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第22話 パパ、嫌われてる

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お祭り騒ぎの学校は体育祭を超える勢いだった。

皆売店で買い食いをして、相手を見つけてしけ込むの繰り返し…
更に予想師が賭場を開催してどちらが勝つか賭けさせていたのだが、これが一番盛り上がっていた。

「はーい押さないでー!順番にどっちに賭けるか名前と金額お願いしまーす!」

「俺薬師寺に賭ける!」
「あ、ズルイ私も私も!」

どうやら薬師寺さんが大人気のようだ。
…って賭場っていいの!?これ絶対ダメだろ!?

まぁ高校生の賭ける金額なんて知れてるか。
オッズ高そうだし俺は校長に賭けてみようかな。


「俺一口いくわ!」
「うーん、俺は二口いっとくか!」

みんな大盛り上がりだ。
やっぱみんな賭け事好きだなぁ…

「ねえ快斗、これなぁに?」
「カレンはこんなの覚えちゃダメ!」

そんな俺たちに怪しい奴が勧誘をしてきた。

「へいそこのカップルさん、一口どお?」

「あのー、一口っていくらですか?」
「あん?一口は100万からって相場が決まってるだろ?」

「決まってねーよ!ここ学校なんですけど!え、みんなそんなに賭けてるの!?どんだけ金持ってんだよ!!」

もう捕まってしまえ…
これならやっぱり薬師寺さんが勝った方がいいのかもしれない…

カレンの手を引いて校舎に避難しようとしたが、また変な奴らがいた。

「購買部だよー、薬師寺様と校長のストラップにタペストリー、クリアファイルからプロモーションビデオまで揃ってるよー。」

購買部が選挙に出る二人のグッズを販売していた。

「薬師寺さんのクリアファイル10枚くれ!」
「あ、セコい私も!」

薬師寺さんのグッズは飛ぶように売れていた。

「こっちの校長グッズもオススメですよー。皆さんこっちも…」

「うるせー!捨てろそんなもん!」

校長グッズが全く売れてない…
世間では神のように扱われてるのにこの学校では人徳が一切ないなあの人…

「パパ、嫌われてる」
「切なくなるからそれは言わないで!娘に言われるの相当ショックだよ!?」

どこを見て回っても薬師寺さんの人気がエグい。
校長に勝つ方法などあるのだろうか…

そんな時に東先生が俺のところに来た。

「あ、チェリー。校長先生が部屋に来てくれって。選挙の相談みたいよ?あなた本当に校長先生と仲いいわねー。」

「いや、あの人と仲良しにだけはせんでください…」

一応勝手に心の友にはされたけども…心の友に借金何億も背負わすか!?

「カレン、そこで待ってろよ。ちょっと行ってくるけど勝手に知らない人についていくなよ。」

「大丈夫、私は快斗のもの」

「ドキッとするから変な言い方やめて!」

カレンをひと気の少ないところに置いて俺は校長室に向かった。

「失礼します」

「おお、我が心の友快斗きゅん!ささ、座って座って」

なんか気味悪いな…それにやっぱり心の友ではあるんかい…

「なんですかこんな時に?」

さっさと選挙活動しろよ、このままだと負けちゃうだろ…

「うむ、単刀直入に聞く。私って人気ない?」

「今更気づいたの!?見た限りゼロだよゼロ!薬師寺さんに勝てるわけないじゃん!」

「そ、そんなはっきり言われると傷つくぞい。それになんだかんだで私も人気あったり…」

「ねえわ!むしろ嫌われてるよ!!」

ダメだ、勝てないぞこれ…

「校長、このままだと負けますよ?何か対策打たないと…」

「ふっふっふ、そんなことも想定して対策は打ってある。戦いとはいつも二手三手先を考えて行うものじゃ」

大佐の名言を使うなよ!
しかも最後負けるからその人!

「対策って…?」

「ほれ、見てみい」

指差した窓からグランドを覗くと、校長の選挙カーに人集りができていた。

「えー皆さま、現学校長であります落葉武帝様にご投票いただけました皆様には、このアン・ジールのサイン入りブロマイドをご提供いたします。皆様是非とも清き一票を落葉様に。」

高村さんが演説してアンが手を振っている。

「え、これは…?」

「アンに世界チャンピオンを獲らせたのもこういう事態を想定してじゃ。やつの人気でわしに票を入れさせる。」

「100%の他力本願じゃないすか!?それに世界チャンピオンってそんな感じでなれるの!?なにあんた相当な名コーチですか!?」

もうお前の人気関係ないじゃないか…
それにアンがどれだけ人気だからって…

「アンのだと!?俺校長先生に入れます、入れますからそれください!」

「私もアン様のものがもらえるのなら校長でもなんでもそっちに行きますわ!アン様ー!」

エグいほどの人気だった…
え、あんな幸薄そうなのでも世界チャンピオンなったらモテるの!?しかもキックボクシングってそんな人気あったっけ!?

アンは終始手を振っていた。
いや喋れや!

でも、あの数の票があれば戦えるかもしれない…

「でも薬師寺さんの人気は凄まじいですよ?アンを使っても怪しいですよ?」

「うーむ、あとはセバスチャンに生徒の家族を人質にとらすとか…」
「いやそれはまじで犯罪だからやめてね!それに高村さんがやったら脅しで済まない可能性あるよね!?」

まじで校長辞めろ!
と言いたいが今回ばかりは仕方ない…

「あ、校長。校長が勝った場合は俺も課題クリアってことでいいんですよね?」

「は?なんでじゃ?」

「いやそうだろ!真生徒会潰せるんだし写真も漏洩しないのになんで!?」

「いや、勝ったらそれは私のおかげじゃろうが?」

「死ね!死ねよもう!応援も協力もしねえからなこのクズ野郎!」

もう話にならん…まじで校長辞めろ…

「ほほほ、相変わらずテンションが高いのう。まぁ私が勝ったら考えてやらんこともない。じゃから今は私を勝たすことに専念せい。」

「え、ほんと?」

「もちろんじゃ。私も男じゃ、約束は守る。」

いや、約束破ってる奴が言うなよそれ!

「まぁそれしか方法はないし…で、何を協力したらいいんですか?」

「うむ、写真部の佐津江がの、協力してくれるようじゃ。それに秘策があるとのことじゃから写真部に行って合流せい」

命先輩は校長派だったな。
よし、早速行ってみるとするか。

校長室を出てカレンを探しに行くと、さっきいたところにカレンがいない。

あいつ…また勝手に…いや、もしかして連れて行かれた!?

「カレン!カレーン!」

クソ…油断した。最近あいつ言うこと聞くから大丈夫だって勝手に安心してた…

カレンに何かあったら俺は…
俺は…嫌だ!カレンの処女は俺が守り通すんだ!

しかし探してもカレンらしき女の子はいない。
一際目立つあいつだからいればすぐにわかるんだけど…

そうだ、写真部に行って先輩に協力してもらおう!

俺は写真部のスタジオに向かった。


「失礼します!先輩、カレンが、ががー!?」

そこには今にも服を脱ごうとしているカレンとカレンにレンズを向ける命先輩がいた…

「お、チェリー君か。ちょっと待ってくれ、今いいところなんだ。」

「いいところなんだ、じゃねえよ!なにさらしとんじゃい!あんたが一番の敵だわ!」

急いでカレンのところに走っていって服を着させた。

「カレン!何してんの!?脱ぐなよ!それに約束はどうしたんだよ?」

「佐津江は知ってる人だった。」
「あー…すみません僕の言い方が悪かったです…」 

知らない人にはって言ったの俺だからな…

「でもヌードはダメ!なんでこんなことしてんの?」

「秘密」

「あ、出た秘密!でもこれは許さないぞ!」

「秘密だもん」

なぜかカレンも意地になっていた。

「まぁまぁチェリー君、そんなに怒ってやるなよ」

「あんたに一番怒ってるんですけどね!」

命先輩もやはりクソだな…

「もういいですよ…それはそうとここにきたのは校長が先輩と合流しろってことだったんですよ。なんか校長が勝つための秘策を先輩が持ってるとか言ってましたけど?」

「ああ、そのことか。ほれ、見て驚くなよ?これを欲しければ票を入れろって言えば間違いなく票が集まる。」

「こ、これは!?」

そう言って俺に渡してきたものを見て、俺は校長の勝ちを確信した。

「で、でもこれは…」

「いいか?薬師寺のやつが勝ったらお前もカレンちゃんと一緒にいられないぞ?なりふり構うな!こいつを使え!」

「で、でも…」

俺が迷っているところに校内放送が入った。

「えー、三年A組の薬師寺だ。先程までの事前アンケートでは私の圧勝のようだし、もう私にアピールすることなどない。これ以上は時間の無駄だ。今すぐ全員グランドへ来い!」

薬師寺さんが一方的にアナウンスして放送は切れた。

そして学校中の人間がグランドへ向かっているのが足音でわかった。

「な、あの野郎仕掛けてきたな!校長がアピールする時間をとらさない作戦だ。」

「と、とにかく俺たちもグランドへ行きましょう!カレン、いくぞ!」

俺たちはグランドに向かった。

そしてすでに薬師寺さんと校長が用意された壇上に上がって、最終プレゼンの準備が進められていた。


次回 校長と薬師寺の闘い ついに決着!

俺の借金はどうなる!?

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