115 / 335
第4章 ダンジョン攻略
107.少女の依頼
しおりを挟む
エニスと二人、全速力で冒険者ギルドに飛び込んだ。
祭りの真っ最中ということもあり人もまばらのホールの、受付カウンター寄り。
「あ……エレインちゃん!」
思わず大きな声で名を呼べば、ギルドマスターのハーマイトシュシューに抱き上げられた状態でララとお喋りしていた女の子が弾かれたように顔を上げた。
その表情に怯えの色を見て「しまった」と思うけど、それ以上に無事な姿にホッとした。
「無事でよかった……」
出来るだけ優しい顔と、声を意識しながら近付くも、少女はハーマイトシュシューに顔を押し付けるようにして抱き着いてしまった。
この間から苦手意識を持たれている気がする。
(……違う、か)
もっと根本的なこと。
大好きなご両親を自分から引き離そうとしているのが誰なのか、たぶんエレインはちゃんと判っているんだ。そうと知りつつもここで謝るのも違う気がして視線を下げたら、場の雰囲気を変えるようにララが微笑む。
「レンさん。エニスさん。こんにちは」
それからギルドマスターも。
「やぁ、少しばかり久しぶりだね」
「こんにちはララさん、シューさん」
「お疲れ様です」
自分とエニスもそれぞれに挨拶を交わしてからララと目を合わせる。
それだけで大体の事情が通じてしまうから不思議だ。
「先ほどの様子を見るに、此方のお嬢さんを探していらっしゃったのでしょうか?」
「はい。モーガンさんから探すのを手伝って欲しいって言われて……あの、お二人もこの子の事は……」
「グランツェとモーガンの娘だろう?」
ハーマイトシュシューが柔らかく微笑みながら言う。
「ギルドの前で泣いていたから保護したところだ。二人のところにもいま職員を向かわせている」
「そう、なんですね……」
エニスと二人、顔を見合わせてようやく安堵した。
「お二人とも市場や森の方を捜索中で……こういう時に一斉に呼び戻す魔法ってないんですか?」
「そう、ですね……拡声魔法を使えばすぐですが、あれは範囲魔法ですから範囲内全ての人に聞こえてしまいますし、ギルドの拡声魔法は緊急時用なので……」
それはさすがに使い難い。
「いまから二階の応接室で二人を待つつもりだったんだ。一緒にどうだい」
「ぁ……はい」
ハーマイトシュシューに誘われて、少しばかり居心地の悪そうなエニスと一緒に二階へ移動した。
ララが飲み物を準備してから行くと言うので、ハーマイトシュシューと、彼に抱っこされたエレイン、エニス、そして俺の4人で二階の応接室に入り、ソファに座って待つ。
エレインは泣いているところを保護されたためか、すっかりハーマイトシュシューに懐いているようで、ソファに座ってからも彼の膝から下りる事はなく、また、一度も顔を見せてもらえない。
探すのを手伝っていただけの自分があれこれ言うのもおかしな話だしで、エニスと二人、何とも言えない無言の時間だけが過ぎていく。
しばらくして、廊下からひどく慌ただしい足音が聞こえて来た。
その足音は迷わずこの部屋の前で止まり、同時に扉を開け放つ。
「エレイン……!」
悲壮な声で娘の名前を叫んだのはモーガンだ。
後ろにはアッシュの旦那さん。クランハウスの前で話していたこともあってモーガンの行先を知っていたのだからギルドの職員より先に知らせられても不思議はない。
だが――。
「ママ来ないで!」
「っ」
駆け寄ろうとしたモーガンをエレインの涙混じりの声が拒む。
少女はハーマイトシュシューにしがみ付くようにして母親の顔さえ見ようとしないし、俺たちは緊迫した空気に息をするのも憚られる。
「わたしは他所の子になるんだもん! もうママじゃないもんっ、パパもママも大嫌い!!」
「エレイン……」
立ち尽くすモーガンが真っ青になっていく。
俺達はこの場に留まっているのも辛い。
けれどハーマイトシュシューだけはいつもと変わらなかった。
「親子の事情に口を挟む気はないけれど、小さなお嬢さんが依頼を出したいと冒険者ギルドを頼ってくれたのだよ。此処の長として幾つか聞いてもいいかい?」
「依頼……?」
「そうだよ。しかし依頼人になるには幼過ぎるからね。保護者の同意を得る必要がある」
「エレインがどんな依頼を出すと言うんですか」
「新しい両親を探して欲しいそうだ」
「……っ」
「何を……!」
突然の男の声に振り向けば、タイミングが良いのか悪いのか職員に案内されたグランツェの姿があった。しかもその後ろにはセルリーまで。
え。
なんで師匠がグランツェさんと一緒にいるんだ?
疑問に思っていたら、セルリーと視線が合って、小さく手招きされる。
俺はエニスと目配せし合い、席を立った。
それとほぼ同時にグランツェがエレインの側へ。
「エレイン、どうしてそんな依頼を出そうなんて思ったんだ」
「……エレイン、顔を見せて。ちゃんと話をしよう」
「いやっ、もうパパとママじゃないもん! もう違うもん!」
「エレインっ」
言い合う親娘が心配でならないが、自分が話を聞くべきは師匠だと判断し、彼女に促されるまま廊下に出る。
アッシュの旦那さんも、ギルドの職員も同じタイミングで部屋を出る。
どう考えても部外者が聞いて良い話ではないからだ。
「俺は他の皆にもエレインちゃんが見つかったことを知らせて来るよ」
「はい、お願いします」
そう言って廊下に残ったのは俺とエニスと師匠だけ。
師匠は軽く息を吐いた後で言う。
「『界渡りの祝日』が終わったらモーガンの両親の家に行くと言う話をしたら、拒否して部屋に閉じこもったんですって。で、気付いたら家にいなかったそうよ」
「グランツェさんから聞いたんですか?」
「ええ。たまたま市場を歩いていたら「娘を見なかったか」なんて聞くんだもの。事情も話さずに協力させようなんて30年早いわよ」
レイナルドを「あの子」呼ばわりする師匠だ。
当然、グランツェだって子ども扱いになる。
「それにしても……新しい両親を探す依頼だなんて、さすが冒険者の娘ね」
ふふっと面白がる師匠。
「師匠……」
「ふふ、そんな顔しないの。ちゃんと親の背中を見て育ってるってことじゃない」
師匠はあっけらかんと言い放った。
「グランツェとモーガンはね、金級冒険者になったのを機に結婚したのよ。金級になったならもう充分。蓄えも出来た。もうダンジョンに行く必要はないでしょうってご両親に説得されてね。そりゃあ親としたらいつ死ぬかも判らないダンジョンになんて行ってほしくないもの」
それは理解出来るけど、これからダンジョンを攻略して上を目指そうとしている自分が頷くことは出来なかった。
「まぁそれでも子どもが出来るまではって粘って、金級ダンジョンも踏破して……、6年……妊娠期間もあるから7年前ね。エレインちゃんが生まれるって判ってからはトゥルヌソルを拠点とした金級パーティとして有事の他はトゥルヌソル近郊の依頼だけ受けるようになって……。でも今回、若い冒険者のためにオセアン大陸に行くって話をしたら両家のご両親に叱られたそうよ。エレインちゃんをどうする気だって」
「……ですよね」
二人のご両親には会ったこともないけど、そうして怒られる光景は想像出来た。
エレインの気持ちを考えたら、とてもじゃないけど許容し難い。
「子どもが子どもでいてくれる時間なんてほんの僅かなのよ。行くにしても12の『洗礼の儀』が終わってからにしなさい、とも」
「……あと6年ですね」
子どもがいたことなんてないから、それが早いのか遅いのかは判らない。
でも、いま思えば小学校の6年間はあっという間だったなって思う。
プラーントゥ大陸を出れば、次にいつ帰って来るか予定も立てられないような旅に出る。帰って来てからだって金級ダンジョン攻略の旅が続く。
6年なんて、きっとあっという間だ。
祭りの真っ最中ということもあり人もまばらのホールの、受付カウンター寄り。
「あ……エレインちゃん!」
思わず大きな声で名を呼べば、ギルドマスターのハーマイトシュシューに抱き上げられた状態でララとお喋りしていた女の子が弾かれたように顔を上げた。
その表情に怯えの色を見て「しまった」と思うけど、それ以上に無事な姿にホッとした。
「無事でよかった……」
出来るだけ優しい顔と、声を意識しながら近付くも、少女はハーマイトシュシューに顔を押し付けるようにして抱き着いてしまった。
この間から苦手意識を持たれている気がする。
(……違う、か)
もっと根本的なこと。
大好きなご両親を自分から引き離そうとしているのが誰なのか、たぶんエレインはちゃんと判っているんだ。そうと知りつつもここで謝るのも違う気がして視線を下げたら、場の雰囲気を変えるようにララが微笑む。
「レンさん。エニスさん。こんにちは」
それからギルドマスターも。
「やぁ、少しばかり久しぶりだね」
「こんにちはララさん、シューさん」
「お疲れ様です」
自分とエニスもそれぞれに挨拶を交わしてからララと目を合わせる。
それだけで大体の事情が通じてしまうから不思議だ。
「先ほどの様子を見るに、此方のお嬢さんを探していらっしゃったのでしょうか?」
「はい。モーガンさんから探すのを手伝って欲しいって言われて……あの、お二人もこの子の事は……」
「グランツェとモーガンの娘だろう?」
ハーマイトシュシューが柔らかく微笑みながら言う。
「ギルドの前で泣いていたから保護したところだ。二人のところにもいま職員を向かわせている」
「そう、なんですね……」
エニスと二人、顔を見合わせてようやく安堵した。
「お二人とも市場や森の方を捜索中で……こういう時に一斉に呼び戻す魔法ってないんですか?」
「そう、ですね……拡声魔法を使えばすぐですが、あれは範囲魔法ですから範囲内全ての人に聞こえてしまいますし、ギルドの拡声魔法は緊急時用なので……」
それはさすがに使い難い。
「いまから二階の応接室で二人を待つつもりだったんだ。一緒にどうだい」
「ぁ……はい」
ハーマイトシュシューに誘われて、少しばかり居心地の悪そうなエニスと一緒に二階へ移動した。
ララが飲み物を準備してから行くと言うので、ハーマイトシュシューと、彼に抱っこされたエレイン、エニス、そして俺の4人で二階の応接室に入り、ソファに座って待つ。
エレインは泣いているところを保護されたためか、すっかりハーマイトシュシューに懐いているようで、ソファに座ってからも彼の膝から下りる事はなく、また、一度も顔を見せてもらえない。
探すのを手伝っていただけの自分があれこれ言うのもおかしな話だしで、エニスと二人、何とも言えない無言の時間だけが過ぎていく。
しばらくして、廊下からひどく慌ただしい足音が聞こえて来た。
その足音は迷わずこの部屋の前で止まり、同時に扉を開け放つ。
「エレイン……!」
悲壮な声で娘の名前を叫んだのはモーガンだ。
後ろにはアッシュの旦那さん。クランハウスの前で話していたこともあってモーガンの行先を知っていたのだからギルドの職員より先に知らせられても不思議はない。
だが――。
「ママ来ないで!」
「っ」
駆け寄ろうとしたモーガンをエレインの涙混じりの声が拒む。
少女はハーマイトシュシューにしがみ付くようにして母親の顔さえ見ようとしないし、俺たちは緊迫した空気に息をするのも憚られる。
「わたしは他所の子になるんだもん! もうママじゃないもんっ、パパもママも大嫌い!!」
「エレイン……」
立ち尽くすモーガンが真っ青になっていく。
俺達はこの場に留まっているのも辛い。
けれどハーマイトシュシューだけはいつもと変わらなかった。
「親子の事情に口を挟む気はないけれど、小さなお嬢さんが依頼を出したいと冒険者ギルドを頼ってくれたのだよ。此処の長として幾つか聞いてもいいかい?」
「依頼……?」
「そうだよ。しかし依頼人になるには幼過ぎるからね。保護者の同意を得る必要がある」
「エレインがどんな依頼を出すと言うんですか」
「新しい両親を探して欲しいそうだ」
「……っ」
「何を……!」
突然の男の声に振り向けば、タイミングが良いのか悪いのか職員に案内されたグランツェの姿があった。しかもその後ろにはセルリーまで。
え。
なんで師匠がグランツェさんと一緒にいるんだ?
疑問に思っていたら、セルリーと視線が合って、小さく手招きされる。
俺はエニスと目配せし合い、席を立った。
それとほぼ同時にグランツェがエレインの側へ。
「エレイン、どうしてそんな依頼を出そうなんて思ったんだ」
「……エレイン、顔を見せて。ちゃんと話をしよう」
「いやっ、もうパパとママじゃないもん! もう違うもん!」
「エレインっ」
言い合う親娘が心配でならないが、自分が話を聞くべきは師匠だと判断し、彼女に促されるまま廊下に出る。
アッシュの旦那さんも、ギルドの職員も同じタイミングで部屋を出る。
どう考えても部外者が聞いて良い話ではないからだ。
「俺は他の皆にもエレインちゃんが見つかったことを知らせて来るよ」
「はい、お願いします」
そう言って廊下に残ったのは俺とエニスと師匠だけ。
師匠は軽く息を吐いた後で言う。
「『界渡りの祝日』が終わったらモーガンの両親の家に行くと言う話をしたら、拒否して部屋に閉じこもったんですって。で、気付いたら家にいなかったそうよ」
「グランツェさんから聞いたんですか?」
「ええ。たまたま市場を歩いていたら「娘を見なかったか」なんて聞くんだもの。事情も話さずに協力させようなんて30年早いわよ」
レイナルドを「あの子」呼ばわりする師匠だ。
当然、グランツェだって子ども扱いになる。
「それにしても……新しい両親を探す依頼だなんて、さすが冒険者の娘ね」
ふふっと面白がる師匠。
「師匠……」
「ふふ、そんな顔しないの。ちゃんと親の背中を見て育ってるってことじゃない」
師匠はあっけらかんと言い放った。
「グランツェとモーガンはね、金級冒険者になったのを機に結婚したのよ。金級になったならもう充分。蓄えも出来た。もうダンジョンに行く必要はないでしょうってご両親に説得されてね。そりゃあ親としたらいつ死ぬかも判らないダンジョンになんて行ってほしくないもの」
それは理解出来るけど、これからダンジョンを攻略して上を目指そうとしている自分が頷くことは出来なかった。
「まぁそれでも子どもが出来るまではって粘って、金級ダンジョンも踏破して……、6年……妊娠期間もあるから7年前ね。エレインちゃんが生まれるって判ってからはトゥルヌソルを拠点とした金級パーティとして有事の他はトゥルヌソル近郊の依頼だけ受けるようになって……。でも今回、若い冒険者のためにオセアン大陸に行くって話をしたら両家のご両親に叱られたそうよ。エレインちゃんをどうする気だって」
「……ですよね」
二人のご両親には会ったこともないけど、そうして怒られる光景は想像出来た。
エレインの気持ちを考えたら、とてもじゃないけど許容し難い。
「子どもが子どもでいてくれる時間なんてほんの僅かなのよ。行くにしても12の『洗礼の儀』が終わってからにしなさい、とも」
「……あと6年ですね」
子どもがいたことなんてないから、それが早いのか遅いのかは判らない。
でも、いま思えば小学校の6年間はあっという間だったなって思う。
プラーントゥ大陸を出れば、次にいつ帰って来るか予定も立てられないような旅に出る。帰って来てからだって金級ダンジョン攻略の旅が続く。
6年なんて、きっとあっという間だ。
70
お気に入りに追加
561
あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる