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第42話 ケアレスミス
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「勉強しなさい」
「やだー」
「しないとピザもイチャイチャもなし!」
「…」
ここまでカレンが勉強嫌いとは思わなかった…
唯一数学や英語がまだできる(赤点じゃないレベルだが…)と言うところは救いだな、俺も苦手だから教えるほどの余裕はない…
カレンは暗記が特に苦手なようだった。
こんな調子を何日も続けている…
今日は休みだから朝から一日中勉強会だ。
しかし休み明けにはテストだというのにカレンは一切勉強をしようとしない。
無理矢理問題集を解かせても適当な答えばかり書いてしまう。
イチャイチャで釣ってもそれ以上にやりたくないが勝ってしまうようだ…
「なぁ、どうやったらちゃんと勉強する気になってくれるんだ?」
「うう、勉強嫌い…イチャイチャしたい…ピザも食べたい…でも勉強嫌い…」
ずっとこれである…
「とりあえずさっきやった問題集を採点していくぞ…ん?これ合ってるじゃないか!あ、ここも!なんだちょっとずつでも出来るようになってるぞカレン!」
「え、ほんと?」
「ああ、ご褒美に撫で撫でだ」
「えへへ、もっともっと!」
あれ?そういうことか…
カレンは褒めて伸びる子なのだ…
なんだ簡単なことじゃないか。
「よし、一問正解する度に撫で撫でしてやる!」
「うんうん、わかった頑張る!」
よしよしやっとやる気がでたかな…
「よし問題出すぞ!鳴くよウグイス」
「平安京」
お?
「いいはこつくろう」
「平安京」
ん?
「……ちなみに今は?」
「平安京?」
「バカなのか!?いやバカだろ!なんで1000年以上も平安の世やってんだよ日本は!?当てずっぽで答えるな!」
「うう…勉強嫌い…やだ!もうしたくない!」
しまった、怒ってしまった…
「あ、でも1問目は正解したから撫で撫でしてやる。よしよし」
「えへへへ、快斗、チューも」
「それはもう一問正解してからな」
「えー、ケチ」
そんなぐだぐだな勉強会は続いた。
「そろそろお昼だし、ピザとるか」
「わーい!とるとる!」
息抜きも大事だしな。
早速出前をとった。
昼間なのにアンが出前を届けにきた…
「毎度」
「ああ…でも遊園地は?」
「解雇」
「なんで!!?」
「人員整理」
「いや高村さんシビアだな!」
身内は残してやれよ…いや極道は身内にこそ厳しそうだけどな…
「でも昼間は儲かってるのか?」
「苦しい」
「あ、すまん…」
アンはフラフラしながら帰っていった…
そういえば前のファイトマネーはどうなったんだ…
ピザを食べたあと、また勉強を再開したのだが満腹カレン様はイチャイチャモードになったらしい。
「快斗、一問正解したらチュー」
「え、そうだなわかったいいよ。」
「全問正解したらエッチ!」
「い、いやだからエッチはだな…」
いやまてよ?カレンが全問正解とかあり得ないな…
「万が一そんなことがあればだけどな。」
「ほんと!?頑張る!」
まぁ無理だろ。
「じゃいくぞ。江戸時代の…」
「徳川家光!」
お?
「快斗、チューする!」
カレンとキスした。
「じゃ次、明治…」
「坂本龍馬!」
おお?
「快斗、もっかい!」
カレンとキスした…
「もう一問いくぞ。し…」
「北条時宗!」
「いや早押しか!最後とか一切問題聞かずに答えてたよな!?なにそれ急に閃くの?降りてくるの!?」
「勘が冴えたの」
「勘で北条時宗絶対出てこないって!もっとポピュラーな人が頭に浮かばないかな!?」
「え、でも時宗のお兄さんの時輔は二月騒動で死んだ説と逃亡説があるくらい有名だよ?」
「なんでそんなにそこだけ詳しいんだよ!?いやお兄さんいたの!?俺全然知らんわ!諸説あるとか言われてもピンともこないんですけど!」
え、チューとかエッチがかかると急に歴史が頭に降ってくるものなのか?
「まぁなんにせよできるようになってきたのはいいことだけどな…」
「わーい、じゃエッチする!」
「ま、まてまて!テストで100点取ったらの話だ!」
「えー、聞いてない!エッチするの!」
「だー、ダメダメ!そのかわりテストで全部100点だったら約束は守るから」
こんなこと言ってしまって大丈夫なのかな?
「ほんと?ほんとのほんと?」
「あ、ああ…」
「じゃ頑張る!頑張れのチューして!」
もう正解のたびにキスをするものだから俺は頭がおかしくなりそうだった…
勉強の途中にキスをしているのかキスの合間に勉強をしているのかもわからなくなりながら、夕方まで勉強会?は続いた。
「だいぶできるようにはなったけど…念のため家庭教師も呼ぶ?」
ていうかどうやって頼むんだ?校長に聞くのかな…
「うう、カテキョ怖い」
「いやそんな怖い人はこないと思うよ!?」
「それよりお腹すいた」
「まぁたしかにお腹すいたな…」
「パスタ食べたい!」
「パスタ?それもピザ屋にあったな…頼んでみるか」
またしても出前を届けにアンが来た。
しかしアンは少し機嫌が悪そうだった。
「…」
「なんだよ、なんかあったのか?」
「パスタ」
「パスタがどうしたの?」
「原価高い」
「いや客に原価の話するなよ!」
それで不機嫌なのか…
「カレン様…勉強中?」
「あ、ああ聞いたのか?家庭教師に最後見てもらおうか悩んでるところだ…」
「いいよ」
「は?」
「みるよ」
「だから何を?」
「勉強」
「え、お前家庭教師までやってんの!?」
「大卒」
「そうなのか…で、いくらだ?」
「言い値」
「いやちょっとは欲張れ!だから足元見られるんだよ!」
結局五千円で家庭教師をお願いした(アンへの資金援助を兼ねて…)
「もやし、ここは?」
「…」
なんだかんだと二人で1時間ほど集中して勉強をしていた。
アンにこんな一面があるとはなぁ。
「終わった」
「お疲れ様、問題ないか?」
「カレン様、全部100点」
「は?そんなすぐできるわけ…」
さっきまでやっていた答案を見ると、全部『100点』と書かれていた…
「うそだろ!?何したの!?」
「暗示」
「万能すぎるわ俺にもかけてくれよ!」
「ダメ」
「え、なんでだよ」
「パスタ頼んだ」
「じゃあメニューから外せや!」
五千円を握りしめて浮かれるアンが帰った後、ものすごく重要なことを思い出した。
全部100点だと困るんですけど…
「快斗、全部100点取れた。明日も100点、そんでエッチする!」
「ま、待て待て…本当にできるようになったのか?」
「ばっちり!」
「じゃあ地理の問題行くぞ…1問目は…」
「1問目 パリ 2問目 東京 3問目 カナダ!」
「いやだからなんで問題聞く前にわかるんだって!?え、なんの暗示なんだ?予知できるようにでもなったのか!?なぜか全問正解だよ!」
これはまずい…
明日試験の邪魔を…いや俺にそんな余裕はないな…
そしてカレンはもうイチャイチャモード全開だった。
「快斗、今までの分のチューは?」
「え、いままでの全部?」
「うん…朝までずっとかかっちゃうね、えへへ」
やっば何この子超かわいいんですけど!?
俺たちは勉強ではなくイチャイチャしすぎて寝不足になった…
~試験当日の朝~
「快斗、今日はテストー!終わったらエッチー!」
「あ、ああ…」
どうしよう…もうこうなったらケアレスミスでも期待するしかないか…
ウキウキなカレンを連れて胃がキリキリしながら学校へ向かった。
「お、寝不足だな。昨日は徹夜か?」
純也が話しかけてきた。
「え、そうだな朝まで…」
朝までずっとカレンとキスしてたとは言えないな…
「ま、これ乗り切ったら夏休みだし頑張ろうぜ!」
「そうだな…」
地獄の期末試験が始まった。
5教科で赤点は30点未満。赤点を3つ以上取ると補習である。
1限目は英語だった。
英語は一昨日散々やったから…って待て?
しまった、カレンの勉強に集中しすぎて俺が勉強できてない…
全くわからなかった…
それに気づいてからの2限目以降も全くできなかった。
休み時間に急いで詰め込もうとしたがもちろん無理な話で、カレンの試験結果よりも自分の方が心配になっていた…
そして昼休みになった。
最後は日本史と地理(この学校は社会をひとまとめにしている)だ。
今のうちに少しでも勉強をしよう…
そう思ったところでなぜかカレンが教室に来た。
「あ、カレンちゃんだ。相変わらずかわいいなー」
「チェリーに用事?おーいチェリー、嫁がきたぞー」
カレンが以前教室で愛妻弁当を広げて以来こんな感じだ…
「どうしたカレン?俺勉強が…」
「チューしに来たの」
はい?
「あ、あのね教室だから…」
「多分4教科全部100点だからその分全部チューする!」
そういって俺は教室で襲われた…
「おおー!」とクラス中がざわつく中、俺は必死に抗ったが抵抗虚しくキスされまくった…
何回したのかすらわからないが、満足してカレンが帰ったころには昼休みは5分も残っていなかった…
「おいチェリーお熱いなー、夏休みはヤリまくりだろ?」
「いいなー、完全な勝ち組だな!」
いや、ヤリまくったら一気に負け組人生に転落するんだよ…
でもあの感じだとカレンは全部100点とれそうだな…
最後の教科である社会のテストが始まった。
やっぱ全然わかんねー…とりあえず埋めるしかないな…
カレンはこれも100点なのか?いやそうなるとどうやって断ったら…
そんな感じで何もできないまま期末試験が終わった。
この学校では夏休みを目いっぱいとるためにその日のうちにすべてのテストが採点され、期末試験終了とともに夏休みに入るという学生にとっては素晴らしいシステムを導入しているが、急いで採点をするあまり、採点ミスが多く職員室には朝まで長蛇の列ができるのだ…
1時間ほど待たされて、答案用紙が返ってきた。
「次、桜庭」
「は、はい…」
うわー、俺絶対に追試だよ…終わった、カレンとの夏休みライフが…
「ほれ、全部ギリギリだけど合格だ。」
え?
急いで答案用紙をみたら全教科ピッタリ30点だった…
答案用紙を見たら、もう採点など無茶苦茶だった。
空白の部分にも○が付いていて、逆にあっている部分でも×になっていたりともはや解答など見ていないのが明らかだった…
そして最後の日本史の答案用紙の裏になにか書いてある…
『男はいらん 谷村』
なんじゃそれ!?男は補習に来たら邪魔だから下駄履かせるの?いいのこれ?
ていうか谷村先生って何者なんだよ!?
俺は男というだけで試験を合格した…
もちろん職員室にも並ばない、抗議もしない、この結果を甘んじて受け入れるのだが…
正門でカレンを待っていると、浮かない顔のカレンが出てきた。
もしかして、谷村の策略で赤点にされたとか…?
「カレン、試験どうだったんだ?」
「うん…」
「え、もしかして…」
「5教科で498点だった…」
「いやすげぇな!絶対学年トップだろそれ!?」
なぜかカレンの答案は普通に採点されていた…
そしてやはり日本史の答案用紙の裏に何か書いてあった。
「処女はめんどくさい 奈良」
いやだからお前らの裁量で全部決まるの!?
確かに大人になると処女は逆に…とか聞くけどさ!?
谷村と奈良の補習ちょっと見てみたいな!
「まぁ合格できてよかったな…でもどこを間違えたんだ?」
「ここ」
ん?どれどれ?
『Q:本能寺の変で織田信長に謀反を起こした黒幕は誰?』
『A:黒幕は別にいるはずだ』
いやなにこれ!?
「アンに言われた通り書いたのに…」
「アンは明智光秀のファンなのかな…」
アンのケアレスミス?のおかげで俺は危機を乗り越えた…
何はともあれ長い長い一学期が終了した。
そして明日からは夏休みだ。
下校中もまだ日が高く、明日からなにしようか、いや今日この後帰ってから何しようかというワクワク感が急に押し寄せてきた。
「カレン、夏休みだ!どっかいくか?」
「うん、ハワイ!」
「ごめんそれはお金が…」
カレンに奢ってもらうのは男としてどうかと思うし…
「じゃあさ、とりあえず海でも行く?」
「海!プール!どっちも行く!」
泳ぐの好きなんだな…
家に帰ると早速水着を探すとカレンが部屋に籠っていた。
ああ、カレンの水着かー。白い肌が日に照らされて眩しいだろうなぁ。
いやまて、この流れは…
「快斗、着替えたよ!これでイチャイチャするー!」
まぁまぁビキニなカレンが飛び出してきた。
「いやだから、部屋でそんなもん着るな!その恰好で迫ってくるなって!」
「なんでー?」
「なんでじゃねーわ普通に興奮するんだよ!」
とにもかくにもなんとか一学期はカレンの処女を守り抜いた…
しかし夏休みだからしばらく学校の面々と会わなくて済むかと言えば、もちろんそんなわけもなく、むしろ惨状は続いていく…
次回 ようやく!?夏休み突入 海だ花火だバーベキューだ!
夏の部活も大忙し!?水泳に野球にパラセーリングまで…
更にお盆は両親にご挨拶???
「やだー」
「しないとピザもイチャイチャもなし!」
「…」
ここまでカレンが勉強嫌いとは思わなかった…
唯一数学や英語がまだできる(赤点じゃないレベルだが…)と言うところは救いだな、俺も苦手だから教えるほどの余裕はない…
カレンは暗記が特に苦手なようだった。
こんな調子を何日も続けている…
今日は休みだから朝から一日中勉強会だ。
しかし休み明けにはテストだというのにカレンは一切勉強をしようとしない。
無理矢理問題集を解かせても適当な答えばかり書いてしまう。
イチャイチャで釣ってもそれ以上にやりたくないが勝ってしまうようだ…
「なぁ、どうやったらちゃんと勉強する気になってくれるんだ?」
「うう、勉強嫌い…イチャイチャしたい…ピザも食べたい…でも勉強嫌い…」
ずっとこれである…
「とりあえずさっきやった問題集を採点していくぞ…ん?これ合ってるじゃないか!あ、ここも!なんだちょっとずつでも出来るようになってるぞカレン!」
「え、ほんと?」
「ああ、ご褒美に撫で撫でだ」
「えへへ、もっともっと!」
あれ?そういうことか…
カレンは褒めて伸びる子なのだ…
なんだ簡単なことじゃないか。
「よし、一問正解する度に撫で撫でしてやる!」
「うんうん、わかった頑張る!」
よしよしやっとやる気がでたかな…
「よし問題出すぞ!鳴くよウグイス」
「平安京」
お?
「いいはこつくろう」
「平安京」
ん?
「……ちなみに今は?」
「平安京?」
「バカなのか!?いやバカだろ!なんで1000年以上も平安の世やってんだよ日本は!?当てずっぽで答えるな!」
「うう…勉強嫌い…やだ!もうしたくない!」
しまった、怒ってしまった…
「あ、でも1問目は正解したから撫で撫でしてやる。よしよし」
「えへへへ、快斗、チューも」
「それはもう一問正解してからな」
「えー、ケチ」
そんなぐだぐだな勉強会は続いた。
「そろそろお昼だし、ピザとるか」
「わーい!とるとる!」
息抜きも大事だしな。
早速出前をとった。
昼間なのにアンが出前を届けにきた…
「毎度」
「ああ…でも遊園地は?」
「解雇」
「なんで!!?」
「人員整理」
「いや高村さんシビアだな!」
身内は残してやれよ…いや極道は身内にこそ厳しそうだけどな…
「でも昼間は儲かってるのか?」
「苦しい」
「あ、すまん…」
アンはフラフラしながら帰っていった…
そういえば前のファイトマネーはどうなったんだ…
ピザを食べたあと、また勉強を再開したのだが満腹カレン様はイチャイチャモードになったらしい。
「快斗、一問正解したらチュー」
「え、そうだなわかったいいよ。」
「全問正解したらエッチ!」
「い、いやだからエッチはだな…」
いやまてよ?カレンが全問正解とかあり得ないな…
「万が一そんなことがあればだけどな。」
「ほんと!?頑張る!」
まぁ無理だろ。
「じゃいくぞ。江戸時代の…」
「徳川家光!」
お?
「快斗、チューする!」
カレンとキスした。
「じゃ次、明治…」
「坂本龍馬!」
おお?
「快斗、もっかい!」
カレンとキスした…
「もう一問いくぞ。し…」
「北条時宗!」
「いや早押しか!最後とか一切問題聞かずに答えてたよな!?なにそれ急に閃くの?降りてくるの!?」
「勘が冴えたの」
「勘で北条時宗絶対出てこないって!もっとポピュラーな人が頭に浮かばないかな!?」
「え、でも時宗のお兄さんの時輔は二月騒動で死んだ説と逃亡説があるくらい有名だよ?」
「なんでそんなにそこだけ詳しいんだよ!?いやお兄さんいたの!?俺全然知らんわ!諸説あるとか言われてもピンともこないんですけど!」
え、チューとかエッチがかかると急に歴史が頭に降ってくるものなのか?
「まぁなんにせよできるようになってきたのはいいことだけどな…」
「わーい、じゃエッチする!」
「ま、まてまて!テストで100点取ったらの話だ!」
「えー、聞いてない!エッチするの!」
「だー、ダメダメ!そのかわりテストで全部100点だったら約束は守るから」
こんなこと言ってしまって大丈夫なのかな?
「ほんと?ほんとのほんと?」
「あ、ああ…」
「じゃ頑張る!頑張れのチューして!」
もう正解のたびにキスをするものだから俺は頭がおかしくなりそうだった…
勉強の途中にキスをしているのかキスの合間に勉強をしているのかもわからなくなりながら、夕方まで勉強会?は続いた。
「だいぶできるようにはなったけど…念のため家庭教師も呼ぶ?」
ていうかどうやって頼むんだ?校長に聞くのかな…
「うう、カテキョ怖い」
「いやそんな怖い人はこないと思うよ!?」
「それよりお腹すいた」
「まぁたしかにお腹すいたな…」
「パスタ食べたい!」
「パスタ?それもピザ屋にあったな…頼んでみるか」
またしても出前を届けにアンが来た。
しかしアンは少し機嫌が悪そうだった。
「…」
「なんだよ、なんかあったのか?」
「パスタ」
「パスタがどうしたの?」
「原価高い」
「いや客に原価の話するなよ!」
それで不機嫌なのか…
「カレン様…勉強中?」
「あ、ああ聞いたのか?家庭教師に最後見てもらおうか悩んでるところだ…」
「いいよ」
「は?」
「みるよ」
「だから何を?」
「勉強」
「え、お前家庭教師までやってんの!?」
「大卒」
「そうなのか…で、いくらだ?」
「言い値」
「いやちょっとは欲張れ!だから足元見られるんだよ!」
結局五千円で家庭教師をお願いした(アンへの資金援助を兼ねて…)
「もやし、ここは?」
「…」
なんだかんだと二人で1時間ほど集中して勉強をしていた。
アンにこんな一面があるとはなぁ。
「終わった」
「お疲れ様、問題ないか?」
「カレン様、全部100点」
「は?そんなすぐできるわけ…」
さっきまでやっていた答案を見ると、全部『100点』と書かれていた…
「うそだろ!?何したの!?」
「暗示」
「万能すぎるわ俺にもかけてくれよ!」
「ダメ」
「え、なんでだよ」
「パスタ頼んだ」
「じゃあメニューから外せや!」
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「快斗、全部100点取れた。明日も100点、そんでエッチする!」
「ま、待て待て…本当にできるようになったのか?」
「ばっちり!」
「じゃあ地理の問題行くぞ…1問目は…」
「1問目 パリ 2問目 東京 3問目 カナダ!」
「いやだからなんで問題聞く前にわかるんだって!?え、なんの暗示なんだ?予知できるようにでもなったのか!?なぜか全問正解だよ!」
これはまずい…
明日試験の邪魔を…いや俺にそんな余裕はないな…
そしてカレンはもうイチャイチャモード全開だった。
「快斗、今までの分のチューは?」
「え、いままでの全部?」
「うん…朝までずっとかかっちゃうね、えへへ」
やっば何この子超かわいいんですけど!?
俺たちは勉強ではなくイチャイチャしすぎて寝不足になった…
~試験当日の朝~
「快斗、今日はテストー!終わったらエッチー!」
「あ、ああ…」
どうしよう…もうこうなったらケアレスミスでも期待するしかないか…
ウキウキなカレンを連れて胃がキリキリしながら学校へ向かった。
「お、寝不足だな。昨日は徹夜か?」
純也が話しかけてきた。
「え、そうだな朝まで…」
朝までずっとカレンとキスしてたとは言えないな…
「ま、これ乗り切ったら夏休みだし頑張ろうぜ!」
「そうだな…」
地獄の期末試験が始まった。
5教科で赤点は30点未満。赤点を3つ以上取ると補習である。
1限目は英語だった。
英語は一昨日散々やったから…って待て?
しまった、カレンの勉強に集中しすぎて俺が勉強できてない…
全くわからなかった…
それに気づいてからの2限目以降も全くできなかった。
休み時間に急いで詰め込もうとしたがもちろん無理な話で、カレンの試験結果よりも自分の方が心配になっていた…
そして昼休みになった。
最後は日本史と地理(この学校は社会をひとまとめにしている)だ。
今のうちに少しでも勉強をしよう…
そう思ったところでなぜかカレンが教室に来た。
「あ、カレンちゃんだ。相変わらずかわいいなー」
「チェリーに用事?おーいチェリー、嫁がきたぞー」
カレンが以前教室で愛妻弁当を広げて以来こんな感じだ…
「どうしたカレン?俺勉強が…」
「チューしに来たの」
はい?
「あ、あのね教室だから…」
「多分4教科全部100点だからその分全部チューする!」
そういって俺は教室で襲われた…
「おおー!」とクラス中がざわつく中、俺は必死に抗ったが抵抗虚しくキスされまくった…
何回したのかすらわからないが、満足してカレンが帰ったころには昼休みは5分も残っていなかった…
「おいチェリーお熱いなー、夏休みはヤリまくりだろ?」
「いいなー、完全な勝ち組だな!」
いや、ヤリまくったら一気に負け組人生に転落するんだよ…
でもあの感じだとカレンは全部100点とれそうだな…
最後の教科である社会のテストが始まった。
やっぱ全然わかんねー…とりあえず埋めるしかないな…
カレンはこれも100点なのか?いやそうなるとどうやって断ったら…
そんな感じで何もできないまま期末試験が終わった。
この学校では夏休みを目いっぱいとるためにその日のうちにすべてのテストが採点され、期末試験終了とともに夏休みに入るという学生にとっては素晴らしいシステムを導入しているが、急いで採点をするあまり、採点ミスが多く職員室には朝まで長蛇の列ができるのだ…
1時間ほど待たされて、答案用紙が返ってきた。
「次、桜庭」
「は、はい…」
うわー、俺絶対に追試だよ…終わった、カレンとの夏休みライフが…
「ほれ、全部ギリギリだけど合格だ。」
え?
急いで答案用紙をみたら全教科ピッタリ30点だった…
答案用紙を見たら、もう採点など無茶苦茶だった。
空白の部分にも○が付いていて、逆にあっている部分でも×になっていたりともはや解答など見ていないのが明らかだった…
そして最後の日本史の答案用紙の裏になにか書いてある…
『男はいらん 谷村』
なんじゃそれ!?男は補習に来たら邪魔だから下駄履かせるの?いいのこれ?
ていうか谷村先生って何者なんだよ!?
俺は男というだけで試験を合格した…
もちろん職員室にも並ばない、抗議もしない、この結果を甘んじて受け入れるのだが…
正門でカレンを待っていると、浮かない顔のカレンが出てきた。
もしかして、谷村の策略で赤点にされたとか…?
「カレン、試験どうだったんだ?」
「うん…」
「え、もしかして…」
「5教科で498点だった…」
「いやすげぇな!絶対学年トップだろそれ!?」
なぜかカレンの答案は普通に採点されていた…
そしてやはり日本史の答案用紙の裏に何か書いてあった。
「処女はめんどくさい 奈良」
いやだからお前らの裁量で全部決まるの!?
確かに大人になると処女は逆に…とか聞くけどさ!?
谷村と奈良の補習ちょっと見てみたいな!
「まぁ合格できてよかったな…でもどこを間違えたんだ?」
「ここ」
ん?どれどれ?
『Q:本能寺の変で織田信長に謀反を起こした黒幕は誰?』
『A:黒幕は別にいるはずだ』
いやなにこれ!?
「アンに言われた通り書いたのに…」
「アンは明智光秀のファンなのかな…」
アンのケアレスミス?のおかげで俺は危機を乗り越えた…
何はともあれ長い長い一学期が終了した。
そして明日からは夏休みだ。
下校中もまだ日が高く、明日からなにしようか、いや今日この後帰ってから何しようかというワクワク感が急に押し寄せてきた。
「カレン、夏休みだ!どっかいくか?」
「うん、ハワイ!」
「ごめんそれはお金が…」
カレンに奢ってもらうのは男としてどうかと思うし…
「じゃあさ、とりあえず海でも行く?」
「海!プール!どっちも行く!」
泳ぐの好きなんだな…
家に帰ると早速水着を探すとカレンが部屋に籠っていた。
ああ、カレンの水着かー。白い肌が日に照らされて眩しいだろうなぁ。
いやまて、この流れは…
「快斗、着替えたよ!これでイチャイチャするー!」
まぁまぁビキニなカレンが飛び出してきた。
「いやだから、部屋でそんなもん着るな!その恰好で迫ってくるなって!」
「なんでー?」
「なんでじゃねーわ普通に興奮するんだよ!」
とにもかくにもなんとか一学期はカレンの処女を守り抜いた…
しかし夏休みだからしばらく学校の面々と会わなくて済むかと言えば、もちろんそんなわけもなく、むしろ惨状は続いていく…
次回 ようやく!?夏休み突入 海だ花火だバーベキューだ!
夏の部活も大忙し!?水泳に野球にパラセーリングまで…
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