金になるなら何でも売ってやるー元公爵令嬢、娼婦になって復讐しますー

だんだん

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ラダの仕事1

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ラダ視点の話です。

アルファポリス限定公開です!

少し前の時系列の話になります。


ーーーーーー



「ラフィさん。昇級おめでとう。」



アルムブルクで昇給試験を受けたわたくしに、試験管の先輩冒険者が言った。



「ありがとうございます!とても嬉しいですわ!」



あらあら。流石わたくし。

この短期間でCランクにまで上がってしまいましたわ。


お姉様にご報告したいのですが、残念ながらお姉様は今この街にはいらっしゃらない。


早くお会いしたい。そう思うが、連絡を取るとなるとお忙しいお姉様の負担になってしまうのではと思い遠慮してしまう。


お姉様が大好きなわたくしにとって、お姉様と会えない日々は苦痛なものだった。


毎日毎日、好きでもない殿方に好き勝手に呼ばれては抱かれる日々。
お姉様のことを思い出して何とか耐えられた。


元々、わたくしがしたくてしている仕事ではなく、強制して行わされていることなので、殊更に苦しい。


今日もアルムブルクを出たらお客様の所に向かわないといけない。


深い、深い溜め息が出てしまう。




※※※※※※※※※※





「ラダ。やっと来たか。」



お客様との待ち合わせの宿に入ると、低い声が響いた。思わず身体がビクリ、と跳ねる。


彼はブライ侯爵という方で、黒い噂の多い方。
わたくしのことを何故か気に入ってくれ、呼ばれることが多いのは有難いのだが、機嫌が悪い時に当たってしまうと大変だ。


酒を飲んでいるのか既に顔が赤い。でっぷりと太ったブライ侯爵がわたくしを見て不機嫌そうに呟いた。



「遅い。」




ガンッと机を蹴る侯爵様に、慌てて地面に額を擦り付けて謝る。



「侯爵様をお待たせしてしまい大変申し訳ありません。」



本当は明日の約束だったのを、勝手に早めに宿に入っていたので本当なら謝る必要はないのだけれど、わたくしはそもそもの身分が低いので貴族様を怒らせれば謝るしかない。



「おい、何でまだ服を着てる。本当に謝ってるのか?誠意が見られないなあ。」



頭を踏みつけられ、グリグリと圧をかけられる。

このような仕打はいつものことだ。慣れている。だから大丈夫。自分に言い聞かせて気持ちを落ち着ける。



「早く脱げ。」



黙って脱ぎ始めると、



「違うだろ。」



と頬を叩かれる。
痛い。



「ちゃんと私に見えるように脱ぎなさい。」



こういう時は何も考えないで大人しく言うことを聞いた方が良いということを経験で分かっていた。
私はお姉様とは違う。
エルフ混じり、奴隷身分の出身ということをお客様が知っているから、扱いも最下層に対するそれだ。


侯爵様に見えるように正面に立って服を脱ぎ始める。



「全く、でかく育ちやがって。」



わたくしの胸を見て舌打ちする。そう言われても大きくしたくてしたわけではないのだから困ってしまう。


お姉様は、おっぱいが嫌いな殿方はいないと言っていたけれど、本当かしら。
もしそうなのなら、どうしてこの方はこんなにイライラしているのか。



「グロイスター公のせいでイライラしてるんだ。早くこっちに来い。」



恐る恐る近付くと、胸を鷲掴みにされ、乱暴に揉まれる。そのまま強く噛まれ痛みに顔を歪める。涙が目に溜まっているのを感じる。

痛みと不快感と恐怖で脚が震えた。


グロイスター公なんて人、わたくしは知らない。

貴族様の事情に迂闊に首を突っ込めば処刑の可能性もある。わたくしの命の軽さは、わたくしが一番分かってる。

関係の無いことは聞かなかったことにする方が良い。



「泣くんじゃない。面倒臭い。」


「はい。ご、ごめんなさっ!」



髪を引っ張られ、ますます涙が浮かぶ。

幼い頃から染み付いた恐怖心が、わたくしを襲った。

怖い。

もうなにもしたくない。

出来ることなら早く死にたい。

お姉様。お姉様。
お姉様はどうしてこのような仕打ちに耐えることが出来るのですか。
わたくしはもう苦しいのです。



「ふん。詰まらない女だ。」




それなら呼ばないでくれれば良いのに。
何故何度も呼んでは酷い仕打をするのだろう。

わたくしは何もしてないのに。





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