金になるなら何でも売ってやるー元公爵令嬢、娼婦になって復讐しますー

だんだん

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覚悟

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帝国と同盟を結ぶ上で一番の問題はミキ様だった。

本当に勇者が信用出来るのか、いきなり寝返ったりはしないのか。それが帝国の懸念事項だったようだ。


しかし彼女が



「せんせーにはお世話になったし?ここまできたらどうなるのか気になるから付き合うよー。」



と言ったことで帝国側の気が抜けて私が側にいるという条件で受け入れられた。


彼女には何度もどこかに隠れていても良いことを伝えるが、なかなか首を縦に振らない。どうしてか聞けば、「せんせーが好きだから。」とのことだ。


一番関係のない彼女だが、ここまで来てしまえばもう引き返すことは出来ない。旧知である勇者達とは敵同士となるが良いのか聞けば、




「えー、だってあいつら弱いし~?戦っても怪我させないで勝つくらい出来るよ。多分。」




とのことだ。




「せんせー、あーし、すごいバカだけどさ、ちゃんと分かってるよ。覚悟だってしてるから大丈夫!」




そう言う彼女の肩が少し震えているのを見て見ぬふりをした。





ーーーーーーーーーーー




「そういうことならば歓迎しよう。花しぐれ共々な。」




皇帝に報告すると、爽やかな笑顔と共にそう告げられた。他の諸侯達の中には不満そうな者もいたが、表立って皇帝に意見する者はいなかった。


しかし花しぐれの名前を聞くと、嫌悪感に顔を歪める者も多かった。彼女は帝国にとって古くからの敵なのだろう。


本人は余り気にした様子は無かった。戦争とはそういうものだと割り切っているようだ。


初代勇者に頼まれた王国の安寧は、第2王子や私と共にいた方が叶いそうだとのことで、王国と一時的に敵対することに思うことはあるようだが、否とは言わなかった。


各々が、各々の覚悟を決めて…出陣の準備を整える。


現状、第二王子陣営が動かない王国軍は圧倒的に劣勢だった。それでも、勇者の存在によってそこまで大きく士気は落ちていなかった。彼らが前線に出て戦っているのが、多少なりとも王国軍を支える力となっているようだ。


私もその一助をしていたので苦々しくも思う。


それにルーナ…あの子は大丈夫だろうか。


あの子自身に大きな力がある訳では無い。貴族達の中で、彼女を守ってくれる者はいない。


勇者と近しい彼女を疎ましく思う者もいるだろう。無事にこの戦の終わりに再会出来ると良いのだが。




「リル…話がある。」




いつになく真剣な表情で、どこか緊張した様子の第二王子に呼び止められる。


二人で天幕に入ると、暫く沈黙が落ちた。






「殿下、どのような…。」




「リル、お前にこれを渡そうと思う。次の戦で、お前はこれを持って戦場に出よ。」





渡されたそれを見て、私は思わず激しく嗚咽を漏らしたのだった。




「殿下…有難うございます…。」




それを抱き締めて、何とかそう絞り出した私の肩に、彼はそっと手を添えたのだった。










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