【R18】後輩くんとのちょっと不思議な一週間

榎本ペンネ

文字の大きさ
上 下
1 / 11

土曜日1※

しおりを挟む
 こんなことって、ある?
 目覚めて最初に思ったのがそれだ。

 いやいやいや、おかしいでしょう。
 なんで後輩くんが私のベッドにいるのでしょうか。

 滅多に酔わないくらいにはお酒に強く警戒心も強い私が、久方ぶりに楽しくなっちゃうくらいに飲み、同じく卒のない後輩――遠矢くんも珍しく素を見せるくらいには酔っていて、なんやかんやあって、現在土曜の朝。薄く開いたカーテンから降り注ぐ朝の日光が瞼越しにも眩しい。

 目が覚めると遠矢くんの手が私の胸を揉んでいて、腰にはごりごりと硬いものが押し付けられていて、私は混乱を極めて寝たふりをしている最中である。
 そしてこの手が遠矢くんのものだと確信しちゃっている理由は、昨夜も同じように触れられたからだ。

 あと、時折溢れる囁きがな、この寝起きで掠れた、低くてセクシーな声がな、紛れもなく彼のものだから。こんな声の持ち主が早々いてたまるか。そして耳元で「東海林先輩」とか呼ぶな。
 それだけでもゾクゾクするというのに、触り方も徐々にいやらしくなってきていて、そろそろ寝たふりは限界だ。

 いや、もう、どうしようね? どうしたらいいんですかね?

「あっ」

 考えているうちに限界を超えてしまったようで、堪えきれなかった声が漏れてしまった。

「おはようございます。東海林先輩」
「お、おはよう……、あっ、んんっ」
「少し前から起きてましたよね? あ、昨夜みたいに杏奈先輩って呼んだほうがよかったですか? 杏奈先輩」
「いや、んんっ、それより、なんでっ、あっ、ちょっと待って、んっ」

 的確に気持ちのいいところを触られ、翻弄され、最後にはうるさいとばかりに口を唇でふさがれた。

(遠矢くん、キスうまっ! 殺す気か!)

 胸の先端をいじられながら息もつかせぬキスを施されれば、あっという間に力が抜けて抵抗できなくなってしまう。

「先輩、キスだけでこんなになっちゃって、可愛い」
(キスだけじゃないでしょうが!)

 心のなかで言い返すも、私の身体はもう言うことを聞かなくなっていて、たぶん蕩けた顔を晒していると思う。

「それとも乳首弱いです?」

 そう言いながら両方の先端を摘んで、少しだけ引っ張りながらクリクリといじられた。

「あああっ、だめぇっ」

 寝起きであまり働いていない理性は、すでにほとんど「どうにでもしてっ」というくらいにグズグズになっていたけれど、ダメ押しのようになにかのスイッチを入れられた気がする。

「あっ、あっ、だめっ、イっちゃう」
「乳首だけでですか? 感度よすぎじゃないですか?」
「そればっかり、やぁ……」
「……先輩が想像以上に可愛くて、どうしよう」

 耳元でそんなことを呟かれ、さらに耳を甘噛みされれば、簡単に快感が決壊し、私は軽く達してしまった。でもそれはお腹の奥に燻りを残したままで、到底満足のいくものではない。

「う、うう、なんで……」

 理性が脆くも崩れ去って馬鹿になっている私は、胸ばかり触って肝心の、こう、下の方に手を伸ばさないのか、と聞きたかったのだけど、後輩くんは違うように取ったようで、ズレた回答が返ってきた。

「先輩、昨日の夜、触っていいって言ったじゃないですか」

 確かに言った。飲み会の二次会で、遠矢くんが「あまりボリュームのない人としか付き合ったことがない」「一度ボリューミーなものに思う存分触れてみたい」というようなことを、まあ、酔った勢いで男の同僚と話していて、それをお手洗いから戻ってきた私がうっかり聞いてしまったのだ。
 要するに、巨乳を揉みたい、と。

 職場ではお硬い人間として通っている私の前で、男性たちが気まずくなりそうになったところを、遠矢くんはうまくとりなしてくれた。だから帰り際に彼にお礼を言って、それでなんやかや三次会に行くことなく二人で帰ることになって、……今に至る。

 なんでだ。

 でもなんか楽しかったし、うちで飲み直すことになったからブラ苦しくて外したら、遠矢くん目を丸くして驚いていて、「世の中には小さく見せるブラってものがあってだね」なんて話をしてしまった。
 昨夜の私の人格はどこから来たのか。あれが本質だとしたら、ガチガチに固めた「会社向けの私」の鎧が完全に剥がれていたことになる。

 ともあれ、遠矢くんは美形すぎて存在自体の現実味が薄いし、「後輩」というカテゴリーの観賞用の生き物だと思っていたから、「あの話は男同士の話を円滑にするために言っていただけで、他意はなかったんですけど」と言いつつ、明らかに酔って「やっぱり触らせてください~」と迫ってきたのも「まあいっか」くらいで受け入れてしまったのだ。

 だいたい、その時はあまりいやらしい感じじゃなくて、服の上からふにふに触って無邪気に「たわわだ!」とか言って感動してる感じで……。
 そんなこんなで、触れられたところで何事もなく、シャワーを浴びて寝てしまった。

 誓って言うが、こんなルーズなことをしたのは生まれてこの方はじめてだ。付き合ってもいない男性を家に上げたのも、酔っ払って一定以上他人を近づけたのも。ベッドにはたぶん勝手に入ってきたけど、私が先に寝ちゃったし、他に寝る場所がないから仕方ないと言えば仕方ない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

処理中です...