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本編

これからの二人

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あれから二人で話し合い、私たちは付き合う事になった。

何でも抱え込む癖があるから全て吐けと万里くんに言われ、一番の懸念材料だった咲月さつきさんに言われた事を伝えた。

「あぁ、そんなの大丈夫。だって俺皇グループ継がないから」
「は?」
「ん?だってリリィは平凡な幸せがいいんでしょ?大企業の社長夫人なんて平凡から一番遠い場所じゃん」

いや、確かにそうなんだけど・・・
え、いいの?

「心配しなくてもちゃんと父さんには伝えたよ。お祖父様も最初は怒ってたけど、俺の意思が固いってわかったのか最終的には納得してくれた。咲月はその話知らないだろうからそんな事言ったんだろうな」
「え・・・じゃあ皇グループ継ぐのって・・・」
「そりゃ万純ますみしかいないでしょ。これから万純大変だよ、俺が後継者下りたから全て万純に降り掛かって来る。今回万純には色々迷惑かけられたからいい薬だな」

あっけらかんと何でもない事のように言うけど、結構な事を言っていると思うのは私だけだろうか?

「なんか・・・私のせいでごめんね・・・」
「ねぇそれってリリィの口癖?」
「え?」
「私のせいで~ってよく思ってるでしょ?周りはちっとも思ってないのにさ。あのね、俺はリリィのためにってよりリリィと一緒にいたいから重い荷物持つの止めたの。それはリリィのせいでも何でもなく、俺自身が決めた事。責任感じるなとは言わないけど、それで俺の気持ちを蔑ろにするのは違くない?」
「う・・・確かに・・・」
「それに“ごめん”じゃなくて“ありがとう”の方が嬉しいよ、俺は」

でしょ?と首を傾げられ私は素直に頷いた。

「これからは溜め込まないで俺にだけでも話してよ。ね?」

でなきゃまた閉じ込めるよ?

黒い笑顔でそう言われて私は慌てて了承した。
もうあんな恐ろしい体験はごめんだ。

何度も頷く私に満足したのか、万里くんは一つ頷くと今度は未央ちゃんの話をし出した。

どうやら万里くんも示談に応じたらしい。
その条件が二度と私たちに近寄らない事と、すぐに結婚する事だった。

「結婚!?」
「そう、親だと監視するのに限界あるでしょ?だから結婚してもらう事にしたわけ」

それってまた、前世みたく酷い状態になっちゃうんじゃ・・・
心配になった私は顔を曇らせると万里くんは優しく頭を撫でた。

「大丈夫。相手はしっかり調べて決めたから。すぐには無理だろうけど・・・きっと藤井さんはそれなりに幸せな結婚生活を送れると思うよ?どう頑張っても俺が藤井さんを好きになる事はないし・・・何よりそのままにしておくのはまた何かありそうで俺が無理。これでもかなり譲歩したんだよ?」

万里くんの言っている事はわかる。でも結婚までさせるのは・・・

「ま、すぐには受け入れられないだろうけど。それより俺たちの事だけど・・・」

付き合うと決めた事以外に今必要な事なんてあるのだろうかと首を捻ると、万里くんは私の手を取り、立ち上がらせた。

「?」

そして自分は跪き、私の右手を取り言った。

「神崎 百合亜さん、大学を出たら俺と結婚してくれませんか?」
「え」

何度も結婚したいとは言われていたけど、まさか付き合ったその日にプロポーズされるとは夢にも思わず、私は目を白黒させた。

見つめる万里くんの瞳はとても真剣で、私の手を持つ彼の手は少し震えている。

あぁ彼も緊張しているんだと思ったらほんのり心が温かくなった。
私も万里くんの傍にいたい。このどこか危なげな彼を支えていきたいと心から思う。

「はい・・・よろしくお願いします」

小さく呟いた私の返事にパッと顔を輝かせた万里くんは、ポケットから四角い小さな箱を取り出した。

もしかして、それってーーー

「いつでもプロポーズできるように買っといたんだ。これはエンゲージリングだから、マリッジリングは二人で選ぼうな」

そう言って私の右手の薬指に指輪を嵌めてくれた。
ピンクゴールドのリングの中心には大きなインペリアルトパーズが鎮座し、その周りを小さなダイヤモンドで囲ってある花のようなデザインの指輪だった。

「綺麗・・・」

前世でもヴァーデン様からは宝石やドレスを頂いたけど、そのどれよりも綺麗で嬉しく感じた。

「インペリアルトパーズはリリィの誕生石だし、石言葉も友愛や希望とかなんだ。これから・・・二人で幸せになるために頑張ろう」

万里くんは指輪にチュッとキスを落とし微笑んだ。

「うん・・・!私も万里くんを幸せにするからね!」


前世の記憶を思い出して辛くないと言ったら嘘になる。けど、今世いまの私が選んだのは万里くんだ。
前世の分まで私たちは絶対にーー幸せになってみせる。




  (終)






【後書き】
なんとか五万文字以内に収められました・・・!片思いから始まると文字数ってめちゃくちゃのびますね・・・。また一つ勉強になりました。
輝をもっと活躍させるつもだったんですが・・・長くなりそうで却下しました( ;꒳​;  )

この話は最初から姉か妹に殺された子が転生した話にしようと決めていました。なので後付けした前世の異世界編は酷い事になってしまい・・・リリィとクロエ(ある意味ヴァンにも)申し訳ない事をしたと思ってます。
だけど終わり良ければ全て良しと言うことで!笑

この後のおまけは後日談や他者視点になります┏○))
読了、ありがとうございました♡
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