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第29話 靴の裏のガム
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「はぁー…なんか毎日疲れるなぁ…」
「快斗お疲れ、元気出してあげる」
寮に着くとすぐにカレンがキスをしてきた。
「んん、今日は積極的だな?…なぁ、なんかまだ怒ってる?」
「なにが?」
目が怖い…カレンはやっぱり怒っているようだ…
「蓮水さんは確かに美人だけどなんて言うのかなー、ほら、付き合うとは違うってやつ?あるだろ?」
誰とも付き合ったことない俺が言うなよ!
ねーよそんなもん、あんなギャル日本中の男子が付き合いたいわ…
でもそれくらいしか言い訳が出てこない…
「ふーん、快斗、ギャル嫌い?」
う、その質問困るんだよ…
俺自分に嘘つけないタイプというか…
いや、でもここは…
「ああ、派手な人は好きじゃないな」
「快斗、嘘つき」
「え、なんで!?俺の心の中まで読めるの!?」
「生徒名鑑に書いてた、快斗ギャル好き」
「ああ、生徒名鑑か…ってそれなに!?」
ラブ高生徒名鑑
ラブ高全生徒と全教師、職員に至るまでのプロフィールが赤裸々に記された極秘資料である。
校長室に厳重に保管され、それを見ることが許されるのは校長の側近中の側近である教頭だけであると言われているが…ていうか教頭見たことないけど…
「そんなのどこで見たの!?」
「パパに見せてもらった。快斗がここにくる前に」
「なんでそんなものがあるんだ…ちなみに俺のことなんて書いてたか覚えてる?」
「童貞、ギャル好き、ツッコミうるさい、すぐに勃つ、童貞、それから…」
「もういいです!そんなことしか書いてないの!?それになんで童貞だけ二回出てくるんだよ!」
「大事なことは二回言う」
「童貞ってそんな大事かなぁ!?」
クソ…全部当たってるけど…
「あ、快斗の将来の夢も書いてた」
「夢?俺にそんなのあったかな?なんて書いてた?」
「ギャルの靴の裏のガムになりたい」
「普通にギャルに踏まれたいとかじゃダメなの!?」
もう人やめちゃってるじゃん…
「と、とにかく飯にしよう。何か作る?」
「ラーメン食べたい」
「え、それなら帰りに寄ればよかったのに」
「中に泥棒猫がいたの見えた」
「あ、蓮水さんいたのね…」
ほんとどこでそんな言葉覚えてくるんだよ…
「じゃあ出前でもとる?」
「あ、でもピザも食べたい」
「え、全然違うじゃん…まぁピザもいいかもな。たしか広告入ってたよな」
二人で近所に最近できた『ギャラクシーピザ』の広告を見て出前をとることにした。
カレンもご機嫌そうで何よりだ。
「お、これうまそう。このギャラクシーピザとイカスミピザにする?」
「ギャルスキーピザとハスミピザ、快斗好きそう」
「まだ怒ってたんですね…」
出前を待つ間、二人でテレビを見ていると突然誰かが玄関をノックした。
「はい?」
玄関を開けるとそこには昨日きたテニス部の二人組の後輩がいた…
「なんだよ、曜日間違えたら死ぬんじゃなかったのか?それにテニス部はカレンには関わらない約束だろ?」
「ククク、俺っちはもうテニス部辞めてきたんでね。今はあるお方に仕えてるのさ。」
こいつは使い魔か何かか…?
「そのお方からの伝言だ。『明日この寮に刺客を送り込む、見事耐えて見せろ』だと。お前ももう終わりだな。」
刺客!?
…って別に今更驚くことじゃないか…
それより刺客って送り込む時に先に言うもんなの?
「あのさぁ、一応聞くけど明日っていつかちゃんとわかってる?」
「な、バカにするのもいい加減にしろ!明日ってのは…え、いつだ?とにかく一時間後には刺客がくる!」
「だからそれは今日だよ!ねぇパシリするならちゃんと伝えて!?お願いだから…」
人選ミスも甚だしい…
でも、この後誰かくるのか?
「と、とにかく俺は伝えたからな!」
アホが帰っていった…
「快斗、ピザまだ?」
「うーん、もう少しかな?それよりカレン、この後…」
刺客の話をしようとするとまた誰かが玄関をノックした。
「はーい?い!?」
なぜかアンがきた…
「…なにしてんの?」
「出前」
アンがピザを渡してきた。
「え、お前ピザ屋でバイトしてんの?世界チャンピオンだよね!?それに校長から給料出てないの!?」
アンは悲しそうな顔を浮かべた。
「え、もしかしてピザが好きでとかそんな理由?」
「…生活苦」
「いや可哀想だわ!スポンサー誰かついてやれよ!」
ていうか校長ちゃんと給料やれよ!
アンは悲しそうに帰っていった…
「快斗、ピザきた?」
「ああ、きたけど…お前のとこの給料システムってどうなってるの?」
「うち?歩合制」
「え、結構シビアだな…でもアンは世界チャンピオンとかなったら相当歩合いいだろ?」
「世界チャンピオン…1000円くらい?」
「いや査定辛すぎじゃない!?え、なにを基準に決めてるの!?」
「気分」
「ブラックだなお前ん家…」
アンも高村さんも仕える主人間違えてないか?
「とにかく食べよう。このあとなんか刺客がくるらしいぞ。」
「誰かくる?ハスミ?」
「謝るから今日はもう許してくれ!」
二人でピザを食べているとまた誰かが玄関をノックした。
「今度はなんだよ…って嘘でしょ…」
蓮水さんがいた…
ほんとにくるなよ!
「へへ、会いにきちゃった。ごめん晩ご飯食べてた?」
ヤバッ、なんか可愛いぞこの人…
「え、ええ…それにカレンもいるんで…」
「知ってるわよ。でもさっきはゆっくり話もできなかっただろ?だから顔見にきただけだよ。すぐ帰るから」
ヤバッ、めっちゃ可愛いわ…
「快斗、なにしてるの?」
「い、いや、カレン来るな!」
カレンと蓮水さんが、三度《みたび》出会った…
「あ、クソギャル」
「何よガキンチョ」
今日こればっかだな…
「何しにきたの?」
「なんもないわよ。チェリーの顔見にきただけ。じゃあ帰るね。しつこい女は嫌われるって言うし…また明日ね」
ヤバッ、嘘みたいにいい女だな!
「快斗ニヤニヤしてる」
「え、違う違う!愛想笑いだって、そう愛想笑い!」
「相思相愛?」
「愛想笑い!どう聴き間違えたの!?もうなんかわかんないけどごめんなさい!」
なんか尻に敷かれてないか俺?
でも蓮水さんが刺客ってわけでもなかったようだな…
部屋に戻ろうとするとまた玄関を叩く音がした…
今日来客多すぎるだろ!
「はいはい…ん?」
「こんばんは、はじめましてかしら?」
「いや、あんたは確か…月姫《つきひめ》さん?」
月姫姫月《つきひめきづき》
ラブ高の同級生で、彼女は学年でもトップクラスの頭脳を持つ秀才である。
上から読んでも下から読んでも月姫姫月…この名前は一度見たら忘れない(いや、親はどういうつもりでつけたんだ?)
「私を知っているとはさすがね。チェリーのくせに」
そのチェリーのくせにって流行ってるのか?
「いや、月姫さんは有名だから…それで、何の用事?」
「私はあるお方の指示で、女生徒の代表として参りました。単刀直入に言います、私に勝負で負けたら今夜は我々の慰み者となりなさい。」
「え、あんたが女子代表?」
ふと外を見ると、そこにはムラムラがおさまらない女子が数十人群がっていた。
「姫月さん早くやっちゃいなさい!」
「もうチェリーでもなんでもいいから、早くしてよ今日誰も相手してくれないのよ!」
目がイッている…いやほんとあの学校って学食に性欲増強剤でも入れてんのか!?
そんであるお方って誰?俺を襲わせて誰得なの!?
「で、勝負って?」
「そうね、これでどうかしら?」
出してきたのは…UNOだった…
いや、久しぶりに見たなこれ!
「私こう見えてこのカードゲームには相当自信がありましてよ。」
「え、これって得意とかあるの?あと二人でやっても盛り上がるかなこれ!?」
なぜか居間でUNO勝負になった…
最近ボーリングとかUNOとか、大学生ノリみたいなのばっかだな…
「一発勝負と行こうかしら。もうみんな待ちきれない様子ですし。」
「そうですね…何回もやりたくないです…」
とりあえず手札を配って運命の?勝負が始まった…
「快斗、7が三枚ある」
「手札言っちゃダメ!」
カレンに手札を隠しながらゲームはスタートしたのだが、二人なので速攻で終わった…
俺が最後のカードを捨てた時に月姫さんの手札は10枚くらい余っていた…いや弱すぎ!
「な、何故なの!?それにこのカード、なんで私が引かないといけないの!?あなた何をしたの?」
「そういうゲームなんです!普通にカード出しただけだわ!ルール覚えてから来てくれます!?」
学年最上位の人でこれって…あとはもっとバカしかいないのか…
寮の平和は守られた?
なんかムラムラした女子達が、帰り際に男子寮に集団夜這いを仕掛けたとかなんとか…
っていうかそれならここも襲えよ!
なんだったんだUNOって!
「はぁ…さすがに今日はもう誰もこないか。カレン、風呂入って寝よう…」
「快斗、さっきの面白そう。やりたい。」
「え、もういいよ…」
「やりたい」
「いや、二人でやっても…」
「ハスミと約束でもあるの?」
「いやもうほんとごめんって!」
何故かこの日、カレンの機嫌をとりながら徹夜でUNOをした…
翌日は盛大に寝坊した…
二人とも起きたら昼だった…
「カレン、起きろ!もう昼だぞ!」
「うーん、眠い…寝る」
「寝るなー!」
こいつ徹夜とかは弱いのか?
だったらさっさと寝ろよ…
カレンを叩き起こして午後から二人で学校に行ったのだが、もちろん俺はボロカスに怒られた。
聞けば学校中の男子は昨日メラニーさんにメロメロにされて先生も含めほとんどが遅刻したという。
しかしメラニーさんの仕業なのでお咎めなしだそうだ…
カレンは校長の娘なのでもちろん無罪放免だった…
ほんと差別はよくないって!
今の時代問題でしかない…
午後の授業も爆睡して、あっという間に放課後になった。
そういえば放課後は陸上部の部室に呼ばれてたんだっけ…
ま、どのみち校長からも依頼されてたから行くしかないか…
カレンを教室に迎えに行くと、机に突っ伏してグーグー寝ていた…
そして教室は誰もいなかった…
いや一人くらい起こしてやれば!?
「おい、カレン起きろ!陸上部いくぞ!」
「うーん…首が痛い」
「こんなとこで寝るからだ!」
なんかまともなツッコミを久々にしたような気がする…
「早くしろよ、また槍が飛んできたら嫌だよ俺…」
「じゃあおんぶ」
「は?」
女子をおんぶ
これ結構エロいシチュエーションだと個人的には思う。
胸は当たるし脚は触るし、なんなら事故でお尻まで触れちゃう!?
カレンをおんぶすると胸の感触と耳元でのカレンの寝息が俺を襲った…
ヤバイなこれ…
下校中の生徒たちにニヤニヤしながら見られたが、最近色々ありすぎて鉄の心を備えた俺には…いや、結構恥ずかしかった…
陸上部にきた。
この部屋に海神《わだつみ》さんがいるんだな?
「失礼しま…」
ドアを開けた瞬間に槍が一本飛んできた。
「あっぶな!死ぬ死ぬ死ぬ!なんですか急に!?」
槍にはまた手紙が…
『遅い』
いやほんと喋れないやつ多くないか!?
目の前には海神《わだつみ》さんが座っていた。
「あのー、ご用件は…?」
「校長先生ってどんな人がタイプ?」
え、普通に喋れるじゃん…それに校長のタイプ!?メラニーさんって答えた方がいいのかな…
ていうかタイプって…
校長好きなのこの人!?
あんな人でもモテるんだ…まぁ童貞の俺にだけは言われたくないだろうけど…
「校長は面食いだけど、海神《わだつみ》さんならドンピシャタイプの方かな?」
「そう、わかったわ。それでは勝負しましょう。」
「え、何がわかったの!?脈絡のない開戦宣言やめてくれます!?」
なぜかトライデントと勝負することになった…
ルールは簡単
海神《わだつみ》さんが勝てば校長も俺も好きにする権利をあげる。
俺たちが勝てば校長は諦めてもらう。
…まてまて俺に得が一切ないけど!?
そして勝負する内容は…やり投げだった…
いやいやいや!やり投げはダメだろ!?
最近遊びみたいな勝負しかなかったから舐めてたわ…
「でも俺、やり投げは…」
「助っ人よんでもいいわよ」
助っ人?うーん、やり投げ得意そうな知り合いいたかな?
「快斗、困った時のアン呼ぶ」
「え、あいつやり投げもできるの!?」
「んー…知らない」
「いやさすがにあいつでもなんでもかんでもは…」
しかし他に方法がなく、アン・ジールを召喚した…
次回 謎の投擲勝負でまさかの結果が!?
そしてついにあの方の正体が明らかに…
更に夢のカレンとの遊園地!?
「快斗お疲れ、元気出してあげる」
寮に着くとすぐにカレンがキスをしてきた。
「んん、今日は積極的だな?…なぁ、なんかまだ怒ってる?」
「なにが?」
目が怖い…カレンはやっぱり怒っているようだ…
「蓮水さんは確かに美人だけどなんて言うのかなー、ほら、付き合うとは違うってやつ?あるだろ?」
誰とも付き合ったことない俺が言うなよ!
ねーよそんなもん、あんなギャル日本中の男子が付き合いたいわ…
でもそれくらいしか言い訳が出てこない…
「ふーん、快斗、ギャル嫌い?」
う、その質問困るんだよ…
俺自分に嘘つけないタイプというか…
いや、でもここは…
「ああ、派手な人は好きじゃないな」
「快斗、嘘つき」
「え、なんで!?俺の心の中まで読めるの!?」
「生徒名鑑に書いてた、快斗ギャル好き」
「ああ、生徒名鑑か…ってそれなに!?」
ラブ高生徒名鑑
ラブ高全生徒と全教師、職員に至るまでのプロフィールが赤裸々に記された極秘資料である。
校長室に厳重に保管され、それを見ることが許されるのは校長の側近中の側近である教頭だけであると言われているが…ていうか教頭見たことないけど…
「そんなのどこで見たの!?」
「パパに見せてもらった。快斗がここにくる前に」
「なんでそんなものがあるんだ…ちなみに俺のことなんて書いてたか覚えてる?」
「童貞、ギャル好き、ツッコミうるさい、すぐに勃つ、童貞、それから…」
「もういいです!そんなことしか書いてないの!?それになんで童貞だけ二回出てくるんだよ!」
「大事なことは二回言う」
「童貞ってそんな大事かなぁ!?」
クソ…全部当たってるけど…
「あ、快斗の将来の夢も書いてた」
「夢?俺にそんなのあったかな?なんて書いてた?」
「ギャルの靴の裏のガムになりたい」
「普通にギャルに踏まれたいとかじゃダメなの!?」
もう人やめちゃってるじゃん…
「と、とにかく飯にしよう。何か作る?」
「ラーメン食べたい」
「え、それなら帰りに寄ればよかったのに」
「中に泥棒猫がいたの見えた」
「あ、蓮水さんいたのね…」
ほんとどこでそんな言葉覚えてくるんだよ…
「じゃあ出前でもとる?」
「あ、でもピザも食べたい」
「え、全然違うじゃん…まぁピザもいいかもな。たしか広告入ってたよな」
二人で近所に最近できた『ギャラクシーピザ』の広告を見て出前をとることにした。
カレンもご機嫌そうで何よりだ。
「お、これうまそう。このギャラクシーピザとイカスミピザにする?」
「ギャルスキーピザとハスミピザ、快斗好きそう」
「まだ怒ってたんですね…」
出前を待つ間、二人でテレビを見ていると突然誰かが玄関をノックした。
「はい?」
玄関を開けるとそこには昨日きたテニス部の二人組の後輩がいた…
「なんだよ、曜日間違えたら死ぬんじゃなかったのか?それにテニス部はカレンには関わらない約束だろ?」
「ククク、俺っちはもうテニス部辞めてきたんでね。今はあるお方に仕えてるのさ。」
こいつは使い魔か何かか…?
「そのお方からの伝言だ。『明日この寮に刺客を送り込む、見事耐えて見せろ』だと。お前ももう終わりだな。」
刺客!?
…って別に今更驚くことじゃないか…
それより刺客って送り込む時に先に言うもんなの?
「あのさぁ、一応聞くけど明日っていつかちゃんとわかってる?」
「な、バカにするのもいい加減にしろ!明日ってのは…え、いつだ?とにかく一時間後には刺客がくる!」
「だからそれは今日だよ!ねぇパシリするならちゃんと伝えて!?お願いだから…」
人選ミスも甚だしい…
でも、この後誰かくるのか?
「と、とにかく俺は伝えたからな!」
アホが帰っていった…
「快斗、ピザまだ?」
「うーん、もう少しかな?それよりカレン、この後…」
刺客の話をしようとするとまた誰かが玄関をノックした。
「はーい?い!?」
なぜかアンがきた…
「…なにしてんの?」
「出前」
アンがピザを渡してきた。
「え、お前ピザ屋でバイトしてんの?世界チャンピオンだよね!?それに校長から給料出てないの!?」
アンは悲しそうな顔を浮かべた。
「え、もしかしてピザが好きでとかそんな理由?」
「…生活苦」
「いや可哀想だわ!スポンサー誰かついてやれよ!」
ていうか校長ちゃんと給料やれよ!
アンは悲しそうに帰っていった…
「快斗、ピザきた?」
「ああ、きたけど…お前のとこの給料システムってどうなってるの?」
「うち?歩合制」
「え、結構シビアだな…でもアンは世界チャンピオンとかなったら相当歩合いいだろ?」
「世界チャンピオン…1000円くらい?」
「いや査定辛すぎじゃない!?え、なにを基準に決めてるの!?」
「気分」
「ブラックだなお前ん家…」
アンも高村さんも仕える主人間違えてないか?
「とにかく食べよう。このあとなんか刺客がくるらしいぞ。」
「誰かくる?ハスミ?」
「謝るから今日はもう許してくれ!」
二人でピザを食べているとまた誰かが玄関をノックした。
「今度はなんだよ…って嘘でしょ…」
蓮水さんがいた…
ほんとにくるなよ!
「へへ、会いにきちゃった。ごめん晩ご飯食べてた?」
ヤバッ、なんか可愛いぞこの人…
「え、ええ…それにカレンもいるんで…」
「知ってるわよ。でもさっきはゆっくり話もできなかっただろ?だから顔見にきただけだよ。すぐ帰るから」
ヤバッ、めっちゃ可愛いわ…
「快斗、なにしてるの?」
「い、いや、カレン来るな!」
カレンと蓮水さんが、三度《みたび》出会った…
「あ、クソギャル」
「何よガキンチョ」
今日こればっかだな…
「何しにきたの?」
「なんもないわよ。チェリーの顔見にきただけ。じゃあ帰るね。しつこい女は嫌われるって言うし…また明日ね」
ヤバッ、嘘みたいにいい女だな!
「快斗ニヤニヤしてる」
「え、違う違う!愛想笑いだって、そう愛想笑い!」
「相思相愛?」
「愛想笑い!どう聴き間違えたの!?もうなんかわかんないけどごめんなさい!」
なんか尻に敷かれてないか俺?
でも蓮水さんが刺客ってわけでもなかったようだな…
部屋に戻ろうとするとまた玄関を叩く音がした…
今日来客多すぎるだろ!
「はいはい…ん?」
「こんばんは、はじめましてかしら?」
「いや、あんたは確か…月姫《つきひめ》さん?」
月姫姫月《つきひめきづき》
ラブ高の同級生で、彼女は学年でもトップクラスの頭脳を持つ秀才である。
上から読んでも下から読んでも月姫姫月…この名前は一度見たら忘れない(いや、親はどういうつもりでつけたんだ?)
「私を知っているとはさすがね。チェリーのくせに」
そのチェリーのくせにって流行ってるのか?
「いや、月姫さんは有名だから…それで、何の用事?」
「私はあるお方の指示で、女生徒の代表として参りました。単刀直入に言います、私に勝負で負けたら今夜は我々の慰み者となりなさい。」
「え、あんたが女子代表?」
ふと外を見ると、そこにはムラムラがおさまらない女子が数十人群がっていた。
「姫月さん早くやっちゃいなさい!」
「もうチェリーでもなんでもいいから、早くしてよ今日誰も相手してくれないのよ!」
目がイッている…いやほんとあの学校って学食に性欲増強剤でも入れてんのか!?
そんであるお方って誰?俺を襲わせて誰得なの!?
「で、勝負って?」
「そうね、これでどうかしら?」
出してきたのは…UNOだった…
いや、久しぶりに見たなこれ!
「私こう見えてこのカードゲームには相当自信がありましてよ。」
「え、これって得意とかあるの?あと二人でやっても盛り上がるかなこれ!?」
なぜか居間でUNO勝負になった…
最近ボーリングとかUNOとか、大学生ノリみたいなのばっかだな…
「一発勝負と行こうかしら。もうみんな待ちきれない様子ですし。」
「そうですね…何回もやりたくないです…」
とりあえず手札を配って運命の?勝負が始まった…
「快斗、7が三枚ある」
「手札言っちゃダメ!」
カレンに手札を隠しながらゲームはスタートしたのだが、二人なので速攻で終わった…
俺が最後のカードを捨てた時に月姫さんの手札は10枚くらい余っていた…いや弱すぎ!
「な、何故なの!?それにこのカード、なんで私が引かないといけないの!?あなた何をしたの?」
「そういうゲームなんです!普通にカード出しただけだわ!ルール覚えてから来てくれます!?」
学年最上位の人でこれって…あとはもっとバカしかいないのか…
寮の平和は守られた?
なんかムラムラした女子達が、帰り際に男子寮に集団夜這いを仕掛けたとかなんとか…
っていうかそれならここも襲えよ!
なんだったんだUNOって!
「はぁ…さすがに今日はもう誰もこないか。カレン、風呂入って寝よう…」
「快斗、さっきの面白そう。やりたい。」
「え、もういいよ…」
「やりたい」
「いや、二人でやっても…」
「ハスミと約束でもあるの?」
「いやもうほんとごめんって!」
何故かこの日、カレンの機嫌をとりながら徹夜でUNOをした…
翌日は盛大に寝坊した…
二人とも起きたら昼だった…
「カレン、起きろ!もう昼だぞ!」
「うーん、眠い…寝る」
「寝るなー!」
こいつ徹夜とかは弱いのか?
だったらさっさと寝ろよ…
カレンを叩き起こして午後から二人で学校に行ったのだが、もちろん俺はボロカスに怒られた。
聞けば学校中の男子は昨日メラニーさんにメロメロにされて先生も含めほとんどが遅刻したという。
しかしメラニーさんの仕業なのでお咎めなしだそうだ…
カレンは校長の娘なのでもちろん無罪放免だった…
ほんと差別はよくないって!
今の時代問題でしかない…
午後の授業も爆睡して、あっという間に放課後になった。
そういえば放課後は陸上部の部室に呼ばれてたんだっけ…
ま、どのみち校長からも依頼されてたから行くしかないか…
カレンを教室に迎えに行くと、机に突っ伏してグーグー寝ていた…
そして教室は誰もいなかった…
いや一人くらい起こしてやれば!?
「おい、カレン起きろ!陸上部いくぞ!」
「うーん…首が痛い」
「こんなとこで寝るからだ!」
なんかまともなツッコミを久々にしたような気がする…
「早くしろよ、また槍が飛んできたら嫌だよ俺…」
「じゃあおんぶ」
「は?」
女子をおんぶ
これ結構エロいシチュエーションだと個人的には思う。
胸は当たるし脚は触るし、なんなら事故でお尻まで触れちゃう!?
カレンをおんぶすると胸の感触と耳元でのカレンの寝息が俺を襲った…
ヤバイなこれ…
下校中の生徒たちにニヤニヤしながら見られたが、最近色々ありすぎて鉄の心を備えた俺には…いや、結構恥ずかしかった…
陸上部にきた。
この部屋に海神《わだつみ》さんがいるんだな?
「失礼しま…」
ドアを開けた瞬間に槍が一本飛んできた。
「あっぶな!死ぬ死ぬ死ぬ!なんですか急に!?」
槍にはまた手紙が…
『遅い』
いやほんと喋れないやつ多くないか!?
目の前には海神《わだつみ》さんが座っていた。
「あのー、ご用件は…?」
「校長先生ってどんな人がタイプ?」
え、普通に喋れるじゃん…それに校長のタイプ!?メラニーさんって答えた方がいいのかな…
ていうかタイプって…
校長好きなのこの人!?
あんな人でもモテるんだ…まぁ童貞の俺にだけは言われたくないだろうけど…
「校長は面食いだけど、海神《わだつみ》さんならドンピシャタイプの方かな?」
「そう、わかったわ。それでは勝負しましょう。」
「え、何がわかったの!?脈絡のない開戦宣言やめてくれます!?」
なぜかトライデントと勝負することになった…
ルールは簡単
海神《わだつみ》さんが勝てば校長も俺も好きにする権利をあげる。
俺たちが勝てば校長は諦めてもらう。
…まてまて俺に得が一切ないけど!?
そして勝負する内容は…やり投げだった…
いやいやいや!やり投げはダメだろ!?
最近遊びみたいな勝負しかなかったから舐めてたわ…
「でも俺、やり投げは…」
「助っ人よんでもいいわよ」
助っ人?うーん、やり投げ得意そうな知り合いいたかな?
「快斗、困った時のアン呼ぶ」
「え、あいつやり投げもできるの!?」
「んー…知らない」
「いやさすがにあいつでもなんでもかんでもは…」
しかし他に方法がなく、アン・ジールを召喚した…
次回 謎の投擲勝負でまさかの結果が!?
そしてついにあの方の正体が明らかに…
更に夢のカレンとの遊園地!?
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しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした
黒足袋
青春
インターネット上で†吸血鬼†を自称する最強ゲーマー・ヴァンピィ。
日向太陽はそんなヴァンピィとネット越しに交流する日々を楽しみながら、いつかリアルで会ってみたいと思っていた。
ある日彼はヴァンピィの正体が引きこもり不登校のクラスメイトの少女・月詠夜宵だと知ることになる。
人気コンシューマーゲームである魔法人形(マドール)の実力者として君臨し、ネットの世界で称賛されていた夜宵だが、リアルでは友達もおらず初対面の相手とまともに喋れない人見知りのコミュ障だった。
そんな夜宵はネット上で仲の良かった太陽にだけは心を開き、外の世界へ一緒に出かけようという彼の誘いを受け、不器用ながら交流を始めていく。
太陽も世間知らずで危なっかしい夜宵を守りながら二人の距離は徐々に近づいていく。
青春インターネットラブコメ! ここに開幕!
※表紙イラストは佐倉ツバメ様(@sakura_tsubame)に描いていただきました。
ガダンの寛ぎお食事処
蒼緋 玲
キャラ文芸
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とある屋敷の料理人ガダンは、
元魔術師団の魔術師で現在は
使用人として働いている。
日々の生活の中で欠かせない
三大欲求の一つ『食欲』
時には住人の心に寄り添った食事
時には酒と共に彩りある肴を提供
時には美味しさを求めて自ら買い付けへ
時には住人同士のメニュー論争まで
国有数の料理人として名を馳せても過言では
ないくらい(住人談)、元魔術師の料理人が
織り成す美味なる心の籠もったお届けもの。
その先にある安らぎと癒やしのひとときを
ご提供致します。
今日も今日とて
食堂と厨房の間にあるカウンターで
肘をつき住人の食事風景を楽しみながら眺める
ガダンとその住人のちょっとした日常のお話。
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【一日5秒を私にください】
からの、ガダンのご飯物語です。
単独で読めますが原作を読んでいただけると、
登場キャラの人となりもわかって
味に深みが出るかもしれません(宣伝)
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