18 / 57
西の転生者
18.港街
しおりを挟む
王都を出てから、システィーアは馬車に揺られて延々、飛び跳ね続けた。
楽しめたのは最初だけ。日がどっぷり沈む頃には、疲れと身体の痛みですっかり参っていた。水不足のご時世なので、街の宿屋にお風呂なんて当然ない。頭をぐらぐら揺らしながら、フェスティナに身体を拭いて貰って即ベッドにダイブとなった。
翌日には元気に復活!
と、いきたいところだったが、システィーアは早々に乗り物酔いに襲われた。たった一日で揺れに辟易しているシスティーアと違って、引率者三人は流石護衛。全く平気な顔をしている。
結局、システィーアの体調を考慮し、予定を大幅に変更して休みを多分に取る事となった。
片道三日の所を五日程かけて、ようやっと辿り着いた。が。
「どういうこと?」
システィーアはその景色を見て、思わず声を上げた。
緩やかな山を越えて徐々に木々が減っていくと、緑に薄らと色づいた大地が見えてくる。その上にある街は陽に照らされて、建ち並ぶ石造りの建物が遠目からでもよく見えた。中でも一番背が高く白い鐘つきの時計塔は、時計の文字盤に宝石が使われているのか緑色にキラキラと輝いている。
けれど、その街の向こう側。街を境に、広大な乾燥地帯が広がっているのだ。海など何処にも見えない。
システィーアははしたなくも馬車から上半身を乗り出して、あたりを見回す。
「ティア、そんなに乗り出したら危ないぜ」
馬で並走していた赤髪のアレクが寄ってくる。
「な」
声を出そうとした所で、身体が大きく跳ねた。
浮遊感と同時に視界が反転。
次いで、腹部が締め付けられる。
けふっと自分の口から音が漏れた時には、視界はスライドしていく地面を映していた。
「あっぶねっ!」
アレクの声と同じタイミングで、車内から悲鳴が聞こえて来る。
馬の嘶きと共に身体の揺れが小さくなってきてからようやく、システィーアは自分がアレクの跨がる馬の上にいる事に気付いた。
「あ、ありがと⋯⋯」
背筋に冷たいものを感じながら、そろりと振り向いて見上げると、呆れた顔で大きく息を吐くアレクと目があった。
「ったく、言った側から⋯⋯」
「ティアさん!」
少し先で止まった馬車から声がして、フェスティナとザンダーがこちらを見て、同じように安堵の息を吐いた。
一度馬に止まってもらってから、アレクの前で馬に跨がる体勢へと変えてもらう。そうすると視界に街が広がり、システィーアは慌ててアレクの方へ首を向けた。
「何で海がないの? 次の街は目的地だと聞いた気がしたのだけど⋯⋯」
「いや、あれが目的地だぞ? 港街フリューシェル」
アレクが馬をゆっくり歩かせながら、不思議そうな顔をこちらに向けてくる。何故そのような顔をされるのか、理解が出来なくてますます訳が分からない。
「あの街の向こう側、草木が生えていない乾燥した大地のところ。あそこから先が海だ」
「へ?」
システィーアは何度も、アレクの顔と乾燥地帯を交互に見た。冗談などではないらしい。
「あの、でも、そうだとしたら、あれでは海産物なんて⋯⋯」
魚どころか海藻だって獲れるはずがない。海水がないのだから。
言いたいことは上手く伝わったようで、アレクが一つ頷いた。
「漁はさらに向こうにある水場で行われるんだ。水が不足しているせいで段々と漁場が遠くなっていてな。⋯⋯って、まさか、漁場まで行きたいとか言わないよな?」
「⋯⋯水揚げが見たかったんだけど」
システィーアが様子を伺うようにそう言うと、アレクは顔を顰めた。
「無理だろうな。それでなくとも干上がったせいで水場が遠い。干上がった海には魔物が多いから、漁師たちは以前よりも命懸けになっているだろう。だから、何も出来ない貴族様の子供が同行だなんて、何の嫌がらせかと思われるだろうよ」
「アレク達と四人だけで行けないところなの?」
アレクが暫く間を開けてから、ゆっくりと溜息を溢す。
「ティア⋯⋯まさかと思うが、海を徒歩や馬車で移動するつもりか? 無謀だぞ? 普通は船を使うんだ」
「船? 水も無いのに?」
「何を言ってるんだ。船が水の中だけを移動していたのは大昔の話だろ? むしろ、よく知ってたな。アービス卿は一体何を教えてるんだか」
アレクが面白そうにクククッと笑った。
実際には前世の記憶であって、アービス先生は全く関係ない。実に申し訳ない話だ。
「ティアさん! 窓は出入り口ではありませんよ。本当に肝が縮みました!」
「ご、ごめんなさい」
馬車の所まで辿り着くと、ここ数日ですっかり打ち解けたフェスティナが、眼光を鋭くして仁王立ちでお出迎えしてくれた。
システィーアは身を縮こませて、フェスティナのお叱りを受けることとなった。
お説教の後、再び馬車に乗り込んで街を目指す。街に到着するまで窓のカーテンが閉められることとなり、システィーアは目を閉じてじっと耐えることとなった。
「ここが港街⋯⋯」
宿屋の前に止まった馬車から降りたシスティーアは、ぐるりとあたりを見回した。
遠くから見た時と同じ石造りの建物が、石畳の道沿いに立ち並ぶ。道の脇からは街路樹が、長く枝を伸ばして木陰を作っている。
けれど街の規模の割には、出歩く人の姿が極端に少なく感じられた。
「あれ?」
システィーアは宿屋の出入り口に黒い布が垂らされているのを目にして、目を瞬かせた。確認の為に、ぐるりと周りの建物を見てみると、どの建物の入り口にも、サイズは様々だが黒い布切れが垂らされている。
「どなたが亡くなられたんだ?」
宿屋の馬丁に、乗って来た馬を渡しながらアレクが尋ねた。システィーアはそれを黙って隣で見る。
馬丁は沈んだ顔で口を開いた。
「領主の息子さんだよ。三日前、逃げ遅れた漁師達を助けに行って魔物にやられたそうな⋯⋯」
「この街の時計塔には守護があると聞いていたのだけど、何で危険を冒してまで守護の範囲の外まで助けに行ったのかしら?」
システィーアの隣にやってきたフェスティナが首を傾げる。
「範囲の外に行ったんじゃなくて、範囲が徐々に小さくなってきているせいさ」
「小さく? フリューシェルの時計塔の守護といえば、この街に壁の神官が訪れる度に頼んで強化して貰っていると聞いています。最近神官がこの街に来ていないのですか?」
「壁の神官が減ったというような話は聞かないかな。でも、時計塔の守護石が次々に砕けていってるって話は、街中皆知ってる。前はもっとたくさん緑の石が時計塔についていて、それは綺麗だったんだよ」
馬丁の話を聞いていたアレクとザンダーが視線を交わし合うと、アレクがシスティーアに手を差し出して来た。
「取り敢えず部屋取りに行くぞ。で、ティアは休憩しろ」
出された手がシスティーアの返答を待たずして右手を掴むと、宿の中へと歩を進めた。
楽しめたのは最初だけ。日がどっぷり沈む頃には、疲れと身体の痛みですっかり参っていた。水不足のご時世なので、街の宿屋にお風呂なんて当然ない。頭をぐらぐら揺らしながら、フェスティナに身体を拭いて貰って即ベッドにダイブとなった。
翌日には元気に復活!
と、いきたいところだったが、システィーアは早々に乗り物酔いに襲われた。たった一日で揺れに辟易しているシスティーアと違って、引率者三人は流石護衛。全く平気な顔をしている。
結局、システィーアの体調を考慮し、予定を大幅に変更して休みを多分に取る事となった。
片道三日の所を五日程かけて、ようやっと辿り着いた。が。
「どういうこと?」
システィーアはその景色を見て、思わず声を上げた。
緩やかな山を越えて徐々に木々が減っていくと、緑に薄らと色づいた大地が見えてくる。その上にある街は陽に照らされて、建ち並ぶ石造りの建物が遠目からでもよく見えた。中でも一番背が高く白い鐘つきの時計塔は、時計の文字盤に宝石が使われているのか緑色にキラキラと輝いている。
けれど、その街の向こう側。街を境に、広大な乾燥地帯が広がっているのだ。海など何処にも見えない。
システィーアははしたなくも馬車から上半身を乗り出して、あたりを見回す。
「ティア、そんなに乗り出したら危ないぜ」
馬で並走していた赤髪のアレクが寄ってくる。
「な」
声を出そうとした所で、身体が大きく跳ねた。
浮遊感と同時に視界が反転。
次いで、腹部が締め付けられる。
けふっと自分の口から音が漏れた時には、視界はスライドしていく地面を映していた。
「あっぶねっ!」
アレクの声と同じタイミングで、車内から悲鳴が聞こえて来る。
馬の嘶きと共に身体の揺れが小さくなってきてからようやく、システィーアは自分がアレクの跨がる馬の上にいる事に気付いた。
「あ、ありがと⋯⋯」
背筋に冷たいものを感じながら、そろりと振り向いて見上げると、呆れた顔で大きく息を吐くアレクと目があった。
「ったく、言った側から⋯⋯」
「ティアさん!」
少し先で止まった馬車から声がして、フェスティナとザンダーがこちらを見て、同じように安堵の息を吐いた。
一度馬に止まってもらってから、アレクの前で馬に跨がる体勢へと変えてもらう。そうすると視界に街が広がり、システィーアは慌ててアレクの方へ首を向けた。
「何で海がないの? 次の街は目的地だと聞いた気がしたのだけど⋯⋯」
「いや、あれが目的地だぞ? 港街フリューシェル」
アレクが馬をゆっくり歩かせながら、不思議そうな顔をこちらに向けてくる。何故そのような顔をされるのか、理解が出来なくてますます訳が分からない。
「あの街の向こう側、草木が生えていない乾燥した大地のところ。あそこから先が海だ」
「へ?」
システィーアは何度も、アレクの顔と乾燥地帯を交互に見た。冗談などではないらしい。
「あの、でも、そうだとしたら、あれでは海産物なんて⋯⋯」
魚どころか海藻だって獲れるはずがない。海水がないのだから。
言いたいことは上手く伝わったようで、アレクが一つ頷いた。
「漁はさらに向こうにある水場で行われるんだ。水が不足しているせいで段々と漁場が遠くなっていてな。⋯⋯って、まさか、漁場まで行きたいとか言わないよな?」
「⋯⋯水揚げが見たかったんだけど」
システィーアが様子を伺うようにそう言うと、アレクは顔を顰めた。
「無理だろうな。それでなくとも干上がったせいで水場が遠い。干上がった海には魔物が多いから、漁師たちは以前よりも命懸けになっているだろう。だから、何も出来ない貴族様の子供が同行だなんて、何の嫌がらせかと思われるだろうよ」
「アレク達と四人だけで行けないところなの?」
アレクが暫く間を開けてから、ゆっくりと溜息を溢す。
「ティア⋯⋯まさかと思うが、海を徒歩や馬車で移動するつもりか? 無謀だぞ? 普通は船を使うんだ」
「船? 水も無いのに?」
「何を言ってるんだ。船が水の中だけを移動していたのは大昔の話だろ? むしろ、よく知ってたな。アービス卿は一体何を教えてるんだか」
アレクが面白そうにクククッと笑った。
実際には前世の記憶であって、アービス先生は全く関係ない。実に申し訳ない話だ。
「ティアさん! 窓は出入り口ではありませんよ。本当に肝が縮みました!」
「ご、ごめんなさい」
馬車の所まで辿り着くと、ここ数日ですっかり打ち解けたフェスティナが、眼光を鋭くして仁王立ちでお出迎えしてくれた。
システィーアは身を縮こませて、フェスティナのお叱りを受けることとなった。
お説教の後、再び馬車に乗り込んで街を目指す。街に到着するまで窓のカーテンが閉められることとなり、システィーアは目を閉じてじっと耐えることとなった。
「ここが港街⋯⋯」
宿屋の前に止まった馬車から降りたシスティーアは、ぐるりとあたりを見回した。
遠くから見た時と同じ石造りの建物が、石畳の道沿いに立ち並ぶ。道の脇からは街路樹が、長く枝を伸ばして木陰を作っている。
けれど街の規模の割には、出歩く人の姿が極端に少なく感じられた。
「あれ?」
システィーアは宿屋の出入り口に黒い布が垂らされているのを目にして、目を瞬かせた。確認の為に、ぐるりと周りの建物を見てみると、どの建物の入り口にも、サイズは様々だが黒い布切れが垂らされている。
「どなたが亡くなられたんだ?」
宿屋の馬丁に、乗って来た馬を渡しながらアレクが尋ねた。システィーアはそれを黙って隣で見る。
馬丁は沈んだ顔で口を開いた。
「領主の息子さんだよ。三日前、逃げ遅れた漁師達を助けに行って魔物にやられたそうな⋯⋯」
「この街の時計塔には守護があると聞いていたのだけど、何で危険を冒してまで守護の範囲の外まで助けに行ったのかしら?」
システィーアの隣にやってきたフェスティナが首を傾げる。
「範囲の外に行ったんじゃなくて、範囲が徐々に小さくなってきているせいさ」
「小さく? フリューシェルの時計塔の守護といえば、この街に壁の神官が訪れる度に頼んで強化して貰っていると聞いています。最近神官がこの街に来ていないのですか?」
「壁の神官が減ったというような話は聞かないかな。でも、時計塔の守護石が次々に砕けていってるって話は、街中皆知ってる。前はもっとたくさん緑の石が時計塔についていて、それは綺麗だったんだよ」
馬丁の話を聞いていたアレクとザンダーが視線を交わし合うと、アレクがシスティーアに手を差し出して来た。
「取り敢えず部屋取りに行くぞ。で、ティアは休憩しろ」
出された手がシスティーアの返答を待たずして右手を掴むと、宿の中へと歩を進めた。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
そして乙女ゲームは始まらなかった
お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。
一体私は何をしたらいいのでしょうか?
使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後
有木珠乃
恋愛
アベリア・ハイドフェルド公爵令嬢は「使えない」悪役令嬢である。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのに、最低限の義務である、王子の婚約者にすらなれなったほどの。
だから簡単に、ヒロインは王子の婚約者の座を得る。
それを見た父、ハイドフェルド公爵は怒り心頭でアベリアを修道院へ行くように命じる。
王子の婚約者にもなれず、断罪やざまぁもされていないのに、修道院!?
けれど、そこには……。
※この作品は小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。
婚約破棄ですか。ゲームみたいに上手くはいきませんよ?
ゆるり
恋愛
公爵令嬢スカーレットは婚約者を紹介された時に前世を思い出した。そして、この世界が前世での乙女ゲームの世界に似ていることに気付く。シナリオなんて気にせず生きていくことを決めたが、学園にヒロイン気取りの少女が入学してきたことで、スカーレットの運命が変わっていく。全6話予定
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
【完結】死がふたりを分かつとも
杜野秋人
恋愛
「捕らえよ!この女は地下牢へでも入れておけ!」
私の命を受けて会場警護の任に就いていた騎士たちが動き出し、またたく間に驚く女を取り押さえる。そうして引っ立てられ連れ出される姿を見ながら、私は心の中だけでそっと安堵の息を吐く。
ああ、やった。
とうとうやり遂げた。
これでもう、彼女を脅かす悪役はいない。
私は晴れて、彼女を輝かしい未来へ進ませることができるんだ。
自分が前世で大ヒットしてTVアニメ化もされた、乙女ゲームの世界に転生していると気づいたのは6歳の時。以来、前世での最推しだった悪役令嬢を救うことが人生の指針になった。
彼女は、悪役令嬢は私の婚約者となる。そして学園の卒業パーティーで断罪され、どのルートを辿っても悲惨な最期を迎えてしまう。
それを回避する方法はただひとつ。本来なら初回クリア後でなければ解放されない“悪役令嬢ルート”に進んで、“逆ざまあ”でクリアするしかない。
やれるかどうか何とも言えない。
だがやらなければ彼女に待っているのは“死”だ。
だから彼女は、メイン攻略対象者の私が、必ず救う⸺!
◆男性(王子)主人公の乙女ゲーもの。主人公は転生者です。
詳しく設定を作ってないので、固有名詞はありません。
◆全10話で完結予定。毎日1話ずつ投稿します。
1話あたり2000字〜3000字程度でサラッと読めます。
◆公開初日から恋愛ランキング入りしました!ありがとうございます!
◆この物語は小説家になろうでも同時投稿します。
【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
全ては望んだ結末の為に
皐月乃 彩月
恋愛
ループする世界で、何度も何度も悲惨な目に遭う悪役令嬢。
愛しの婚約者や仲の良かった弟や友人達に裏切られ、彼女は絶望して壊れてしまった。
何故、自分がこんな目に遇わなければならないのか。
「貴方が私を殺し続けるなら、私も貴方を殺し続ける事にするわ」
壊れてしまったが故に、悪役令嬢はヒロインを殺し続ける事にした。
全ては望んだ結末を迎える為に──
※主人公が闇落ち?してます。
※カクヨムやなろうでも連載しています作:皐月乃 彩月
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる