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第10話 倍プッシュだよ
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「なぁ純也、生徒会についてなんか知ってるか?」
「生徒会?ああ都市伝説だろあんなの。この学校の地下に秘密基地があるとか図書館の本棚に隠し通路のスイッチがあるとか、なんかそこで盗撮した裏ものの画像とかを密売してるとかってやつだろ?そんなのあるわけないじゃないか。」
校長室から戻ってきた後、早速純也に生徒会について聞いてみた。
そしてまさかの早速有力な情報をゲットできた。
というか都市伝説としてだがクラスのやつほとんどがその話を聞いたことがあるそうだ。
てかこれが本当なら秘密組織の情報ガバガバじゃないか…
俺はすぐに図書館に向かいたかったが、休み時間が終わってしまい、放課後に持ち越すこととなった。
放課後
「カレン、今日はちょっと図書館寄って帰るぞ。」
「図書館?なにか読みたい本でもあるの?」
この学校は図書室ではなく、敷地内に巨大な図書館が設置されてある。
想像に難くないだろうがこの図書館、ラノベの山である。
別名『ラノベ天国』と呼ばれ、休日は一般開放されており多くのオタクな人たちが聖地と崇め行列を作るのだ。
あまり用事がなく俺は入るのは今日が初めてだった。
「はぇー、ラノベってこんなにあるんだ…。あ、この絵可愛いなぁ。」
「可愛い女の子の本いっぱい。快斗こんな子が好きなの?」
歴代の名作や校長の代表作の表紙や挿絵が大きくプリントされてあちこちのコーナーに掲示されている。
ラノベって大体そうなのだが、ラブコメコーナーにもラブコメものの可愛く描かれているキャラたちが俺たちを出迎えてくれた。
「え、可愛いじゃん。カレンはこんなのは読まないのか?それこそ校長の書いたやつとか。」
「うん、家にいっぱいあるからちょっと読んだことはあるけど。パパの好きそうな女の子ばっか出てくるからつまんないの。」
校長の作品ってほとんどが学園ものだろ?
それを好きそうって…
あのクソ親父め、お前こそロリコンじゃねぇか!
「まぁでもラノベのヒロインは男の理想なとこあるからな。やっぱ読んでたらこんな子いないかなーって妄想しちゃうよね。ほらこの子とかさ、こんなの男の夢だよな。」
「男の理想…快斗の夢…」
そんな何気ない話をしながら図書館デートのように広い敷地内を歩き回ったが、スイッチらしきものはどこにもなかった。
「うーん、映画とかだとなんか一冊だけ色が違うとかそれを押したら本棚が動くとかだけど、そんな訳ないか…」
この学校ならなんでもありだと思いすぎて秘密基地なんてものを信じた方が間違いだったのか。
1時間ほど探したが見つからず、とりあえず翌日に持ち越すことにした。
「さぁ帰ろうか。ん?なにか借りたい本でもあるのか?」
カレンがラブコメコーナーから出てこないので呼びに行くとじっと何かを探していた。
「うん、快斗は先に出てて。」
珍しく先に行けと言われたので、先に図書館を出ることにした。
入り口で待っている間も多くの人が出入りしていた。
すごい人気だなぁ…明日は休日だからもっと人が増えるのか。
カレンを連れて行くかどうか迷っていると、カレンが出てきた。
「遅かったな。何借りたんだ?」
「…秘密」
なんか今朝から秘密多いな…
「まぁどうせセックスしないと喋らないとか言うんだろ?でもカレンがそんなに興味持つ本ってちょっと気になるな。」
「秘密だもん」
「はいはい」
俺たちは寮に戻ってすぐに夕飯の支度をすることにした。
とは言っても作るのはカレンで、俺はその間に洗濯や掃除をする。
「快斗、今日は頑張ったよ。」
呼ばれて向かうと食卓にはまるで何かのお祝いかと言わんばかりの豪華な食事が並んでいた。
「ステーキまであるじゃん?どうしたのこれ?」
「ファーストチューのお祝い。ママから食材送られてきてたから。」
え、この話お母さんにまで筒抜けなの?
「いやいや、お祝いって…むしろダメなんじゃないのか?」
「なんで?ママ喜んでたよ。あとは挿れるだけだって」
「食事の前にそんな話しないの!親子で何話してんの!?」
はぁ…ビッチを超えたビッチだなその人…
しかもやはり校長とは考えが真逆だ。
カレンをそそのかしてくる存在としては、俺とも敵対関係にあるのかもしれない…
「まぁせっかくだしいただきます。うん、美味い!いやぁほんと今日は格別だな。」
俺が嬉しそうに食べていると、カレンは突然席をたった。
「お、おい飯の途中に立つなよ。」
しかしそのまま部屋の方へ行ってしまった。
全くなんなんだよ…
ま、冷める前にいただこうか。あとで食べたかったとか言っても知らないからな。
しばらく経って、カレンが戻ってくる音がした。
「遅いぞ、もう勝手に食べちゃってるからな…っておおお!?」
薄手の布一枚を隠す気もなさそうに身体に纏っているほぼ全裸のカレンが飛び出してきた。
俺はもちろん急いで目を閉じた。
「ちょっ、ちょっとなんだそれ!服着ろ服を!」
「男の理想、快斗の夢。どお?」
理想?俺の夢?
あ、俺があの時に指差したタイトルは確か校長の代表作のひとつ『その布の向こうには何があるんですか?』だった。
布一枚でうろうろする奔放な女子とそれに振り回されるおっさんのハラハラドキドキの連続が売りのラブコメでだ。1000万部を超える売り上げでいつも本屋の上位にランキングされている名作だ。
「わかったわかった、俺も確かにあの作品好きなんだけど、でもそんな格好で迫ってこないで!」
「なんで?快斗の夢だよ?ほら、どお?」
夢や理想が具現化するとどうなるのか。
その答えは単純だ。
ただムラムラするだけだ。
「どうしたんだよ急に!?」
「図書館の女の子にデレデレしてた。」
女の子?え、もしかして挿絵のことか!?
「あれは絵なんだからさ、別にいいだろ。」
「ダメ、なんでか知らないけどモヤモヤするからダメ」
ほぼ裸のカレンが見せたのはもしかして嫉妬というやつか?
いや、こいつのことだからまともに考えるのは少し危険だが…
「わかったよ、もうデレデレしないから。だから服着てこい。」
「わかった、約束ね。」
そう言ってカレンが部屋に戻って事なきを得た。
カレンはすぐに服を着て戻ってきたが、その手にはさっき話したラノベ小説が持たれていた。
「快斗こんなのも好き?」
俺に見せてきた挿絵はチョコレートクリームで恥部をかくしたヒロインが「私を召し上がれ」としているシーンだった。
「いや、これは絶対にやっちゃダメだぞ…」
もし今日カレンがこっちを選んでいたら…俺の人生は今日で終わっていただろうな…
その本からヒラリと紙が落ちた。
挟まってある広告とかが落ちたのかなと思って拾い上げると何かのメモだった。
「これは…?」
そこにはご丁寧に生徒会室へ行く方法が書かれていた。
『非常階段前の辞書が我々の秘密へと続く鍵なり 生徒会一同』
いや、答えじゃんこれ…
我々ってことは自分らで秘密をバラしてる辺り、この生徒会も相当アホな臭いがプンプンする…
「なにそれ?」
「い、いやこれはな…とにかくでかした!明日朝から図書館に行くぞ!」
「また女の子見にいくの…?」
カレンが俺を疑うように睨むものだから、つい口から出まかせで余計なことを言ってしまった。
「バカ、二次元の女の子とはキスできないだろ?そんなもん好きになるかよ。」
「快斗、キスできる子が好き?」
「そ、そりゃそうだ。あ、でもだからといってだな…」
気づいた時にはすでに思いっきり押し倒されて濃厚なチューをされていた。
「んー、んー!わかったわかった!わかったから離れろー!」
校長からのメールには『ベロチューは倍プッシュだよ』と書かれていた…
そして翌日
図書館前に来た俺たちは衝撃の光景を目にする…
「生徒会?ああ都市伝説だろあんなの。この学校の地下に秘密基地があるとか図書館の本棚に隠し通路のスイッチがあるとか、なんかそこで盗撮した裏ものの画像とかを密売してるとかってやつだろ?そんなのあるわけないじゃないか。」
校長室から戻ってきた後、早速純也に生徒会について聞いてみた。
そしてまさかの早速有力な情報をゲットできた。
というか都市伝説としてだがクラスのやつほとんどがその話を聞いたことがあるそうだ。
てかこれが本当なら秘密組織の情報ガバガバじゃないか…
俺はすぐに図書館に向かいたかったが、休み時間が終わってしまい、放課後に持ち越すこととなった。
放課後
「カレン、今日はちょっと図書館寄って帰るぞ。」
「図書館?なにか読みたい本でもあるの?」
この学校は図書室ではなく、敷地内に巨大な図書館が設置されてある。
想像に難くないだろうがこの図書館、ラノベの山である。
別名『ラノベ天国』と呼ばれ、休日は一般開放されており多くのオタクな人たちが聖地と崇め行列を作るのだ。
あまり用事がなく俺は入るのは今日が初めてだった。
「はぇー、ラノベってこんなにあるんだ…。あ、この絵可愛いなぁ。」
「可愛い女の子の本いっぱい。快斗こんな子が好きなの?」
歴代の名作や校長の代表作の表紙や挿絵が大きくプリントされてあちこちのコーナーに掲示されている。
ラノベって大体そうなのだが、ラブコメコーナーにもラブコメものの可愛く描かれているキャラたちが俺たちを出迎えてくれた。
「え、可愛いじゃん。カレンはこんなのは読まないのか?それこそ校長の書いたやつとか。」
「うん、家にいっぱいあるからちょっと読んだことはあるけど。パパの好きそうな女の子ばっか出てくるからつまんないの。」
校長の作品ってほとんどが学園ものだろ?
それを好きそうって…
あのクソ親父め、お前こそロリコンじゃねぇか!
「まぁでもラノベのヒロインは男の理想なとこあるからな。やっぱ読んでたらこんな子いないかなーって妄想しちゃうよね。ほらこの子とかさ、こんなの男の夢だよな。」
「男の理想…快斗の夢…」
そんな何気ない話をしながら図書館デートのように広い敷地内を歩き回ったが、スイッチらしきものはどこにもなかった。
「うーん、映画とかだとなんか一冊だけ色が違うとかそれを押したら本棚が動くとかだけど、そんな訳ないか…」
この学校ならなんでもありだと思いすぎて秘密基地なんてものを信じた方が間違いだったのか。
1時間ほど探したが見つからず、とりあえず翌日に持ち越すことにした。
「さぁ帰ろうか。ん?なにか借りたい本でもあるのか?」
カレンがラブコメコーナーから出てこないので呼びに行くとじっと何かを探していた。
「うん、快斗は先に出てて。」
珍しく先に行けと言われたので、先に図書館を出ることにした。
入り口で待っている間も多くの人が出入りしていた。
すごい人気だなぁ…明日は休日だからもっと人が増えるのか。
カレンを連れて行くかどうか迷っていると、カレンが出てきた。
「遅かったな。何借りたんだ?」
「…秘密」
なんか今朝から秘密多いな…
「まぁどうせセックスしないと喋らないとか言うんだろ?でもカレンがそんなに興味持つ本ってちょっと気になるな。」
「秘密だもん」
「はいはい」
俺たちは寮に戻ってすぐに夕飯の支度をすることにした。
とは言っても作るのはカレンで、俺はその間に洗濯や掃除をする。
「快斗、今日は頑張ったよ。」
呼ばれて向かうと食卓にはまるで何かのお祝いかと言わんばかりの豪華な食事が並んでいた。
「ステーキまであるじゃん?どうしたのこれ?」
「ファーストチューのお祝い。ママから食材送られてきてたから。」
え、この話お母さんにまで筒抜けなの?
「いやいや、お祝いって…むしろダメなんじゃないのか?」
「なんで?ママ喜んでたよ。あとは挿れるだけだって」
「食事の前にそんな話しないの!親子で何話してんの!?」
はぁ…ビッチを超えたビッチだなその人…
しかもやはり校長とは考えが真逆だ。
カレンをそそのかしてくる存在としては、俺とも敵対関係にあるのかもしれない…
「まぁせっかくだしいただきます。うん、美味い!いやぁほんと今日は格別だな。」
俺が嬉しそうに食べていると、カレンは突然席をたった。
「お、おい飯の途中に立つなよ。」
しかしそのまま部屋の方へ行ってしまった。
全くなんなんだよ…
ま、冷める前にいただこうか。あとで食べたかったとか言っても知らないからな。
しばらく経って、カレンが戻ってくる音がした。
「遅いぞ、もう勝手に食べちゃってるからな…っておおお!?」
薄手の布一枚を隠す気もなさそうに身体に纏っているほぼ全裸のカレンが飛び出してきた。
俺はもちろん急いで目を閉じた。
「ちょっ、ちょっとなんだそれ!服着ろ服を!」
「男の理想、快斗の夢。どお?」
理想?俺の夢?
あ、俺があの時に指差したタイトルは確か校長の代表作のひとつ『その布の向こうには何があるんですか?』だった。
布一枚でうろうろする奔放な女子とそれに振り回されるおっさんのハラハラドキドキの連続が売りのラブコメでだ。1000万部を超える売り上げでいつも本屋の上位にランキングされている名作だ。
「わかったわかった、俺も確かにあの作品好きなんだけど、でもそんな格好で迫ってこないで!」
「なんで?快斗の夢だよ?ほら、どお?」
夢や理想が具現化するとどうなるのか。
その答えは単純だ。
ただムラムラするだけだ。
「どうしたんだよ急に!?」
「図書館の女の子にデレデレしてた。」
女の子?え、もしかして挿絵のことか!?
「あれは絵なんだからさ、別にいいだろ。」
「ダメ、なんでか知らないけどモヤモヤするからダメ」
ほぼ裸のカレンが見せたのはもしかして嫉妬というやつか?
いや、こいつのことだからまともに考えるのは少し危険だが…
「わかったよ、もうデレデレしないから。だから服着てこい。」
「わかった、約束ね。」
そう言ってカレンが部屋に戻って事なきを得た。
カレンはすぐに服を着て戻ってきたが、その手にはさっき話したラノベ小説が持たれていた。
「快斗こんなのも好き?」
俺に見せてきた挿絵はチョコレートクリームで恥部をかくしたヒロインが「私を召し上がれ」としているシーンだった。
「いや、これは絶対にやっちゃダメだぞ…」
もし今日カレンがこっちを選んでいたら…俺の人生は今日で終わっていただろうな…
その本からヒラリと紙が落ちた。
挟まってある広告とかが落ちたのかなと思って拾い上げると何かのメモだった。
「これは…?」
そこにはご丁寧に生徒会室へ行く方法が書かれていた。
『非常階段前の辞書が我々の秘密へと続く鍵なり 生徒会一同』
いや、答えじゃんこれ…
我々ってことは自分らで秘密をバラしてる辺り、この生徒会も相当アホな臭いがプンプンする…
「なにそれ?」
「い、いやこれはな…とにかくでかした!明日朝から図書館に行くぞ!」
「また女の子見にいくの…?」
カレンが俺を疑うように睨むものだから、つい口から出まかせで余計なことを言ってしまった。
「バカ、二次元の女の子とはキスできないだろ?そんなもん好きになるかよ。」
「快斗、キスできる子が好き?」
「そ、そりゃそうだ。あ、でもだからといってだな…」
気づいた時にはすでに思いっきり押し倒されて濃厚なチューをされていた。
「んー、んー!わかったわかった!わかったから離れろー!」
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