人も紹介されて「滞在中は交代でお世話させて頂きます」と挨拶された。
それから、この後の予定を確認。
11時に大臣さんと、俺だけが、皇帝陛下主催の昼食会に招待されていて、護衛にグランツェとディゼルが。
夜は6時よりプラーントゥ大陸からの使節団を歓迎するパーティが開催され、オセアン大陸の各国から重鎮が集まると聞かされてちょっと眩暈がした。
大事になってるなぁなんて他人事みたいに感じてしまった後で、国と国、大陸と大陸の交流だと考えれば当然の予定なんだろうなと反省する。
「今日の予定は把握しましたが、明日以降は?」
「今日次第ってところだが、獄鬼による被害を確認してその対応にあたろう。少し派手にやり、その褒賞でダンジョンの入場許可を得るために此処に来たんだし」
「はい……」
はぁ、と息を吐く。
モーガンが気遣うように「大丈夫かい?」と声を掛けてくれる。
「……こんな、なんというか、不相応な扱いを受けるくらいなら、成人まで待って普通の冒険者としてダンジョン攻略に来た方が良かったんじゃ……と」
言うと、皆がなんとも言えない表情になった。
81
お気に入りに追加
561
あなたにおすすめの小説
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。

迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる