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やってきました。

みんなびっくりです。

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「はぁ、規格外だとは思ってたけど本当に規格外っすねぇ~」

魔物の暴走繁殖スタンピードによる団員の負傷、予定外の野営。
普通なら援軍を申請して到着した援軍に護衛任務を引き継ぐところだが、暴走繁殖の際に救援に駆けつけてくれた“先祖返り”の少年との出会いが全てを狂わせた。あっ勿論いい意味で。

俺達騎士団目の前で先祖返りの少年は巨狼を召喚し異常繁殖の魔物ミノタウロスを一瞬で捩じ伏せた。んで、そんな奴が口を開いたら
“牛さんのお肉貰ってもいいですか?”だぜ?

先祖返りの少年の名前は“タマモ”
お嬢の知り合いでかくゆう俺こと“レオン”とも顔馴染みだった。タッくんの愛称で呼ばれていておれもそう呼んでいた。
はじめは信じられなかったよ。見る奴が見れば卒倒しかねない巨狼がタッくんに呼ばれるのが遅いって拗ねてんだから。その後すぐに仲直りしてるしさ。

その後もお嬢と仲直りして姫様と友達になって王族の近衛騎士団の団長とも仲良くなって……

俺の知ってる六歳児と違うんだけど?一応俺も貴族の子息だけどさ、下町のガキどもは領地帰ってお忍びで出掛けると普通に金的とか浣腸やってくるし悶絶してるのみて大爆笑してる奴ら、妙にませてて修羅場がいように好きな奴らで怖いもの知らずなくせに泣き虫で……そんなのがが俺の知ってる六歳児なんだけど……

俺に……いや、俺達に向ける笑顔がまじで可愛かった。なんつーか…こう…抱き締めて守ってやりたくなるようなかんじだった。


そんでさ、昼飯の時にさらに驚くんだよこれが。
タッくんの分の食材がないって食料番の団員が団長に伝えたら
タッくん自分の分は大丈夫だって言うんだ。そりゃそうだよな。タッくんはちゃんと自分の昼飯用意してて最初からたかろうなんて考えてないんだから。
俺、内心大爆笑だよ。嫌がらせしようとしてガッツリ空振りしてんだから

嫌みじゃないのもすごかった。昼飯のメニュー自体も知らない料理で中でもデザートで出してくれた“フレンチトースト”なるものはヤバかったな。語彙が死んでるけどヤバかった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「同感です。常識って誰が定めてしまったんでしょうね。」

俺の常識は昨日崩れ去りました。たった今、風化しました。
思えばあの子がテントにやってきてからおかしくなっていたんですね。
医療班に所属している今まで俺はあのとき程自分の無力を思い知らされたことはありませんでした。
暴走繁殖によって傷ついた団員達の中にはもう手遅れと判断するほかない患者が少なくない数いて焦燥感と絶望が医療班を支配していました。
そこへ年端もいかない少年が手伝うことはないかと、最初俺が感じたのは怒りの感情でした。
ふざけるな、と その感情に任せ怒鳴り、少年を追い返しました。この選択に間違いはなかったと思いますが言い方は別にあったと反省しています。

ビクッと体を震わせて涙目で走り去っていく少年を“可愛い”と感じたのはここだけの話…

少し頭が冷えて我に返った俺が見つけた少年の置き土産
後で聞いた話が“チャウダースープ”なるものだそうで一口食べて俺は虜になりました

なぜか食べたら落ち着けて他の医療班に、患者の皆さんにも食べさせて差し上げなくてはと使命感ににた感情が生まれました。

これが間違いでなかったと今力一杯言えます。だっておかしいでしょう?
失明した騎士の視力の完全回復
内臓破裂して死を待つだけの騎士の復活
四肢を吹き飛ばされた騎士の欠損部分再生…
恐らく病気なども消えているでしょう。年長騎士の古傷や後遺症も消えていたんですから。

俺は謝罪と感謝の気持ちを伝えようと少年を探しました。
団長のもとへ報告と相談のため赴くとほかにも同じような状況になった騎士団員達が集まっています。

とりあえず俺達は別れて少年を探すことになり俺達は医療班のメンバーと二人で探し始めました。
しかし、なかなか見つかりません。
最悪の事態が頭をよぎったとき、少年は親友をつれてひょっこり現れました。
肉が大量に乗った皿を抱えて。安心したのとその姿の愛らしさに笑ってしまったのを覚えています。

その後、少年…タッくんに謝罪と感謝を伝えお裾分けのお肉料理を手伝ったのですが、発見の報告を怠りルーナ騎士団長に天の怒りのごとく叱責を受けました。

(しばらく口調が戻らなかった医療班班長。逆らってはいけない人がいると本能が理解しルーナ対して常に敬語で前屈み。ルーナを見ては興奮するようになったとか(笑))


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「ブルルル…(まったくだ)」

私は誇り高き騎士団の“馬”である。
どこまでも遠くへ安全に主を友人を相棒を送り届けることを指名としている。

此度我々は暴走繁殖によって生まれ出でた畜生どもにより不覚にも指名を果たせなくなる危機に陥ってしまった。
不甲斐なく恐怖から落ち着きを失っていた。そんなところへ九尾の狐の少年が我らに供物を捧げにきたのだ。
遠征や護衛、野営の時の食事はあまり期待できないものだがこやつの用意した供物はどれもこれもが絶品で夢中で食いつくしてしまいがっかりしたのは記憶に新しい。

夕食、朝食と驚くことに全て違う供物を出されそれが外すことなく絶品だった。

そしていざ出発となったのだが…

「速くつけた方がいいんだよね?」

と九尾の狐の少年

「え?まぁそうっすね」
と公女の騎士

「じゃあ、レオンさん僕とルークに乗っかってください!」

「は?」

『はやく、はやく!』

「ハートは僕たち追いかけて来てね」

『わかった!あとでゴシゴシ(トリミング)だぞ!』(byルーク)

「エルは真ん中お願い。」

『ん、了解だ』

白狼のうえにまたがり騎士を携え

騎士団→馬車→銀狼→騎士団の順で挟み黒狼を殿に出発した。

そして…

気がつけば目の前は城壁に囲まれた都市の門の前だった。

のちに全員が口を揃えて「おかしくない?」と言っていた。
らしい…

長時間かかるであろう距離を数分って…







    
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