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第2章
第18話 レシド先生の家名と真実を語る本
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ぼくは屋敷の門外まで先生を送りに出た。いつもはサラの役目だけど、今日のサラは使い物にならなそうだし、先生に渡したいものもあるのでぼくが代わった。
屋敷の図書館で見つけたあの本を渡すのだ。
『失われた十年の歴史、その真実についての考察ー著者:クリス・ディ・ソイユー』
ぼくが記憶を取り戻すきっかけになってくれた本だ。
てっきり、父上が仕込んだものだと思ったのに、まったく知らないという。
ぼくが記憶を取り戻したのはあくまで"呪文"のおかげで、本はたしかにトリガーにはなったかもしれないけれど、なくても良いものだった。
ぼくにかけられた魔術には時間制限があって、呪文を思い出せなくてもあと数日もすれば自然に解けていたそうだ。
つまりぼくは、呪文を思い出せなかったために、制限時間がくる直前まで孤児の記憶に苛まれていたわけで……
それはもういいとして、問題はこの本だ。
魔族の真実を綴る本が、魔族に魔法を奪われたことによって崩壊した魔導王朝の元王家にある。
そのことが、どうにも引っかかった。
サンロード家は、王位の失墜を招く原因となった魔族に、少なからず恨みを持っているはずだ。そのサンロード家が、自家を非難し、魔族を擁護する内容の本を手元に置いておくだろうか。誰かの目に触れる前に真っ先に燃やしてしまいそうだけど。
それに、著者のクリスも謎である。
本の書きぶりから、彼は400年前の初代勇者と魔族の戦争の時代に生きていた人間だとわかる。
自身も魔法を奪われた当時の人間のくせに、このような本を残すクリス・ディ・ソイユとはいったい何者なのか。
サンロードと、どのような繋がりがあるのか……
「ソイユ……私の家名だ。しかし、こんな本は家でも見たことがない」
先生はひとしきり本を調べてから、そう呟いた。
「ということは、先生のご先祖様が書いた本なんですね?」
ぼくは少し驚いて聞いた。
先生は、子爵家の5男などほぼ平民だから名乗る必要もないと言って、家名を名乗っていなかったから、先生の家名がソイユであることは初耳だったのだ。
「うん、そうなんだろうね。クリスという人は聞いたことがないけれど。……なぜこの本を私に? 私の家名を知っていたのかい?」
「いえ、先生がソイユ子爵家の方とは知りませんてました。ただ、ソイユが子爵家であることは貴族図鑑を見て知っていたので、同じ子爵家の先生なら、何か知っているかなと思ってはいましたけど。……この本、前に先生が言っていた"魔族の真実の可能性"と似たような内容だったので、研究に役立つかなと思って」
「それはたしかに。大いに役立つよ。しかし……この本はとても興味深いね。まるで400年前の戦争の当事者が書いたようだ。このクリスという人が、本当に当時の状況を目で見て感じて書いているのだとしたら、この本は書かれてから少なくとも400年は経過していることになる。それにしては、本の状態はすこぶる良いが。これをどこで?」
「……サンロード公爵家の図書館で見つけました」
「……これは預かってもいいものなのかい?」
「アルティア様に持ち出しの許可はいただきました」
先生に見せたい本があるからと、アルティアには伝えてある。
具体的にどの本が、とは言っていないけれど。難しい話は嫌いだと、詳しいことを聞きたがらない彼女の性格が幸いした。
いま、アルティアにこの本を見せるつもりはない。
彼女はまだ10歳だ。全てを伝え、こちらの事情に巻き込む年齢としては幼すぎる。そもそも『聖女』となるかもわからないのに。
「できれば調べてほしいのです。この著者が何者なのか、どうしてこの本を書いたのか、そもそも、内容が本当のことなのかどうか……」
本の内容がだいたい合ってるのは、魔界にある歴史書と生き証人たちの証言から分かってるんだけどね。
魔族の真実の可能性に気づき、独自で研究を続けている先生には共感が持てる。
ぜひ、そのまま研究を続けて、すべての真実にたどり着いてほしい。
そして願わくば、先生が突破口となり、人間たちに真実が明かされる日がくるといい。
魔族が何を言っても素直に受け入れてこなかった人間も、彼ら自身で研究してたどり着いた結論ならば、魔族の真実にも納得しやすいのではないだろうか。
この本が、その一助となればいい。
先生は子爵家5男といっても貴族だし、その言葉には平民よりも力が宿る。研究所でも、けっこう上の地位についているようだし、学界での発言力も強いはず。
その先生ならば、決して不可能なことじゃない。
「まかせなさい。私は研究者だからね。望むところだ」
先生は楽しそうに笑う。謎の解明に対して目がない。根っからの研究者なのだな、と思った。
「それからこれも。本の表紙から出てきました」
「『この本を、決して燃やさせるな。ーいつの世か、歴史の真実がただしく暴かれることを願う者よりー』か。何だか胸が熱くなるな。歴史家の魂を感じるよ。これはクリスのメモかな?」
「どうでしょう。クリスさんが書いたのなら、クリスってサインしそうなものですけどね。それに、クリスさんなら、本に直接書いてもよかった。わざわざ別の紙に書いて表紙に挟めたところに、このメモ書きの主の、クリスさんへの配慮が見て取れるというか」
「たしかにそうだね。素晴らしい考察だ。ジェシーくん、君って研究者に向いているのではないかい? 私の研究所に入るかね?」
「いえ、やめておきます。お嬢様の面倒を見なきゃならないですし」
「それもそうか。残念だ」
さして残念でもなさそうに言い、本を愛しそうに撫でる先生。
分かりにくいけど、冗談を言うくらいには気分が高揚しているんだろうな。
先生はニコニコ顔で帰っていった。
明日からしばらくは研究で忙しくて授業に来れない、などということがないように祈ろう。
アルティアとサラに怒られてしまう。
一日の職務を終え、使用人寮の自分の部屋に戻る。
黒い炎をまとってノアが現れた。
今日はノアに頼み事をしていたので別行動をしていたのだった。
「我が君、頼まれていた本をお持ち致しました」
そう言って、たくさんの本を差し出してくる。
そのうち一冊を手にとってパラパラとめくる。
ノアには、魔界にある光魔法や人間との戦争関係の本を複数持ってきてもらうように頼んでいたのだ。
これまで100年ごとに起こってきた戦争に対応するため、ぼくは時期魔王としてそれなりの教育を受けてきた。
しかし、魔界の政務に明け暮れ、光魔法や人間についての勉強はおざなりにしていたと反省している。
今からでも、ちゃんと学び直さないと。
「さっそく読んでみるよ。ありがとう」
「お礼など不要です、我が君。私は貴方様の下僕。ただ命令すればよいのです。私は付き従うのみ」
恭しく一礼する仕草が、いつにも増して胡散臭い。
……なんか怪しいな。
ぼくはすっと目を細める。
「ノア。お前、何かぼくに隠してるね?」
そう言うと、少しだけノアの目が泳いだ。
「ま、まさか!滅相もない!」
「ふーん。まぁ、いいけど。何を隠してるか知らないけど、ちゃんと最後まで隠し通しなよ? もしぼくを怒らせるような内容だったら……わかってるよね?」
「……!それはもう、十分にわかっております。(ああ、我が君の笑顔のなんと壮絶なことか……!これぞ時期魔王たるに相応しい……!)」
ぼくは側で悶えるノアを放って、早速本を読み始めるのだった。
監視対象者から正確な情報を得るために、周辺の予備知識は多いに超したことはない。そのぶん、様々な角度から考察できるからだ。
こうして夜は更けていく。
屋敷の図書館で見つけたあの本を渡すのだ。
『失われた十年の歴史、その真実についての考察ー著者:クリス・ディ・ソイユー』
ぼくが記憶を取り戻すきっかけになってくれた本だ。
てっきり、父上が仕込んだものだと思ったのに、まったく知らないという。
ぼくが記憶を取り戻したのはあくまで"呪文"のおかげで、本はたしかにトリガーにはなったかもしれないけれど、なくても良いものだった。
ぼくにかけられた魔術には時間制限があって、呪文を思い出せなくてもあと数日もすれば自然に解けていたそうだ。
つまりぼくは、呪文を思い出せなかったために、制限時間がくる直前まで孤児の記憶に苛まれていたわけで……
それはもういいとして、問題はこの本だ。
魔族の真実を綴る本が、魔族に魔法を奪われたことによって崩壊した魔導王朝の元王家にある。
そのことが、どうにも引っかかった。
サンロード家は、王位の失墜を招く原因となった魔族に、少なからず恨みを持っているはずだ。そのサンロード家が、自家を非難し、魔族を擁護する内容の本を手元に置いておくだろうか。誰かの目に触れる前に真っ先に燃やしてしまいそうだけど。
それに、著者のクリスも謎である。
本の書きぶりから、彼は400年前の初代勇者と魔族の戦争の時代に生きていた人間だとわかる。
自身も魔法を奪われた当時の人間のくせに、このような本を残すクリス・ディ・ソイユとはいったい何者なのか。
サンロードと、どのような繋がりがあるのか……
「ソイユ……私の家名だ。しかし、こんな本は家でも見たことがない」
先生はひとしきり本を調べてから、そう呟いた。
「ということは、先生のご先祖様が書いた本なんですね?」
ぼくは少し驚いて聞いた。
先生は、子爵家の5男などほぼ平民だから名乗る必要もないと言って、家名を名乗っていなかったから、先生の家名がソイユであることは初耳だったのだ。
「うん、そうなんだろうね。クリスという人は聞いたことがないけれど。……なぜこの本を私に? 私の家名を知っていたのかい?」
「いえ、先生がソイユ子爵家の方とは知りませんてました。ただ、ソイユが子爵家であることは貴族図鑑を見て知っていたので、同じ子爵家の先生なら、何か知っているかなと思ってはいましたけど。……この本、前に先生が言っていた"魔族の真実の可能性"と似たような内容だったので、研究に役立つかなと思って」
「それはたしかに。大いに役立つよ。しかし……この本はとても興味深いね。まるで400年前の戦争の当事者が書いたようだ。このクリスという人が、本当に当時の状況を目で見て感じて書いているのだとしたら、この本は書かれてから少なくとも400年は経過していることになる。それにしては、本の状態はすこぶる良いが。これをどこで?」
「……サンロード公爵家の図書館で見つけました」
「……これは預かってもいいものなのかい?」
「アルティア様に持ち出しの許可はいただきました」
先生に見せたい本があるからと、アルティアには伝えてある。
具体的にどの本が、とは言っていないけれど。難しい話は嫌いだと、詳しいことを聞きたがらない彼女の性格が幸いした。
いま、アルティアにこの本を見せるつもりはない。
彼女はまだ10歳だ。全てを伝え、こちらの事情に巻き込む年齢としては幼すぎる。そもそも『聖女』となるかもわからないのに。
「できれば調べてほしいのです。この著者が何者なのか、どうしてこの本を書いたのか、そもそも、内容が本当のことなのかどうか……」
本の内容がだいたい合ってるのは、魔界にある歴史書と生き証人たちの証言から分かってるんだけどね。
魔族の真実の可能性に気づき、独自で研究を続けている先生には共感が持てる。
ぜひ、そのまま研究を続けて、すべての真実にたどり着いてほしい。
そして願わくば、先生が突破口となり、人間たちに真実が明かされる日がくるといい。
魔族が何を言っても素直に受け入れてこなかった人間も、彼ら自身で研究してたどり着いた結論ならば、魔族の真実にも納得しやすいのではないだろうか。
この本が、その一助となればいい。
先生は子爵家5男といっても貴族だし、その言葉には平民よりも力が宿る。研究所でも、けっこう上の地位についているようだし、学界での発言力も強いはず。
その先生ならば、決して不可能なことじゃない。
「まかせなさい。私は研究者だからね。望むところだ」
先生は楽しそうに笑う。謎の解明に対して目がない。根っからの研究者なのだな、と思った。
「それからこれも。本の表紙から出てきました」
「『この本を、決して燃やさせるな。ーいつの世か、歴史の真実がただしく暴かれることを願う者よりー』か。何だか胸が熱くなるな。歴史家の魂を感じるよ。これはクリスのメモかな?」
「どうでしょう。クリスさんが書いたのなら、クリスってサインしそうなものですけどね。それに、クリスさんなら、本に直接書いてもよかった。わざわざ別の紙に書いて表紙に挟めたところに、このメモ書きの主の、クリスさんへの配慮が見て取れるというか」
「たしかにそうだね。素晴らしい考察だ。ジェシーくん、君って研究者に向いているのではないかい? 私の研究所に入るかね?」
「いえ、やめておきます。お嬢様の面倒を見なきゃならないですし」
「それもそうか。残念だ」
さして残念でもなさそうに言い、本を愛しそうに撫でる先生。
分かりにくいけど、冗談を言うくらいには気分が高揚しているんだろうな。
先生はニコニコ顔で帰っていった。
明日からしばらくは研究で忙しくて授業に来れない、などということがないように祈ろう。
アルティアとサラに怒られてしまう。
一日の職務を終え、使用人寮の自分の部屋に戻る。
黒い炎をまとってノアが現れた。
今日はノアに頼み事をしていたので別行動をしていたのだった。
「我が君、頼まれていた本をお持ち致しました」
そう言って、たくさんの本を差し出してくる。
そのうち一冊を手にとってパラパラとめくる。
ノアには、魔界にある光魔法や人間との戦争関係の本を複数持ってきてもらうように頼んでいたのだ。
これまで100年ごとに起こってきた戦争に対応するため、ぼくは時期魔王としてそれなりの教育を受けてきた。
しかし、魔界の政務に明け暮れ、光魔法や人間についての勉強はおざなりにしていたと反省している。
今からでも、ちゃんと学び直さないと。
「さっそく読んでみるよ。ありがとう」
「お礼など不要です、我が君。私は貴方様の下僕。ただ命令すればよいのです。私は付き従うのみ」
恭しく一礼する仕草が、いつにも増して胡散臭い。
……なんか怪しいな。
ぼくはすっと目を細める。
「ノア。お前、何かぼくに隠してるね?」
そう言うと、少しだけノアの目が泳いだ。
「ま、まさか!滅相もない!」
「ふーん。まぁ、いいけど。何を隠してるか知らないけど、ちゃんと最後まで隠し通しなよ? もしぼくを怒らせるような内容だったら……わかってるよね?」
「……!それはもう、十分にわかっております。(ああ、我が君の笑顔のなんと壮絶なことか……!これぞ時期魔王たるに相応しい……!)」
ぼくは側で悶えるノアを放って、早速本を読み始めるのだった。
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