生きるのが下手な僕たちは、それでも命を愛したい。

柚鷹けせら

文字の大きさ
上 下
32 / 335
第2章 新人冒険者の奮闘

32.見えているのに

しおりを挟む
 本当に、大袈裟でなく、そこまで警戒しないとダメなくらい狙われているんだろうか。
 ジェイが近付いて来た時みたいな不快感があれば自覚出来るのに、今日は一度もそんな感覚はなかった。
 応援領域持ちクラウージュの僧侶が魅力的なのは判った。
 それは事実として受け止めよう。
 例え3年間はダンジョンに入れなくて、今はなんの魔法も使えない身ではあるけれど、それが判っていてもなお欲しいと思われる程度には自分が貴重な存在なのだと、認める。
 っていうか諦める。
 だが他の部分はどうしても納得出来なかった。
 争奪戦で破局するパーティが続出だとか、雄の本能を刺激するとか、理性をぶっ壊すとか、一体誰の話をしているのだ。
 そんな魅力があれば恋人いない歴=年齢なんてことにはなっていない!

獣人族ビーストは半分が動物の血だから成長が早いのは、理解出来る。体が出来ちゃえばそういう欲もそりゃあ、あるだろうさ。ちょっと、いや、かなり同意は難しい感覚だけど理解はするよ!」

 ソファの上。
 クッションを叩きつけながら声を荒げる。
 今ばかりはヤーオターオの加護も効果がなさそうだ。
 リーデンにも色々と言われているし、そういうことも含めてちゃんと生きろと諭されて此処にいるのだから、ゆくゆくは前向きに考えていきたいと思っている。
 しかし今の自分は12歳の子どもだ。
 日本で言えば小学6年生で、ランドセルを背負って学校に通っている年頃だ。
 そんな相手に理性だの本能だのと一歩間違えなくても犯罪である。
 そもそも、だ。

「俺は平凡なサラリーマンだったんですけど……?」

 しかも色恋沙汰には全く縁が無かった。
 好きかなと思った相手がいた中学生時代は、誰に告げたわけでもないのに「それっぽい」という理由で周囲に揶揄われ、当人からは「気持ち悪いから近付くな」と拒否されるようなダメっぷり。
 高校時代はひたすら誰かのためにいろんなことを頑張ったつもりだったけど「可哀想」って言われて、女子の先輩に押し倒された。
 誰にも相手にされない俺が可哀想だから慰めるという思考が理解出来なさ過ぎて、それをきっかけに女性が完全にダメになった。怖いとは違うが、二人きりが続いたりすると動悸息切れがし始めるのだ。
 以降は上辺だけの人間関係。
 いじめられたわけじゃないが、私物がなくなることが頻発して周囲の友人が信じられなくなったし、こそこそと話題にされてニヤニヤされるのは不快以外の何物でもなかったからだ。
 鏡で自分の顔を見るのがイヤになったのもこの頃だ。いつ見ても怒ったような顔をしていたから。
 高卒で就職後は、一番年齢が近くて一回り上という年配者ばかりの職場が心地良すぎて家と職場の往復以外しなくなった。
 そんな人間のどこに魅力があるものか。

「……あーもー……」

 ここに来て、ユーイチの減刑のためにもきちんと頑張ろうって思ったが、なかなか思い通りにはいかない。
 クッションを抱き締めてソファに転がる。
 依頼そのものには何の問題もなかったのに疲労感がひどい。少しこのまま眠ってしまおうかと目を閉じた、……その時だった。
 チリンと窓際から響く涼やかな音色。
 来訪者にすぐに気付いて体を起こす。

「はいっ」

 少しびっくりしつつも返事を返せば、相変わらず美しい男神が姿を現す。

「急にすまない」
「いえっ、それは全然」

 そもそも急じゃない来訪が今まであったかという話で、いっそ此処はリーデンの家で自分がお邪魔している側だと考えた方が精神的に良いのではないかと思っているくらいだ。

「っ」

 と、そんなことを考えている間に距離を詰めて来たリーデンの手が顔に触れる。

「り、ぃでん様?」
「……大丈夫か?」
「何がですか?」

 お互いに疑問符だらけで反応に困る。
 リーデンはしばらくじぃっと俺の顔を見ていたけど、何を心配されているのか判らないくらいには問題ないのが伝わったのか、気を取り直すように息を吐いた。

「ローズベリーからレンの精神状態が荒れているようだと報告があったから様子を見に来た」
「……あ」
「思い当たったか」

 リーデンの補佐でロテュスの管理に従事している下級女神の名を聞いて、察する。
 そちらにも心配を掛けたと言うことだ。

「すみません。少し嫌な……というか理解し難い状況で混乱しただけです」
「具体的には」
「えっと……」

 どう説明したものか迷うが、当たり障りのない箇所を……と思っていたのに、結局全部喋らされたのはたった5分後のことだった。




 さっきまでの倍以上の疲労を感じつつ、冷蔵庫で冷やしていた果実水を二つのグラスに注ぐ。
 キッチンの収納にあった水出しボトルに水道水を注ぎ、商通りの店で購入したシトロンを輪切りにして浸しておいただけなのだが、とても爽やかで美味しいと思う。
 お店の人にはモントゥも一緒に入れておくとなお美味しくなると言われたのだが、実物がなく鑑定も出来なかったため何の事かは不明なまま。果実水に果物と入れるならハーブ系かなと思っているので、その内どこかで見つけられるだろう。
 余談だが、この部屋の冷蔵庫はパントリーと同じく時間停止機能付き&容量無制限という仕様になっているのだが、冷凍庫を開けるとひんやりとした冷気が目に見える気体となってふわっと舞う。それが妙に好ましく感じられて、冷凍室を開けるのが楽しみだったりする。
 いまもグラスの中には氷を。
 そして輪切りのレモンも一枚。……じゃなくてシトロンか。慣れるまで時間掛かるなぁ。

(リーデン様が飲むなら……ストローは似合わない……うん、似合わない)

 飲んでいる姿を想像して結論付け、無しのまま運ぶ。

「どうぞ」
「……これは神酒みきか?」
「ただの水に果物を浸しただけです。試してみて下さい。無理そうなら、お酒もあります」
「ふむ」

 警戒……というほどではないが、注意深く見た目や匂いを気にしつつ一口含んだリーデンは、二口目を飲んでからグラスを置いたと思ったら「それでだが」と話し始めた。
 せめて一言でも良いから味の感想が聞けるとありがたいんですが……そういえばレシピ本もまだだっけ。

「先ほどの、イヌ科シアンの男が指摘した件については事実だ。注意するに越したことはないぞ」
「えっ」

 まさか全肯定されると思わなくて驚くが、リーデンは淡々と続ける。

「確認だが創世記は読んだか?」
「読みました。前に言っていた楔の件も……獣人族ビーストを迫害していた人間の中にも良い人がいて、一緒にロテュスに連れて来たけど嫌がる人もたくさんいたから、絶対に獣人族ビーストに悪いことはしないって契約の楔を血に刺したんですよね?」
「そうだ。あくまでこの世界に暮らす者達に伝えるための表向きな話であって、実際には語れぬ事柄が幾つもあるが」
「でしょうね」

 平々凡々なサラリーマンだって社会に表と裏があることくらいは知っている。
 それが神の領域に至れば想像を絶する事実が隠されていたって当然だろう。

「まぁその辺りは頃合いを見てまた話すが、結論から言おう。レンが雄の本能が強い獣人族ビーストから狙われるのは、おまえが人間だからだ」

 人間だから。
 うん、つまりどうしようもないということだ。

「って、何でですかっ⁈」
「獣人族は人間に迫害されていたから、人間を憎んでいる者が多かった」
「でしょうね」
「そして獣人族ビーストの多くは他種族に比べて非常に五感が鋭い」
「犬の嗅覚やイルカの聴力がすごいっていうあれですか」
「それだ」
「なるほど、それで」
人族ヒューロンは獣人の血が混ざっているが、おまえには混ざっていない」
「地球からの転移なので?」
「そうだな。獣人族ビーストの血が混ざっていないのは人族ヒューロンではなく人間だ。この世界に人間はいないと頭では分かっていても、獣の五感がそれを本能で嗅ぎ分けるのだろう」
「……つまり?」
「人間に仕返しがしたい、むしろ支配してやりたい、屈服させたい、服従させたい――そういう感情がこの時代の常識と混ざり合った結果、おまえが欲しいという欲求に落ち着くと考えられる」
「…………え、っと……つまり……」

 人間だからどうしようもない。
 最初に言った通りだ。

「そんなぁ……それってあまりにも酷くないですかっ。人間だから獣人族ビーストに狙われるなんて最初から判ってたでしょう⁈」
「判っているから僧侶の証を持たせただろう。それは必ずおまえを守るぞ」
「現状守られている気がしません!」
「襲われてみたら効果のほどが判ると思うが……」
「襲われる前に守られたいです!」
「ほう?」

 売り言葉に買い言葉じゃないが、勢いに任せて放った台詞にリーデンから感じる何かが変わった。

「あの男に身を守る方法も聞いたんだったか?」
「ぁ……えっと、強い雄とつがえ、だったかな。匂いがするって言われましたけど誰のことだか」
「わからないのか」
「さっぱり。一番強そうなのはレイナルドさんですし……」
「ほぉ……?」
「……っ?」

 ぶるっと身震いしたのは急に寒さを感じたせいだ。
 何が……と戸惑っていたら、ぐいっと手を引っ張られ、次の瞬間には離近距離にリーデンの顔――。

「!!」

 ソファに座るリーデンの上に向い合せに座らされている。
 それに気付いた瞬間、自分の顔が火を噴く音を確かに聞いた。

「ちょっ、待っ、離……っ」

 すぐに離れようと体のあっちこっちに力を入れてみるけれど、左右から腰を掴まれて身動ぐくらいしか出来ない。その間にも間近で囁かれる甘い声。

「番という言葉くらいは聞いたことがあるだろう」
「つがい?」

 蝶番なら?

「動物の雌雄一揃えの事を番というのだ。色恋に疎いおまえには馴染みのない言葉かもしれんがな」
「え、えっ?」
獣人族ビーストが言う「番え」は結婚しろという意味だ」
「けっ……⁈」
「加えて、おまえにはこれが見えないようだな?」

 何がだと凝視する俺に、自分の枝角を指差すリーデン。
 いや、それは見えてるよ。
 そんな鹿みたいな立派な角が見えないわけない……見えない、わけが。

「ぁ……っ」
「ロテュスに生きるあらゆる雄よりも強い自信はあるんだがな」
「そ……そん……っ、リーデン様って、鹿、の獣神……っ?」
「いいや。ロテュスを創造する際に獣らしい威厳があった方がいいと言い出した上級神の一人が勝手に生やしただけだ。おかげで教会の像もこの姿で定着してしまい外せなくなった。重くはないから構わんがな」

 理由!
 事情!
 せめてもう少しちゃんとした(?)過程が欲しいです!
 
「それにしても……はぁ」

 リーデンがため息を零す。
 とてもわざとらしいのに絵になるのはやっぱりイケメンだからだろうか。
 艶っぽ過ぎて心臓に悪いので一刻も早く放して頂きたいのだが!

「まさかおまえに男と思われていなかったとはな」
「え?」
「俺が女に見えたのだろう?」
「ひぃあっ⁈」

 手首を取られ、触らされたのはリーデンの胸部だ。
 当然そこに女性らしい丸みなどあるはずがなく、むしろ見た目からは想像出来ない逞しさ。

「どうだ?」
「どうっ、て、なっ、なんのことかっ」
「俺は男女どちらだ?」
「男性ですっ」
「ふむ。まだ足りなければ脱いで見せようかと思ったが」
「やめてください心臓が耐えられません!」
「ハッ」

 早口に捲し立てる。
 こっちは必死なのに笑うなんてっ。

「お願いですから放してくださいっ」
「……なるほど、25まで生きた知識がある分いろいろと想像は出来るが経験がないから反応が初心……、確かに危ういかもしれん」
「なっ、なっ……!」
「後はなんだ、守られている気がしない、だったか?」
「――!!」

 にやりと笑ったリーデンの指が、するりとシャツのボタンを外した。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

迷子の僕の異世界生活

クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。 通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。 その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。 冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。 神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。 2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

処理中です...