金になるなら何でも売ってやるー元公爵令嬢、娼婦になって復讐しますー

だんだん

文字の大きさ
上 下
106 / 136

明かされた過去ーダルボット公爵視点ー

しおりを挟む



シャーロット・エリザベート・ウィスリーという少女は、不思議な魅力を持っていた。その美しい容姿は勿論のこと、この国の女らしくないその性格に魅了される男達が当時の社交界には溢れていた。




「どうしてわたくしが貴方の言う事をきかなければなりませんの?」




柔らかい口調とは反対に、言葉からは気の強さが滲み出していた。自分よりも身分の高い、侯爵家の男に声を掛けられた時も彼女は毅然と男を袖にしていた。




「シャーロット、そんな風に言うのは良くないと思うよ…。」




そんな彼女の隣にいつもいたのはグロイスター公爵だった。彼が兄の影のように生きており、今ほど宮廷内の力も無かった頃だ。

しかしグロイスター公爵は殊更シャーロット嬢とはかなり親しい様子だった。


彼女を窘めるのはいつも彼の仕事だったように思う。そんな二人は母親同士が友人であり、幼い頃から交流を重ね兄妹のように接していた。

と言っても、兄妹のようだ…と思っているのはシャーロット嬢だけで、グロイスター公爵が彼女に気があるのは分かりきったことだった。


さり気なく男に絡まれる彼女を助けに入っては、ボソリと何かを男の方に告げて退場させるのは彼の務めで…。兄の影に隠れているとはいえ、彼とて歴とした王族だ。そんなグロイスター公爵を差し置いて彼女を奪おうとする貴族というのは案外多くはなかった。


当時のグロイスター公爵は線が細く、中性的な顔立ちも相まって男装の麗人のようにも見えた。


二人は幼馴染ということもあって、社交界では頻繁にダンスのペアを組んでいた。美しい二人が並んでいると、自分が入ることも恥ずかしくなるくらい、眩しく見えたものだった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





貴族の男性というのは、学舎に入ることがある。高位貴族であるならば尚更だ。

その学者では私と現国王陛下…当時の皇太子殿下とアドラー公爵は同期だった。


現国王陛下の女癖の悪さは社交界でも学舎でも有名で、どんな高位の貴族の娘であっても簡単に手出しをするのでよく思わない貴族も多かった。


そんな彼がシャーロット嬢に興味を持ち始めたのは、社交界での噂を聞いたのがきっかけだったろうと思う。


当時社交界はシャーロット嬢の噂で持ち切りだった。彼女のダンスの相手になることを望まない男がいない程に…。


しかし彼女は気に入らない相手とはダンスであっても踊らない。そして彼女とダンスを踊った男は誰であっても彼女に魅了されてしまうのだ。


そんな噂を聞いた当時の皇太子は、彼女に強い興味を抱くようになった。



これが、全ての不幸の始まりだったのだと、今なら思うが当時の私達は、殿下の酔狂が始まったとしか思っていなかった。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

祓い屋の俺は異世界で魔法剣士となって金髪碧眼美少女と旅をしながら無双する

ぽとりひょん
ファンタジー
祓い屋の仕事中、異世界に迷い込んでしまった熊野つなは、金髪碧眼美少女の清音と出会う。異世界は彼女を忌み人として差別している。つなはそんな世界に反発するが、旅をしていくうちにいろいろな人に出会い2人の景色は変わってゆく。そして2人は成り上がっていく。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

処理中です...