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子ども達の戦闘

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「ルイ、ミキさん、来るよ。」



魔力探知をして、冷静に周囲に使えるのはランダだ。


私の一番弟子なだけあって、探知の方の腕も上がっている。冒険者としてしっかり経験を積んでいたようだ、と安心する。


素早く反応するのはルイで、少し遅れて武器を構えるのはミキ様だ。


初手はランダの炎の刃が魔物に命中する。が、私もかつて苦戦したコウモリ型の魔物だ。

魔法攻撃に対する耐性のある魔物で、余り効いた様子はない。


それを見たルイが、すぐさま槍を構えて横に一閃する。


ミキ様も地面を蹴って魔物に近付き、体勢を低くしながら魔物の後ろに回り込み切り伏せた。


地面に落ちたそれを見て、ふぅ、と三人が息を吐く。


ルイの指示で皆で解体を始めようとしたその時。


ランダが顔を引きつらせた。




「だから嫌だったんだ!!....また来るよ!今度は10体!」


「せっかく終わったと思ったのにー。だるー。」



ミキ様がノロノロと立ち上がり剣を構えた。緩慢な動きに見えるが隙がない。

ルイはさっと切り換えて敵を見据える。


ランダも先程ので魔法が効かないと分かったようで、かつて村を出るときに私があげた護身用の短剣を手にし、そのまま他の二人に身体強化を掛ける。


ミキ様がさっと動き出し、



「もー、髪がー。服がー。」



と文句を言いながらも容赦なく敵を切り伏せていた。


ルイは黙々とたまにちらりと私の顔を伺いながら敵を倒している。


ランダは慣れないながらも一匹は倒すことが出来たようだ。ほっと息を吐いている。


その後は三人が魔物を解体する。


私はというと、戦闘にもこういった作業にも参加しないと決めており、かなり手持ち無沙汰だ。



「おえ。グロ。」



解体をしながらミキ様が数度えずいている。

話を聞くにミキ様がいた世界というのは、肉は捌いたものが売られている世界で、一般的な人は動物を解体することはないそうだ。

先程まで生きていた魔物の解体は辛いものがあるのか、涙目になっている。


ルイが少し迷惑そうな顔をしながらも、寄越せ、とミキ様の分のコウモリを取り解体する。



「ありがと。」



ミキ様に礼を言われるもルイの方はいつもの調子で、たまにチラチラと私を見て気にしていた。


あれから時間が経つが、彼はちっとも私のことを諦めてはくれていないようだ。

子供達と私はよく言うが、更に背の伸びたルイは、もうすっかり大人の顔をしている。


かっこいいと、アルムブルクの女の子達からも人気で、村にいたときと同様、やっぱりファンクラブなるものがあるらしい。

以前マスターが面白そうに言っていた。


少し休憩を取った後、奥へと進んでいく。


一番疲労の色が濃いのは矢張ミキ様だ。


剣の扱いはそれなりになって、使える魔法も増えてきたが、如何せん体力が足りない。


今のまま戦場に立てばすぐにバテてしまうだろう。


今回は体力作り、そしていつ敵が襲ってくるか分からないという緊張感を味あわせる為にこのダンジョンに来た。


花しぐれのいる奥までは行けなくても良いとは思っているが...。


ミキ様を見て、かつて勇者と共にいたという彼女を思い出す。


Sランクになってから、度々暇を見付けては会いに来ていたが、最近は来れていなかった。元気にしているだろうか。


ふと、上を見上げると少し、時空が歪んでいるように見えた。



あっ、と思う間に私達は渦のようなものに飲み込まれてしまったのだった。







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