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第1章 異世界に転移しました
18.対獄鬼戦(1) side レイナルド※戦闘有り
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ジェイの背後に現れた黒い髑髏は、口を歪めヤラシイ笑みを浮かべたかと思うと圧倒的な魔力でもって辺り一帯を吹き飛ばした。
クルト達パーティのクランハウスはもちろんのこと、周囲の木々、その向こうの建物までも風圧だけで消し去って見せたのだ。
レイナルドたちは運が良かった。
捕り物になる可能性が高いのは判っていたからパーティ全員がその場に揃っていたし、自慢ではないが彼らは攻守のバランスが取れた良いチームだから咄嗟の事でもクルトも含め命を守る事は出来たのだ。
視界の悪い中、何とか周囲を確認し自分たち以外の生存者を確認する。
運が良ければ近隣に住んでいる連中も命までは落としていないはずだ。
「アッシュ、ギルドに行って緊急の救援要請を出させろ。獄鬼だ」
「了解!」
余計な言葉の遣り取りなど時間の無駄。
答えるなりウマ科のアッシュが目的地に向かって走り出した。パーティの中では彼女が最も速い。
それと同時にレイナルドと同じイヌ科のゲンジャルが盾を構え、彼の妹で同じくイヌ科のミッシェルが杖を、レイナルドが剣を構え、クマ科のウォーカーがクルトを背後に庇って立つ。
アッシュを送り出して以降、誰一人口を開かない。
周囲を警戒し、意識を索敵に集中する。
認めたくないが獄鬼は強い。
宿主がジェイという銀級冒険者なのも辛い。
獄鬼は取り付いた個体の能力を、獄鬼自身の能力、そしてこれまで食らって来た命の数だけ乗算して強化出来るのだ。最悪、金級の冒険者が10人以上揃わなければ討伐する事はかなわないかもしれない。
(だとしても、トゥルヌソルで出してしまったからには此処で滅さないと)
他所に尻拭いしてもらっては総てが集まる街トゥルヌソルの名が廃る。
ジリッ……誰かの足が下がった。
来る。
「!」
「うぁ……!」
クルトに伸ばされる黒い靄状の触手。
「避けろ!」
ダンジョン産の剣を持たないどころか文字通り身一つのクルトは逃げる事に専念する。
クルトが逃げた場所に突き刺さる獄鬼の手。
それに接近し火魔法を放つミッシェル。
「燃やせ!」
「払え!」
ミッシェルが立てた火柱にゲンジャルの声が重なり、風の刃が続く靄手を切り裂いく。
しかし切り裂いたところで所詮は実態を持たない靄。
闇色の手はすぐに元の形に戻りクルトを追う。
「チッ、やっぱ諦めるつもりはねぇか!」
「クルト絶対に捕まるなよ!!」
「はい!」
そうして始まるのは、圧倒的にこちらが不利な、体力と魔力を消耗させられるだけの鬼ごっこだ。
『トゥルヌソルに獄鬼は現れない』
油断していたと言われればそれまでだ。
主神リーデンによって創造された神の世界において獄鬼は実体を持たない。
主神の印をその身に持ち、主神の代理として民を癒す僧侶には近寄る事が出来ない。
それが常識だから、常に複数人の僧侶が滞在しているトゥルヌソルには獄鬼が現れる事などないと思い込んでいた。
実態を持ちさえすれば僧侶に近付けることは判っていたのに、油断は、いつの間にかトゥルヌソルの住人は獄鬼になど憑かれない、と。そんな傲慢な考えを植え付けてしまっていたらしい。
「ふはっ、あははははは! さぁおいでよクルト。おまえが俺のものになりさえすれば他の連中は見逃してやっても良いぜ? 俺に服従し、心も体も、魂までも俺に捧げろよ。おまえ一人の犠牲でトゥルヌソルは今日までの変わりない明日を迎えられる!」
「っ」
「聞いちゃダメよクルト!」
「おまえが手に入れば次の犠牲者が出るだけだ!!」
ミッシェルとウォーカーが怒鳴る。
皆が分かっているからだ。
獄鬼の目的が、取り憑いたジェイの欲望を満たしてその魂を喰らうことなら、絶対にクルトを手に入れなければならない。
終いには二人ともを食らって、どちらかの外見を使ってトゥルヌソルに溶け込み、新たな獲物を探すつもりだったのかもしれない。
仮にジェイの満たされた欲望、クルトの絶望が美味で、継続的な餌として活用するつもりなら二人が殺されることはないかもしれないが、どちらにせよジェイは傀儡。
下僕。
操られているという自覚もないままクルトを犯し続け、満たされた欲望を搾取され、枯葉のように朽ちていくだけだし、獄鬼本体は別の獲物を見つけて同じように誰かの命を貪ることに変わりはない。
一度でも魂を食らうことに成功した獄鬼は滅せられるまでそれを繰り返すのだ。
「クールートー! いままで何度も助けてやっただろ? 今回は俺を助けると思ってさ、おまえをよこせよ。絶対に可愛がるよ。幸せにする。気持ち良い事しかしないって。な?」
「この時点で気持ち悪さしかねぇわ!!」
「そんなひどい事を言われたらさ、ショックで、俺、殺しちゃうぜ?」
「!!」
靄手が瞬時に凶器へ姿を変え、クルトを庇うウォーカーに突進。
ガンッ、と。
激しい衝突音を響かせるもウォーカーは盾を構え、耐えた。
「くっ」
「へぇ、いまのを堪えるなんてやるなぁ。金級はレイナルドに寄生したおかげってわけじゃないのか」
「寄生はテメェの方だろうが獄鬼!!」
レイナルドの剣がジェイの頭を狙う。
獄鬼の靄手は斬れない、触れられない。魔法では時間稼ぎが関の山で、止められるのは僧侶だけ――それが獄鬼の厄介な特性だが、条件が満たされたジェイを食らう前にジェイを殺してしまえば獄鬼は肉体を捨てざるを得ない。
僧侶が多く滞在するトゥルヌソルで肉体を失うことは獄鬼にとって致命的だ。
「おまえこそ俺達に散々助けられて来ただろうが……っ、ここは仲間のために死んでおけ……!」
「ひどいなぁ」
獄鬼は笑う。
とても妖艶に。
「俺、これでも7人食っているんだぜ?」
「っ⁈」
「いくらレイナルドでも、さすがに無理だと思うんだが」
ふふっと笑いながら、獄鬼が動く。
「!」
レイナルドは瞬時に察し体を捻じったが、右足を持っていかれた。
「ぐっ、呪いか……!」
「ごちそうさま。次は――」
「レイ!!」
避けようとしたレイナルド、次を見定める獄鬼、そこに割り込んだゲンジャル。盾を間にレイナルドを担ぎ、後方に跳んだ。
「!!」
獄鬼が笑う。
「あははははは!! やだよなぁ弱いって! おまえたちトゥルヌソルの連中が僧侶のそばでぬくぬくしている間に、どれだけの街で俺たちがのんびり成長させてもらってると思う? おまえたちの油断が! 傲慢が! 浅慮が!! わざわざ天界が『旅の僧侶』と名乗らせるにも関わらず一ヵ所に留めようとする自己保身が俺達に世界を侵食させるんだ!!」
「がはっ!」
「くっ!!」
嘲笑と共に降り注ぐ槍のような靄手。
「あああっ」
クルトの両足が折られる。
「腕もいっとこうか」
言うが早いかクルトの四肢を圧壊し、更にそこへ纏わりつく漆黒の靄は、自分よりも能力の劣る僧侶の回復を阻害する、強者の呪い。
「クルト!!」
「あぐぁ……っ」
ウォーカーがクルトを引きずって遠ざけようとするが、その手は先ほどの防御で痺れたまま。右足を失くしたレイナルドはゲンジャルの盾に庇われ、ミッシェルの魔法で獄鬼の攻撃をぎりぎり凌ぐのが精いっぱい。
それすらあえて凌がせて、面白がられているのだろう。
何もかもが足りない。
死。
それが脳裏を過った瞬間だった。
クルト達パーティのクランハウスはもちろんのこと、周囲の木々、その向こうの建物までも風圧だけで消し去って見せたのだ。
レイナルドたちは運が良かった。
捕り物になる可能性が高いのは判っていたからパーティ全員がその場に揃っていたし、自慢ではないが彼らは攻守のバランスが取れた良いチームだから咄嗟の事でもクルトも含め命を守る事は出来たのだ。
視界の悪い中、何とか周囲を確認し自分たち以外の生存者を確認する。
運が良ければ近隣に住んでいる連中も命までは落としていないはずだ。
「アッシュ、ギルドに行って緊急の救援要請を出させろ。獄鬼だ」
「了解!」
余計な言葉の遣り取りなど時間の無駄。
答えるなりウマ科のアッシュが目的地に向かって走り出した。パーティの中では彼女が最も速い。
それと同時にレイナルドと同じイヌ科のゲンジャルが盾を構え、彼の妹で同じくイヌ科のミッシェルが杖を、レイナルドが剣を構え、クマ科のウォーカーがクルトを背後に庇って立つ。
アッシュを送り出して以降、誰一人口を開かない。
周囲を警戒し、意識を索敵に集中する。
認めたくないが獄鬼は強い。
宿主がジェイという銀級冒険者なのも辛い。
獄鬼は取り付いた個体の能力を、獄鬼自身の能力、そしてこれまで食らって来た命の数だけ乗算して強化出来るのだ。最悪、金級の冒険者が10人以上揃わなければ討伐する事はかなわないかもしれない。
(だとしても、トゥルヌソルで出してしまったからには此処で滅さないと)
他所に尻拭いしてもらっては総てが集まる街トゥルヌソルの名が廃る。
ジリッ……誰かの足が下がった。
来る。
「!」
「うぁ……!」
クルトに伸ばされる黒い靄状の触手。
「避けろ!」
ダンジョン産の剣を持たないどころか文字通り身一つのクルトは逃げる事に専念する。
クルトが逃げた場所に突き刺さる獄鬼の手。
それに接近し火魔法を放つミッシェル。
「燃やせ!」
「払え!」
ミッシェルが立てた火柱にゲンジャルの声が重なり、風の刃が続く靄手を切り裂いく。
しかし切り裂いたところで所詮は実態を持たない靄。
闇色の手はすぐに元の形に戻りクルトを追う。
「チッ、やっぱ諦めるつもりはねぇか!」
「クルト絶対に捕まるなよ!!」
「はい!」
そうして始まるのは、圧倒的にこちらが不利な、体力と魔力を消耗させられるだけの鬼ごっこだ。
『トゥルヌソルに獄鬼は現れない』
油断していたと言われればそれまでだ。
主神リーデンによって創造された神の世界において獄鬼は実体を持たない。
主神の印をその身に持ち、主神の代理として民を癒す僧侶には近寄る事が出来ない。
それが常識だから、常に複数人の僧侶が滞在しているトゥルヌソルには獄鬼が現れる事などないと思い込んでいた。
実態を持ちさえすれば僧侶に近付けることは判っていたのに、油断は、いつの間にかトゥルヌソルの住人は獄鬼になど憑かれない、と。そんな傲慢な考えを植え付けてしまっていたらしい。
「ふはっ、あははははは! さぁおいでよクルト。おまえが俺のものになりさえすれば他の連中は見逃してやっても良いぜ? 俺に服従し、心も体も、魂までも俺に捧げろよ。おまえ一人の犠牲でトゥルヌソルは今日までの変わりない明日を迎えられる!」
「っ」
「聞いちゃダメよクルト!」
「おまえが手に入れば次の犠牲者が出るだけだ!!」
ミッシェルとウォーカーが怒鳴る。
皆が分かっているからだ。
獄鬼の目的が、取り憑いたジェイの欲望を満たしてその魂を喰らうことなら、絶対にクルトを手に入れなければならない。
終いには二人ともを食らって、どちらかの外見を使ってトゥルヌソルに溶け込み、新たな獲物を探すつもりだったのかもしれない。
仮にジェイの満たされた欲望、クルトの絶望が美味で、継続的な餌として活用するつもりなら二人が殺されることはないかもしれないが、どちらにせよジェイは傀儡。
下僕。
操られているという自覚もないままクルトを犯し続け、満たされた欲望を搾取され、枯葉のように朽ちていくだけだし、獄鬼本体は別の獲物を見つけて同じように誰かの命を貪ることに変わりはない。
一度でも魂を食らうことに成功した獄鬼は滅せられるまでそれを繰り返すのだ。
「クールートー! いままで何度も助けてやっただろ? 今回は俺を助けると思ってさ、おまえをよこせよ。絶対に可愛がるよ。幸せにする。気持ち良い事しかしないって。な?」
「この時点で気持ち悪さしかねぇわ!!」
「そんなひどい事を言われたらさ、ショックで、俺、殺しちゃうぜ?」
「!!」
靄手が瞬時に凶器へ姿を変え、クルトを庇うウォーカーに突進。
ガンッ、と。
激しい衝突音を響かせるもウォーカーは盾を構え、耐えた。
「くっ」
「へぇ、いまのを堪えるなんてやるなぁ。金級はレイナルドに寄生したおかげってわけじゃないのか」
「寄生はテメェの方だろうが獄鬼!!」
レイナルドの剣がジェイの頭を狙う。
獄鬼の靄手は斬れない、触れられない。魔法では時間稼ぎが関の山で、止められるのは僧侶だけ――それが獄鬼の厄介な特性だが、条件が満たされたジェイを食らう前にジェイを殺してしまえば獄鬼は肉体を捨てざるを得ない。
僧侶が多く滞在するトゥルヌソルで肉体を失うことは獄鬼にとって致命的だ。
「おまえこそ俺達に散々助けられて来ただろうが……っ、ここは仲間のために死んでおけ……!」
「ひどいなぁ」
獄鬼は笑う。
とても妖艶に。
「俺、これでも7人食っているんだぜ?」
「っ⁈」
「いくらレイナルドでも、さすがに無理だと思うんだが」
ふふっと笑いながら、獄鬼が動く。
「!」
レイナルドは瞬時に察し体を捻じったが、右足を持っていかれた。
「ぐっ、呪いか……!」
「ごちそうさま。次は――」
「レイ!!」
避けようとしたレイナルド、次を見定める獄鬼、そこに割り込んだゲンジャル。盾を間にレイナルドを担ぎ、後方に跳んだ。
「!!」
獄鬼が笑う。
「あははははは!! やだよなぁ弱いって! おまえたちトゥルヌソルの連中が僧侶のそばでぬくぬくしている間に、どれだけの街で俺たちがのんびり成長させてもらってると思う? おまえたちの油断が! 傲慢が! 浅慮が!! わざわざ天界が『旅の僧侶』と名乗らせるにも関わらず一ヵ所に留めようとする自己保身が俺達に世界を侵食させるんだ!!」
「がはっ!」
「くっ!!」
嘲笑と共に降り注ぐ槍のような靄手。
「あああっ」
クルトの両足が折られる。
「腕もいっとこうか」
言うが早いかクルトの四肢を圧壊し、更にそこへ纏わりつく漆黒の靄は、自分よりも能力の劣る僧侶の回復を阻害する、強者の呪い。
「クルト!!」
「あぐぁ……っ」
ウォーカーがクルトを引きずって遠ざけようとするが、その手は先ほどの防御で痺れたまま。右足を失くしたレイナルドはゲンジャルの盾に庇われ、ミッシェルの魔法で獄鬼の攻撃をぎりぎり凌ぐのが精いっぱい。
それすらあえて凌がせて、面白がられているのだろう。
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それが脳裏を過った瞬間だった。
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