金になるなら何でも売ってやるー元公爵令嬢、娼婦になって復讐しますー

だんだん

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マックスマッハ号2

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馬で駆けながら、何とかランダとミキ様の二人は解呪の魔法を習得した。

先にミキ様が、その後すぐにランダが習得した。




「そんな難しくない魔法で良かったです…。」




ランダが馬に揺られて気持ち悪くなってきたのか顔を青ざめさせて言った。




「前方…2キロ先に魔力の塊がありますわ!!!」




ラダが声を挙げた。

まだ私も魔力を感じることは出来なかったのに、流石エルフの血が入っているだけはある。




「流石ラフィちゃん!!それじゃあ、行こうか。」




マスターの言葉に頷いてから、後ろに付いてきている三百人規模の軍勢に合図を送る。


ミキ様とランダにはそれぞれまた馬に乗ってもらい進んだ。



「馬ってちょっと不便だよねー。遅いし。」



「大人数での移動なら騎馬での移動が良いんですよ。」




魔法を使える人は少ない。そして馬よりも早く走れる人はもっと少ない。私では三百人を飛行魔法で移動させることは難しい。団体での移動なら馬が一番速いのだ。そう伝えれば納得して貰える。




残り一キロ程の距離になると、私にも魔力を感じることが出来た。


大きな塊は炎翼の導き手のものだろう。ふと、一つ二つこちらへ向かってきている者達がいるのを感じ取った。




「来ますわ!!」



ラダも察知していたのか、大声で伝える。


私は相手が展開しようとしている魔法の種類を魔力の流れから推測して、後ろにいる兵達を覆うように防御壁を貼る。


次の瞬間、ドンと大きな音を立てて、何かが魔力で出来た壁にぶつかって弾けた。





「ちっ…!面倒な…!」



「お兄様、外しましたの~!って、あれれー?そこにいるのはロアじゃありませんこと?」




空に浮かぶ銀髪をサラリと靡かせた少女が、ロア君を見て言った。その声に不機嫌そうな銀髪の男もロア君を認め、ニヤリと嗤った。




「久しぶりだなあ!!ロア!!」



「えっ!ロア?!相変わらず可愛い~!」




その後ろから顔を出した背中に弓を背負った女もロア君を見て気味の悪い笑みを浮かべていた。




「皆様…お久し振りです。」




ロア君が疲れたような顔で一言、呟いた。




「お前が役立たずのロアか!!!」




少女を守るようにして後ろに控えていた大男がロア君を見て馬鹿にしたように笑う。




「そんな細っこい体で前衛とは笑わせる!……いや、前衛じゃなくて男娼だったか??しかし綺麗な顔してやがる!今夜はいくらだ?抱いてやるか!!!」



一層品のない男の登場に怒ったのはラダだった。



「あの野郎!!!許しませんわ!!!」




ラダが小声で呟いてから一歩前に出る。

魔法で火球を生じさせ、相手に向かって投げた。




「おっと!!危ねえ嬢ちゃんだな!!……しかし、よく見りゃ嬢ちゃんもそっちの嬢ちゃんもそこの金髪のねーちゃんも斧のねーちゃんも可愛いじゃねえか。なあ、キース様よお。こいつら生け捕りにしたら好きにして良いか?」



「炎翼のじじいが何ていうか分からねーけど、隠れてやる分には良いんじゃねーか。」




下卑た視線を浴びせられ、鳥肌が立った。

ミキ様までもが心地悪そうに顔を顰めている。




「よく分かんないけどキモ。」



「救国の勇者に向かってそんな台詞を吐くとは…恥知らずな者もいるものだの。」




ミキ様の懐に隠れている花しぐれがそっと呟いたのが聞こえる。




「リル様に向かって何てことを…!」


「流石に見過ごせないな。」




ルイとランダも私や仲間を貶されたことに怒りを覚えたようだ。ルイは兎も角、温厚なランダが怒るのも珍しい。




「お姉様、此処はわたくし達にお任せ下さい。」



「…いけそうですか?」



「あんな雑魚、わたくし達の敵ではありませんわ。マスターとお姉様は後ろの方々を守っていてください。…ロアさん、前衛をお願いしますわ。」




その言葉にロア君が頷き、皆より一歩前に出る。ルイも槍を構えてその後ろに立った。




「ミキ様、この中で一番火力が高いのは貴女ですわ。…好きに動いて下されば支援します。」




「何なのあの女!!ロアに馴れ馴れしいんじゃなくて?わたくしとキャラが被っているのも気に障りますわ!!!」




キャンキャンと吠える女に、ラダが杖を構えて向ける。



「貴女と似てるなんて、わたくしの方こそ心外ですわ。」




ラダの魔力が膨らみ、火炎が爆ぜた。




「んっとー、取り敢えずあれを倒そうかな!」




ミキ様が剣を抜き、飛行魔法を使って飛び上がる。


金属のぶつかる音がした。




「踊り子ぴょん、どーなると思うー?」



「マックスマッハ号はAAランクのパーティーですからね。ロア君がいて負けることはないと思います。」



けれどそれも、いつもの彼ならだが。

今日の彼はいつもよりキレが無いように見えた。昔の仲間と会い…かつてのことを思い出してしまったのだろうか。



「ロア君ねー。あの子はちょっーとメンタル弱々だからねー。」



ロア君はSランク、ラダはAランク、ルイ、ランダはBランク、ミキ様は勇者なので冒険者ランクは付いていないが…現在AAランク程度の強さはあるだろうか。他よりも戦闘経験が少ないので、それが足を引っ張る要因にはなり得るが、ラダが言った通りミキ様の攻撃力はすこぶる高い。それを上手く活かせれば良いとは思う。




「でもさー、踊り子ぴょん。……負けるなんて思って無いでしょ?」



「そりゃあそうですよ…だってあの子達は…」



「踊り子ぴょんと私が鍛え上げた、一流の冒険者だもんね♪」




そんなことを言いながら、取り敢えず年少組の戦いを見守る事とした。





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