56 / 233
第2章
つまり実力行使です
しおりを挟む
「なぁリーフィア。ちょっと良いか?」
「…………ダメです」
不意に声をかけてきた人物は、ディアスさんでした。
話しかけられるとは思っていなかった私は、返答に少し遅れてしまいました。彼と私の接点はあまり無かったので、あちらから話しかけて来るのは珍しいことです。
それでも拒否はしますけど。
「そんなに警戒しないでくれって」
ディアスさんは困ったように笑いました。
「いえ、警戒なんてしていません」
仲間に対して警戒するつもりはありません。
勿論、怪しい動きをすればそうするでしょう。
でも、ディアスさんの働きぶりは誰もが認めていますし、彼自身もミリアさんを裏切るようなことはしないと本心から思っているようです。ならば警戒は不要です。
「一応聞きますが、何の用です?」
「ああ、兵士についての頼みなんだが──」
「お断りします」
「……おいおい、二回も拒絶するか? 普通」
「ええ、勿論。面倒なことはしないと決めているので」
兵士についてなんて、嫌な予感しかしません。
絶対面倒なことです。絶対何らかの形で働かされます。そんなのにホイホイ引っ掛かりに行くほど、私は馬鹿ではないんですよ。
「まぁ、話を聞いてくれや」
ディアスさんはそれでも話そうとします。
……わかってはいましたが、強引な人ですね。
「お前さん、魔王軍の兵士については知っているよな?」
「……ええ、私だって一応魔王軍の幹部やっているので、把握はしています」
確か、今は千人の兵士が居るのでしたっけ?
兵士にはいくつか部隊があって、各部隊ごとに隊長と副隊長が付けられている。そして、その全てを纏めているのがディアスさんです。
「実はな、兵士達から不満の声が上がっているんだ」
「はぁ……大変ですね」
そう相槌を打ちながら、私の本能が囁き始めます。
──面倒なことになる前にこの場から逃げろ、と。
酷く嫌な予感がします。それが何なのかはわかりませんが、とにかく嫌な予感を察知するレーダーがビンビンです。
ですが、それは出来ません。
眠っていたとはいえ、ここは執務室。中にはミリアさんとヴィエラさん、ディアスさん、アカネさんの四人が居ました。珍しいことに幹部全員が集まっている状況ですね。
しかも、四人の視線は私に注がれており、監視されているような気分になりました。
……これ、ディアスさんが事前に、私を逃さないようにと、お三方に言ってありますね? 用意周到なことこの上ないですが、それが今私を良い具合に苦しめていました。
「その不満の声は、お前にだ。リーフィア」
「私、ですか?」
それはまたどうして?
視線でそう問いかけます。
「うちの魔王ってのは、案外人気者なんだ」
「……はぁ?」
……何でしょう。視界に写っていませんけれど、ミリアさんがドヤ顔をしているように感じます。
「お前にわかりやすく言えば、アイドルだな」
「ああ、なるほど? 見た目だけは可愛らしいから、男ばかりの兵士達には人気だと」
「まぁ、そういうことになる」
端の方で「見た目だけとは何だおい!」という声と、それをなだめる声が聞こえるような気がしますが、とりあえず無視です。
「それで、ミリアさんの人気と、私への不満。何が関係しているのですか?」
ただの嫉妬だったら、私は何も聞くつもりはありません。
「お前はミリアの護衛をしているだろう?」
「ええ、そうですね。……一応」
「しかし、それに問題があるんだ。お前の堕落癖は城の中でも有名でな。そんな奴に魔王様を任せるわけにはいかない! まだ自分たちの方が向いている! と言って聞かないんだ」
「…………あ~~~~、なるほど?」
そう来ましたか。
確かに仕事をするかしないかで逃走劇を何回もやっていたら、使用人達から噂が広がり、兵士の耳に届くのも仕方がないことです。ミリアさんをアイドルのように慕っている者達からすれば、そんなふざけた奴が護衛をしているなんて考えられないのでしょう。
だったら自分達がやる。
そう考えるのも納得です。
「では、私を護衛の任から外しますか? 仕事をしなくて済むのです。私は歓迎しますよ?」
「……だ、そうだが……どうするよ?」
ディアスさんは振り向き、他の三人に問い掛けます。
「決まっているであろう。余はリーフィアを解任するつもりはない。こいつが余の護衛に一番相応しいからな」
「妾も同じじゃ。感覚が人一倍優れており、十分な実力が伴っているリーフィア以上に、護衛に優れている者など……ここにはおらぬよ」
「同意見だよ。リーフィアとの決闘で、私は圧倒的な差を見せ付けられた。悔しいけど、ミリア様をお守り出来るのは彼女しかいない」
三人の意見は同じでした。
信頼されているのはありがたいことなのですが、ハードルが高いですね。
そしてここで反対意見が出て来てくれれば、私は本当の意味で『三食昼寝付きのニート生活』を送れるチャンスだったのに……少し残念です。
「んで、俺も同意見だ。あーだこーだ言いながらも、お前はちゃんと功績を持って来てくれる。信頼するのは十分だろうよ」
ほう、ディアスさんが誰かを褒めるなんて珍しい。
「だがな。兵士はそれじゃあ納得しないんだ」
「……まぁ、そうでしょうね」
いくら上の者が私のことを信頼していると言っても、それを知らない兵士からすればどうでもいいことです。納得するわけがありませんよね。
「では、どうするおつもりですか? こうして話を持ちかけて来たのです。何か策は考えているのでしょう?」
問題を話して、さぁどうしましょう。では困ります。主に私が。
こういう場合、やはり私の態度が問題なのでしょう。となれば私が考えなければなりません。……いやぁ、面倒にもほどがありますね。
「一番は、リーフィアが改めてくれれば簡単なんだが」
「そんなのするわけがないでしょう?」
私は、私の好きなように生きる。それはミリアさんも了承してくれたことです。今更変えるつもりなんてありません。それをしろと強要されるのであれば、私はウンディーネとあの森で隠居します。
「ま、そう言われるのはわかっていたさ」
ですが、流石ディアスさん。その程度のことは理解していました。
「だから俺が頼みたいのは──実力行使だ」
「はぁ……そうですか」
「兵士が求めているのは、護衛の資格。つまり、護衛と務められるだけの実力だ。お前がそれに相応しいと見せつけてやれば、奴らは納得するはずだよな?」
「はぁ……そうですね」
「だからお前は、兵士全員を相手にしてくれ」
うっわ。もしかして、今めちゃくちゃ面倒なことを言われました?
「ついでだ。奴らの根性も叩き直してくれや」
「えぇ……? 私はか弱い女の子ですよ? そんなの出来るわけ──」
「やってくれたら、緊急時を除いて二週間の休みを与えると話を聞いている」
「やりましょう」
魔王軍の兵士を叩きのめしただけで二週間も休める?
そんなのやるに決まっています。全く、楽な仕事があったものですね。
あっはっはっ……って、最近こういうの多くありません?
「…………ダメです」
不意に声をかけてきた人物は、ディアスさんでした。
話しかけられるとは思っていなかった私は、返答に少し遅れてしまいました。彼と私の接点はあまり無かったので、あちらから話しかけて来るのは珍しいことです。
それでも拒否はしますけど。
「そんなに警戒しないでくれって」
ディアスさんは困ったように笑いました。
「いえ、警戒なんてしていません」
仲間に対して警戒するつもりはありません。
勿論、怪しい動きをすればそうするでしょう。
でも、ディアスさんの働きぶりは誰もが認めていますし、彼自身もミリアさんを裏切るようなことはしないと本心から思っているようです。ならば警戒は不要です。
「一応聞きますが、何の用です?」
「ああ、兵士についての頼みなんだが──」
「お断りします」
「……おいおい、二回も拒絶するか? 普通」
「ええ、勿論。面倒なことはしないと決めているので」
兵士についてなんて、嫌な予感しかしません。
絶対面倒なことです。絶対何らかの形で働かされます。そんなのにホイホイ引っ掛かりに行くほど、私は馬鹿ではないんですよ。
「まぁ、話を聞いてくれや」
ディアスさんはそれでも話そうとします。
……わかってはいましたが、強引な人ですね。
「お前さん、魔王軍の兵士については知っているよな?」
「……ええ、私だって一応魔王軍の幹部やっているので、把握はしています」
確か、今は千人の兵士が居るのでしたっけ?
兵士にはいくつか部隊があって、各部隊ごとに隊長と副隊長が付けられている。そして、その全てを纏めているのがディアスさんです。
「実はな、兵士達から不満の声が上がっているんだ」
「はぁ……大変ですね」
そう相槌を打ちながら、私の本能が囁き始めます。
──面倒なことになる前にこの場から逃げろ、と。
酷く嫌な予感がします。それが何なのかはわかりませんが、とにかく嫌な予感を察知するレーダーがビンビンです。
ですが、それは出来ません。
眠っていたとはいえ、ここは執務室。中にはミリアさんとヴィエラさん、ディアスさん、アカネさんの四人が居ました。珍しいことに幹部全員が集まっている状況ですね。
しかも、四人の視線は私に注がれており、監視されているような気分になりました。
……これ、ディアスさんが事前に、私を逃さないようにと、お三方に言ってありますね? 用意周到なことこの上ないですが、それが今私を良い具合に苦しめていました。
「その不満の声は、お前にだ。リーフィア」
「私、ですか?」
それはまたどうして?
視線でそう問いかけます。
「うちの魔王ってのは、案外人気者なんだ」
「……はぁ?」
……何でしょう。視界に写っていませんけれど、ミリアさんがドヤ顔をしているように感じます。
「お前にわかりやすく言えば、アイドルだな」
「ああ、なるほど? 見た目だけは可愛らしいから、男ばかりの兵士達には人気だと」
「まぁ、そういうことになる」
端の方で「見た目だけとは何だおい!」という声と、それをなだめる声が聞こえるような気がしますが、とりあえず無視です。
「それで、ミリアさんの人気と、私への不満。何が関係しているのですか?」
ただの嫉妬だったら、私は何も聞くつもりはありません。
「お前はミリアの護衛をしているだろう?」
「ええ、そうですね。……一応」
「しかし、それに問題があるんだ。お前の堕落癖は城の中でも有名でな。そんな奴に魔王様を任せるわけにはいかない! まだ自分たちの方が向いている! と言って聞かないんだ」
「…………あ~~~~、なるほど?」
そう来ましたか。
確かに仕事をするかしないかで逃走劇を何回もやっていたら、使用人達から噂が広がり、兵士の耳に届くのも仕方がないことです。ミリアさんをアイドルのように慕っている者達からすれば、そんなふざけた奴が護衛をしているなんて考えられないのでしょう。
だったら自分達がやる。
そう考えるのも納得です。
「では、私を護衛の任から外しますか? 仕事をしなくて済むのです。私は歓迎しますよ?」
「……だ、そうだが……どうするよ?」
ディアスさんは振り向き、他の三人に問い掛けます。
「決まっているであろう。余はリーフィアを解任するつもりはない。こいつが余の護衛に一番相応しいからな」
「妾も同じじゃ。感覚が人一倍優れており、十分な実力が伴っているリーフィア以上に、護衛に優れている者など……ここにはおらぬよ」
「同意見だよ。リーフィアとの決闘で、私は圧倒的な差を見せ付けられた。悔しいけど、ミリア様をお守り出来るのは彼女しかいない」
三人の意見は同じでした。
信頼されているのはありがたいことなのですが、ハードルが高いですね。
そしてここで反対意見が出て来てくれれば、私は本当の意味で『三食昼寝付きのニート生活』を送れるチャンスだったのに……少し残念です。
「んで、俺も同意見だ。あーだこーだ言いながらも、お前はちゃんと功績を持って来てくれる。信頼するのは十分だろうよ」
ほう、ディアスさんが誰かを褒めるなんて珍しい。
「だがな。兵士はそれじゃあ納得しないんだ」
「……まぁ、そうでしょうね」
いくら上の者が私のことを信頼していると言っても、それを知らない兵士からすればどうでもいいことです。納得するわけがありませんよね。
「では、どうするおつもりですか? こうして話を持ちかけて来たのです。何か策は考えているのでしょう?」
問題を話して、さぁどうしましょう。では困ります。主に私が。
こういう場合、やはり私の態度が問題なのでしょう。となれば私が考えなければなりません。……いやぁ、面倒にもほどがありますね。
「一番は、リーフィアが改めてくれれば簡単なんだが」
「そんなのするわけがないでしょう?」
私は、私の好きなように生きる。それはミリアさんも了承してくれたことです。今更変えるつもりなんてありません。それをしろと強要されるのであれば、私はウンディーネとあの森で隠居します。
「ま、そう言われるのはわかっていたさ」
ですが、流石ディアスさん。その程度のことは理解していました。
「だから俺が頼みたいのは──実力行使だ」
「はぁ……そうですか」
「兵士が求めているのは、護衛の資格。つまり、護衛と務められるだけの実力だ。お前がそれに相応しいと見せつけてやれば、奴らは納得するはずだよな?」
「はぁ……そうですね」
「だからお前は、兵士全員を相手にしてくれ」
うっわ。もしかして、今めちゃくちゃ面倒なことを言われました?
「ついでだ。奴らの根性も叩き直してくれや」
「えぇ……? 私はか弱い女の子ですよ? そんなの出来るわけ──」
「やってくれたら、緊急時を除いて二週間の休みを与えると話を聞いている」
「やりましょう」
魔王軍の兵士を叩きのめしただけで二週間も休める?
そんなのやるに決まっています。全く、楽な仕事があったものですね。
あっはっはっ……って、最近こういうの多くありません?
0
お気に入りに追加
1,620
あなたにおすすめの小説
精霊のジレンマ
さんが
ファンタジー
普通の社会人だったはずだが、気が付けば異世界にいた。アシスという精霊と魔法が存在する世界。しかし異世界転移した、瞬間に消滅しそうになる。存在を否定されるかのように。
そこに精霊が自らを犠牲にして、主人公の命を助ける。居ても居なくても変わらない、誰も覚えてもいない存在。でも、何故か精霊達が助けてくれる。
自分の存在とは何なんだ?
主人公と精霊達や仲間達との旅で、この世界の隠された秘密が解き明かされていく。
小説家になろうでも投稿しています。また閑話も投稿していますので興味ある方は、そちらも宜しくお願いします。
醒メて世カイに終ワリを告ゲルは
立津テト
ファンタジー
『この手を取って、後悔しない“アナタ”はいなかった』
俺は、俺の人生を生きているだけだった。
俺は、俺の人生を生きているつもりだった。
だけど本当は、俺は俺じゃなかった。
俺を俺と、誰も見ていなかった。
だから俺は探す。
大切な人の死も、理不尽な運命も、鬱陶しいあいつも、俺自身をも乗り越えて。
この冒険の果てに、きっと大切なものを見つけてみせる。
※ ※ ※
冴えない高校生男子だった主人公が美少女魔法剣士に転生した異世界転生モノです。
いろいろと苦労しながら背負わされた運命に抗う姿を描いていきたいと思います。
作者自身、いろいろと手探りしているお話なので、しょっちゅう体裁や雰囲気が変わるとは思いますが、大目に付き合っていただけたら幸いです。
※同様の小説を『小説家になろう』さんにも投稿しています。
異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜
トンコツマンビックボディ
ファンタジー
馬場香澄49歳 専業主婦
ある日、香澄は買い物をしようと町まで出向いたんだが
突然現れた暴走トラック(高齢者ドライバー)から子供を助けようとして
子供の身代わりに車にはねられてしまう
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
男装の皇族姫
shishamo346
ファンタジー
辺境の食糧庫と呼ばれる領地の領主の息子として誕生したアーサーは、実の父、平民の義母、腹違いの義兄と義妹に嫌われていた。
領地では、妖精憑きを嫌う文化があるため、妖精憑きに愛されるアーサーは、領地民からも嫌われていた。
しかし、領地の借金返済のために、アーサーの母は持参金をもって嫁ぎ、アーサーを次期領主とすることを母の生家である男爵家と契約で約束させられていた。
だが、誕生したアーサーは女の子であった。帝国では、跡継ぎは男のみ。そのため、アーサーは男として育てられた。
そして、十年に一度、王都で行われる舞踏会で、アーサーの復讐劇が始まることとなる。
なろうで妖精憑きシリーズの一つとして書いていたものをこちらで投稿しました。
学園アルカナディストピア
石田空
ファンタジー
国民全員にアルカナカードが配られ、大アルカナには貴族階級への昇格が、小アルカナには平民としての屈辱が与えられる階級社会を形成していた。
その中で唯一除外される大アルカナが存在していた。
何故か大アルカナの内【運命の輪】を与えられた人間は処刑されることとなっていた。
【運命の輪】の大アルカナが与えられ、それを秘匿して生活するスピカだったが、大アルカナを持つ人間のみが在籍する学園アルカナに召喚が決まってしまう。
スピカは自分が【運命の輪】だと気付かれぬよう必死で潜伏しようとするものの、学園アルカナ内の抗争に否が応にも巻き込まれてしまう。
国の維持をしようとする貴族階級の生徒会。
国に革命を起こすために抗争を巻き起こす平民階級の組織。
何故か暗躍する人々。
大アルカナの中でも発生するスクールカースト。
入学したてで右も左もわからないスピカは、同時期に入学した【愚者】の少年アレスと共に抗争に身を投じることとなる。
ただの学園内抗争が、世界の命運を決める……?
サイトより転載になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる